研究報告第19号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9151

秋田県果樹試験場研究報告(1988) 第19号 1-12

2,4-DP、MCPB、ダミノジッドの散布がリンゴの収穫前落果及び果実品質に及ぼす影響

近藤 悟・高橋祐治

摘要

 2,4-DP、MCPB、ダミノジッドの散布が、収穫前落果や果突品質に及ぼす影響について検討した。

  1. “つがる”では、収穫開始日まで各薬剤とも落果を抑制したが、それ以降の収穫期中では2,4-DPの落果防止効果が他薬剤に比べて優れた。
  2. 果実品質については、“つがる”、“スターキング・デリシャス”ともダミノジッド区で硬度が高かったことから、貯蔵性の向上が期待された。2,4-DP(45ppm)、MCPB(30ppm)区では無散布区の果実と大きな差はなかったが、MCPB(60ppm)散布区で成熟の進む傾向が見られ、散布濃度への注意が必要と考えられた。
  3. 2,4-DPの散布時期について、収穫25日前1回散布区、収穫15日前1回散布区、収穫25日前及び15日前の2回散布区とも、“つがる”の収穫前落果率及び果実品質に大きな差がなかったため、収穫25日前から15日前に1回散布すればよいものと考えられた。また、クロルピリホス剤、BPPS剤、キャプタン剤、水酸化トリシクロへキシルスズ剤の常用濃度との混用処理による薬害や落果防止効果への影響は認められなかった。

秋田県果樹試験場研究報告(1988) 第19号 13-24

イプロジオン剤耐性リンゴ斑点落葉病菌の発生

浅利正義・高橋俊作

摘要

本報告は、現地ほ場において、リンゴ斑点落葉病菌に対するイプロジオン剤の防除効果の低下、同剤耐性菌の検出およびその諸性質について調べたものである。

  1. 1984年に秋田県のリンゴ園からイプロジオン剤耐性リンゴ斑点落葉病菌が検出され、イプロジオン剤による防除効果の低下が、耐性菌によるものであることが確認された。
  2. イプロジオン剤耐性菌検出でのイプロジオン剤散布回数は、1982年2回、1983年1回、1984年1回の計4回であった。
  3. イプロジオン剤耐性菌検出率は、1985年7月に39.5%に達したが、その後減少し、1987年には5.8%まで低下した。
  4. MIC値は、2峰性を示し、第1のピークは7.8ppm前後にあったが、第2のピークは1000ppm以上でった。
  5. イプロジオン剤とポリオキシン剤との間には、交差耐性は認められなかったが、両剤に耐性を示す多剤耐性菌が検出された。
  6. リンゴ品種スターキング・デリシャスの水差し切り枝を用いてイプロジオン剤の発病抑制効果を調べたところ、薬剤の効果は認められなかった。
  7. 薬剤含有培地を含むシャーレを暴露することにより、ほ場内のイブロジオン剤耐性菌の有無を判別することは可能であった。
  8. イプロジオン剤耐性菌は、薬剤含有培地において、濃度が高くなるにつれて生育が抑制されたが、特に125ppmで急激に抑制され、250ppmで再び生育が助長された。また、4000ppmでも生育が認められた。

秋田県果樹試験場研究報告(1988) 第19号 25-36

ブドウ芽枯病に関する研究
第1報 秋田県におけるブドウ芽枯病の発生とその病原菌

深谷雅子・加藤作美・工藤 晟

摘要

 秋田県南部の平鹿地方において、ブドウに多発生し、大きな被害を与えてしてる発芽障害の発生実態を探るとともに原因と考えられた病原菌の同定を行った。

  1. 本病の発生は、主に県南部に多く、ブドウ8品種で確認された。その中でもキャンベルアーリーの被害が甚しかった。
  2. 症状は樹全体に現われ、遅伸びをした軟弱な枝ばかりでなく、よく充実した結果母枝にも発生が認められた。
  3. 病徴は結果母枝にのみ現われ、新梢ならびに花穂および葉のいずれにも認められない。結果母枝上で見られる初期症状は、発芽期に芽が膨まず、全く発芽しないことである。枝表面には病斑が見られないが、発病芽を有すを節の表皮下には、一部分、皮膚から木質部に達する褐変が見られる。5月中旬頃から、節部の表皮面に縦方向に小さな亀裂が生じ、その間隙に黒色・小粒状の柄子殻が多数形成され、降雨により乳白色・糸状の胞子角を噴出する。7月以降には、亀裂が節間にも達し、柄子殻が密生して、結果母枝の表面はさめ肌状となり、しだいに枯死する場合もある。
  4. 被害枝上に見出されたPhomopsis型の柄胞子とDiaportheの子のう胞子は、互いに同様の培養性質ならびに菌体内たん白成分を有し、同根関係を示した。
  5. 柄胞子懸濁液をブドウの新梢に無傷接種した結果、翌春、芽枯れ症状が再現された。
  6. 完全世代の形態的特徴から、本菌はDiaporthe medusaea Nitschkeと同定した。本菌によるブドウ病害は、我が国ではまだ報告がないため、本病を新たにブドウ芽枯病と称することを提唱した。

秋田県果樹試験場研究報告(1988) 第19号 37-54

秋田県北部における1987年の晩霜害実態調査

柴田雄喜・水野昇

摘要

1987年、秋田県北部のリンゴ産地で発生した晩霜害を、被害の地域間差、品種間差、晩霜害の出現頻度等について調査した。

  1. 発芽期から落花期に当たる春季の最低気温の経時変化に波状推移の傾向がみられた。
  2. 地域別で、ふじにおける中心花被害率は最低16.3%、最高97.5%であり、比較的狭い地域ながら被害の幅は広かった。また、過去の晩霜害実態調度結果(1963、1987年)と照らし合わせて、猿ケ平、西町、東町、及び中屋布地区(これらの地区は、いづれも接近している)が晩霜害の危険地区と推定された。
  3. ふじにおける中心果結実率と摘果後の中心果残存率について、3グループに分類した。Aグループ(中心果結実率<30%)…被害が非常に大きかったため、摘果後の中心果残存率は著しく低かった。Bグループ(30%≦中心果結実率<60%)…中心果結実率はそれほど高くはないが、摘果後の中心果残存率は高かった。Cグループ(60%≦中心果結実率)‥‥被害が小さかったため、摘果後の中心果残存率は高かった。
  4. 品種別の中心花被害率は高い順に、千秋>ふじ>陸奥>スターキング>ジョナゴールド>王林>つがるであった。千秋は花蕾の発育が最も遅いにもかかわらず、被害が大きかった。
  5. 地上高別の花蕾被害程度は大きい順に、下部≒中部>上部であり地上高1、2m部位では、被害に大差はなかった。
  6. 千秋/M.26において、防風林からの距離10m、58m、及び105m地点で中心果残存率が、55.0%、26.7%、29.2%であり、防風林が被害程度に影響していた。
  7. 縮葉は紅玉で著しかった。つがるについては梗あ部、ジュライレッドについてはていあ部にサビを呈した。また、千秋、ふじにおいて側果利用のため、つるサビの増加による品質低下がみられた。
  8. 秋田県北部において、展葉期から開花前に当たる4月下旬から5月上旬が晩霜害の危険期間と推定され、To以下の出現頻度は4.0年に1回、被害の大きい晩霜害の出現頻度は12.0年に1回であった。