研究報告第18号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9150

秋田県果樹試験場研究報告(1987) 第18号 1-14

早期落葉がリンゴ樹の生育と果実品質に及ぼす影響

鈴木宏・久米靖穂・松井巌

摘要

1982年9月20日に6年生ふじ/MM106を用い、全摘葉区、半摘葉区(新しょう葉を全部摘む)、対照区(無摘葉)を設け、各区3樹供試し、その後の果実肥大、品質、樹体栄養、翌年の花粉の発芽率などに及ぼす影響を調査した。

  1. 摘葉翌年の新しょう長は、半摘葉区は対照区と同じであったが、全摘葉区では短かかった。しかし、新しょうの葉数は摘葉によって増加した。全摘葉区では新しょう基部では奇形葉の発生がみられた。
  2. 摘葉後の新しょう中の成分は、Nが対照区>半摘葉区>全摘葉区の順であった。糖含有率は全摘葉区が高く、澱粉は対照区で高かった。また、これらは枝齢の若い枝が古い枝より高かった。
  3. 翌年の果そう葉の最大葉は、摘葉区が対照区にくらべて小さく、葉色も淡かった。
  4. 翌年の葉中成分(5月~11月まで採葉)は、N、K、Ca、Mgが対照区>半摘葉区>全摘葉区の順であったが、Pでは差がみられなかった。また、摘葉の影響はNが7月、Kは6月、Ca、Mgは11月まで認められた。
  5. 摘葉した年の果実等級秀果の割合は、対照区33.5%、半摘葉区9.7%、全摘葉区8.6%で摘葉の影響が認められたが、翌年には影響がなかった。
  6. 果実肥大は摘葉年は対照区を100とすると、半摘葉区89、全摘葉区80となったが、翌年は半摘葉区が97、全摘葉区が85まで回復した。
  7. 花粉の発芽率は対照区を100とすると、半摘葉区84.7、全摘葉区77.3と悪かった。

秋田県果樹試験場研究報告(1987) 第18号 15-22

樹園地土壌診断の貫入式土壌硬度計の応用

松井巌・藤井芳一・佐々木美佐子・柿崎浩之・森田泉・田口辰雄

摘要

貫入式土壌硬度計(DIK-5520、自動記録型)を使い山中式土壌硬度計との関係や、M.26台わい性リンゴ樹の根の分布との関係、有効土層の違い、深耕による土壌物理性の改善効果などの評価のための測定を行い、樹園地での土壌診断への応用について検討した。

  1. 山中式土壌硬度計測定値(y)と貫入式土壌硬度計測定値(x)との関係は、多湿黒ボク土ではr=0.736***、回帰式y=15.59log+2.84、砂丘未熟土ではr=0.976、回帰式y=0.545x+5.406であった。
  2. M.26台6年生、千秋の根の分布との関係では、硬度15~17kg/cm以上になると根の分布が少なかった。これは山中式硬度計の21~22cmに相当した。
  3. 貫入式土壌摘度計は有効土層の違い、深耕による耕盤破砕、土壌の膨軟化、SS通路の土壌の硬化などの測定に有効であった。
  4. 1測定地点3回測定による測安値のブレは、檪の多い土壌で多かった。これらのことから貫入式土壌硬度針は有効土層などの樹園地土壌の物理性測定に有効であり、土壌診断の有効な機器と判断された。測定に当っては、1地点3~5カ所で測定し、その平均値で判断するのが望ましい。

秋田県果樹試験場研究報告(1987) 第18号 23-34

リンゴ#65378;ふじ#12301;の収量、品質に及ぼす施肥、及び各種管理の影響

近藤悟・水野昇・高橋佑治

摘要

 窒素施肥量と樹体生長、収量、葉内無機成分含有率との関係及び摘果、摘葉の処理時期が果実品質に及ぼす影響について検討した。

  1. 樹体生長、収量については、処理当初は差が認められなかったが、処理後2~4年めから窒素施肥量に応じて増加した。しかしながら20kg-N区では、処理後5年めから隔年結果を示した。葉内窒素含有率は年度によって差がみられたが、樹勢の強い樹で高くなった。しかしながら、果実の屈折計示度、リンゴ酸含量、着色は低下した。
    土壌中の無機態窒素は、10cmまでの地表面下では施肥直後より発現してきたが、20~30cmの深さでは、窒素施肥量に応じて7月以降に急速に発現してきた。このようなことから、春期における多肥は窒素の遅効きを助長し、品質を低下させると考えられた。
  2. 早期摘果は、果重、屈折計示度、リンゴ酸含量を増加させ、品質を向上させた。また、9月20日(収穫前51日)以降では早期摘葉区ほど着色がよかったものの、リンゴ酸含量が低下したため、徐々に行うべきであると考えられた。