研究報告第16号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9148

秋田県果樹試験場研究報告(1985) 第16号 1-18

リンゴのわい化栽培に関する研究
1.中間台木の長さが樹体と収量および果実品質に及ぼす影響

久米 靖穂・工藤 哲男・熊谷 征文

摘要

 樹体のわい化と早期結実、支柱を使用しない目的で、1975年、マルバカイドウ台木(Malus prunifolia BORKH)に熱処理したM.9を40cm、30cm、20cm、10cmでつぎ、1976年にこの上にふじ(秋ふ1)を高つぎした。対照としてマルバカイドウ台木、ふじをおき、その後の樹体のわい化状況、収量、果実品質、風など横ゆれに対する耐性などについて検討した。

  1. 樹の大きさを代表する樹高は、マルバカイドウ台木に比較し、中間台木の長さ40cm区では52%、30cm区では57%、20cm区では64%、10cm区では85%で中間台の長さが長いほど、わい化傾向が認められた。
  2. 果実の累積収量(10a当り、換算)では、マルバカイドウ台木が5,880kgに対し、40cm区では4,990kg、30cm区では5,950kg、20cm区、8,750kg、10cm区、7,310kgで20cmが最も生産性が高かった。
  3. 「秀」の割合は中間台木の長さが長い40cm区ほど高かった。281g以上の大玉は中間台木10cm区、マルバカイドウ台木区に比較して40cm区、20cm区、30cm区で高かった。
  4. 果実品質面では中間台木の長さによる差は認められなかった。
  5. M.26台木、M.27台木中間台の折損部位は、中間台の下部であり、対策として最低、中間台部分を保護する支柱が必要である。

秋田県果樹試験場研究報告(1985) 第16号 19-31

秋田県内の在来果樹に関する研究
1.カキに関する調査

鈴木 宏・丹野 貞男・田口 辰雄

摘要

1978年秋から1979年にかけて秋田県内に散在しているカキの在来種について、特性を調査した。

  1. 横手柿
     俗称で横手柿と呼はれているが、伊左衛門・宇左衛門の2品種が含まれており、共に渋ガキである。
    1. 伊左衛門
       横手市およびその周辺の宅地内に散在し大木となっている。果実の大きさは平均76gでやや小さく、果形は擬宝珠形、横断面は円形、子室数は9~10と多い。
      果色は橙色である。果肉はやや固く、果汁中位、食味はややうすい。成熟期は10月下旬、雄花の着生はなく不完全渋柿で醂柿として利用される。
    2. 宇左衛門
       横手市およびその周辺に散在するが、伊左衛門より少ない。果実の大きさは平均156gで中位、果形はやや扁形、横断面は円形、子室数は9~10と多い。果色は橙朱色である。果肉は軟く、果汁は中~やや多い。成熟期は10月中旬、雄花の着生少、不定全渋柿で熟柿として利用される。
  2. 雲然柿
     角館町雲然の宅地内、畑の周辺に散在し、大木となっている。果実の大きさは平均42gで小玉である。果形は扁形、横断面は方形である。子室数は8室、種子数5.8個で多い。果色は橙黄~黄色である。果肉はやや硬く、果汁中位である。成熱期は10月下旬、雄花の着生ない。不完全渋柿で、醂柿として利用される。
  3. 松原柿
     秋田市松原の宅地内に散在し大木になっている。果実の大きさは平均37gで極小である。果形は円形、横断面も円形である。子室数は8室で中位であるが、無核種である。果色は橙黄色、合弁花伏の輪紋がある。果肉は緻密で果汁多い。成熟期は10月下旬、雄花の着生はない。完全渋柿で醂柿として利用される。
    上記の4品種は、地方的品種で、以前は地方市場で流通したが、現在は自家用に利用される程度に収穫されるほかは樹上に放置され徐々に伐採の傾向にある。

秋田県果樹試験場研究報告(1985) 第16号 32-38

モモシンクイガのリンゴ被害果内における幼虫の水漬け殺虫試験

成田 弘・高橋 佑治

摘要

  1. リンゴ被害果内モモシンクイガ幼虫の水漬けによる殺虫の有効処理期間を明らかにするため、1955年に被害果内幼虫の水漬け殺虫試験、1976年に老熟幼虫の水漬け殺虫試験を行なった。
  2. 水漬け処理被害果から摘出した幼虫が完全に致死するに要した有効処理期間は、水中に沈下させた果実で3日以上、水面に浮遊させた果実で6日以上であった。
  3. 水漬け処理被害果からの幼虫脱出を完全に防止するに要した有効処理期間は、水中に沈下させた果実で3日以上、水面に浮遊させた果実で6日以上であった。
  4. 老熟幼虫を水漬け処理で完全に致死させるに必要な有効処理期間は、水中に沈下させた個体群では3日以上、水中に沈下した個体群では6日以上であった。
  5. これら3調査の結果はほとんど一致して高い平行関係が伺われ、実用的な水漬け有効処理期間は6日以上であった。