研究報告第15号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9147

秋田県果樹試験場研究報告(1984) 第15号 1-15

リンゴわい性台木の土壌適応性に関する研究
第2報 県北の黒ボク土、中央の砂丘未熟土、由利の淡色黒ボク土、多湿黒ボク土におけるM.26、MM.106の土壌適応性

松井 巌・佐々木 高・村井 隆・佐々木 美佐子

摘要

 県北の黒ボク土(関上:厚層多腐植質黒ボク土、柴内:表層腐植質黒ボク土)、中央の砂丘未熟土(昭和)、由利の淡色黒ボク土(西目)でM.9、M.26、MM106台ふじの生育や結実を1977年から5年間にわたりマルバ台ふじと比較検討してきた。

  1. 黒ボク土のうち、保水力が高く、有効土層の深い関上土壌では、M.26が最も目標とする樹型に近い生育を示し、着果数も他の台木より多かった。しかし、有効土層の浅い柴内土壌ではM.26の生育は劣り、欠木も多かった。
  2. 柴内土壌ではMM106、マルバが最も安定した生育を示した。特にマルバは1樹当り着果数が最も多く早期結実性を示していた。
  3. 昭和土壌では、M.9、M.26の生育は極端に劣った。しかし、MM106はマルバと同等の生育を示し、他の台木よりも結実数も多かった。
  4. 西目土壌ではMM106がクラウンロットによって枯死したものが多く、この土壌では明らかに不適当な台木と判断された。M.26は5年目でほぼ目標樹型に近い生育を示し、欠木もなく、結実も最も多く、この土壌での好適な台木と考えられた。M.9はM.26より生育が劣ったものの、試験した土壌のうちでは生育は最もよく、有機物資材の投入により土壌改良を実施すれば、さらに生育や結実が増加するものと判断された。これらのことから、各土壌におけるM.9、M.26、MM106、マルバ台木の土壌適応性をつぎのように判定した。
土壌 好適 適※ 不適
各土壌における土壌適応性
黒ボク土(関上;花輪統) M.26 MM106、マルバ M.9
黒ボク土(柴内;柴内統) マルバ MM106  M.9、M.26
砂丘未熟土(秋田統) MM106 マルバ M.9、M.26
淡色黒ボク土(西目統) M.26 M.9、マルバ MM106

※土壌改良および有機物の施用、整枝法などの対策が必要なもの。

秋田県果樹試験場研究報告(1984) 第15号 17-25

リンゴわい性台木の土壌適応性に関する研究
第3報 県南の黒ボク土、褐色森林土、灰色低地土、多湿黒ボク土におけるM.26、MM106の土壌適応性

松井 巌・佐々木 高・村井 隆・佐々木 美佐子

摘要

県南の黒ボク土(表層多腐植質黒ボク土:千畑村)と褐色森林土(平鹿町)、灰色低地土(増田町)、多湿黒ボク土(平鹿町醍醐)でM.26、MM106台ふじの生育や結実を1977年から5年間にわたりマルバ台ふじと比較検討してきた。

  1. 黒ボク土の千畑土壌では、M.26、MM106とも非常に生育が劣り、着果数も少なかった。とくに、M.26は5年目でも樹高が3m未満で、幹周も11.2cmにすぎなかった。
    また、この土壌においてはM.26の葉中K含有率が定植後から著しく低かった。
  2. 褐色森林土の平鹿土壌は有効土層が浅く、化学性も劣っていたにもかかわらず、M.26の生育は4年目で、すでに目標樹形に達していた。しかし、MM106は4年目で全部がクラウンロットにより枯死した。
  3. 灰色低地土の増田土壌、多湿黒ボク土の醍醐土壌はM.26の生育が最もよく、結実量も多かった。
    MM106も生育はよかったものの、マルバに比較し必ずしも早期結実性を示しておらず、また、この土壌でもクラウンロットの被害が認められ、生育、結実の面で不安定であった。

これらの結果から、試験土壌におけるM.26、MM1O6、マルバ台木の土壌適応性を下記のように判定した。

土壌 好適 適※ 不適
試験土壌における土壌適応性
黒ボク土
(千畑:川端統)
マルバ MM106 M.26
褐色森林土
(平鹿:平鹿統)
マルバ M.26 MM106
灰色低地土
(増田:増田統)
M.26 MM106、マルバ  
多湿黒ボク土
(醍醐:醍醐統)
M.26 MM106、マルバ  

※土壌改良や排水対策および整枝法などの対策が必要なもの。

秋田県果樹試験場研究報告(1984) 第15号 27-35

リンゴわい性台木の土壌適応性に関する研究
第4報 M.26台わい性樹の生育、収量と土壌の理化学性との関係

松井 巌・佐々木 高・村井 隆・佐々木 美佐子

摘要

 県内8土壌で実施したM.26台わい性樹の土壌適応性試験の結果から、土壌の理化学性と樹体生育、1樹当り収量の関係を検討した。

  1. 有効土層の深さと樹体生育および収量との間には全土壌でみると一定した関係は認められなかったが土壌の母材や土性の違いが少ない地域では、有効土層が深いほど樹体の生育がよい傾向があった。
  2. 土壌の理化学性のうちで、塩基置換容量(CEC)置換性Ca、Mg含量、塩基飽和度、Ca+Mg飽和度は樹体生育、1樹当り収量と高い正の相関関係が認められた。これらの関係は第1層より第2層で高かった。
  3. 樹体の生育が劣り、1樹当り収量の少なかった千畑土壌では生育のよかった醍醐土壌にくらべて、M.26台わい性樹の根量は非常に少なく、分布も浅かった。また、土壌の化学性も醍醐土壌よりも劣っていた。