研究報告第12号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9143

秋田県果樹試験場研究報告(1980) 第12号 1-12

リンゴの新品種“千秋”について

丹野 貞男・田口 辰雄・丹波 仁・鈴木 宏・今 喜代治

摘要

 秋田県果樹試験場では1966年から、リンゴの新品種育成試験を開始、現在まで15組合わせ7,482本の実生個体を育成し、高つぎ法により選抜をすすめてきた。このたび“千秋”を選抜命名したので、その育成経過、および、特性を報告する。

  1. 本品種は1966年に交配された東光×ふじの交配実生71個体の中から、1974年に選抜したものである。系統名8-1-54として、1975年、県内の現地試験に、1976年、リンゴ関係試験研究機関に試作系統として出された。1978年10月30日、千秋と命名された。
  2. 秋田県における成熟期は9月下旬で、早生品種つがると中生品種スターキング・デリシャスの収穫のほぼ中間に当り、早生種と中生種をつなぐ品種である。
  3. 果実の大きさは中位で、肉質はち密で果汁多く、適度の酸味があり、歯ざわりよく、食味はさわやかで品質は優れている。
  4. 9月下旬収穫の品種としては、果実の日もち性は高く、室温貯蔵で20~30日、冷温貯蔵では12月末まで貯蔵可能である。
  5. 比較的栽培の容易な品種の1つである。花芽は着生しやすく、生理的な落果は少なく、普通防除剤散布の条件下では、うどんこ病、斑点落葉病の被害はほとんどみられない。

秋田県果樹試験場研究報告(1980) 第12号 13-30

既成リンゴ園のヘッジロー化に関する研究
第2報 ヘッジロー仕立て樹の樹相診断について

久米 靖穂・今 喜代治・田口 辰雄・鈴木 宏

摘要

既成樹をヘッジロー仕立てに改造した樹相診断について1974年、1975年の両年検討した。品種はスターキング デリシャス、ゴールデン デリシャスを用い、技、葉、果実に分けてその診断時期と診断方法を検討した。

  1. 樹冠上部の新しょう長により四つの型に分類した。
    • Ⅰ型 見かけ上の樹勢が著しく強い。
    • Ⅱ型 見かけ上の樹勢が強い。
    • Ⅲ型 見かけ上の樹勢がおおむね適当。
    • Ⅳ型 見かけ上の樹勢が弱い。
  2. 枝による樹相診断は頂端新しょう長、新しょうの停止時期がよい指標であった。
  3. 樹冠上部の頂端新しょう長は両品種ともⅠ型が81cm以上、Ⅱ型は61~80cm、Ⅲ型は41~60cm、Ⅳ型は40cm以下のものが該当した。樹冠下部ではⅠ型が61cm以上、Ⅱ型が41~60cm、Ⅲ型が21~40cm、Ⅳ型は20cm以下のものが該当し、診断時期は樹冠上部では8月下旬、樹冠下部では7月下旬が適期であった。
  4. 新しょう停止時期は見かけ上の樹勢が弱い型ほど早く停止し、診断時期は6月下旬が適期であった。
  5. 葉による樹相診断は葉色、葉中窒素含量、新しょう生長点の窒素含量がよい指標であった。
  6. 葉色は見かけ上の樹勢が強い型ほど濃緑で、診断時期は7月下旬から8月上旬にかけて葉色カラーチャートを用いて測定するのが適当であった。
  7. 新しょう葉の葉中窒素含量はスターキング デリシャスのⅠ型では2.6%、Ⅲ型は2.4%、Ⅳ型が1.8%、ゴールデン デリシャスではⅠ型が2.5%、Ⅲ型が2.1%Ⅳ型が2.0%で見かけ上の樹勢が強いほど窒素含量が高かった。
  8. 果実による樹相珍断は等級別分類、アオ実の発生程度がよい指標となった。診断時期は採収時であった。