研究報告第11号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9142

秋田県果樹試験場研究報告(1979) 第11号 1-19

リンゴ園における作業車の開発と利用

鈴木 宏・丹野 貞男・高橋 俊作・田口 辰雄・丹波 仁

摘要

 リンゴ園の省力栽培の一手段ニして、作業車の開発を行い、現行の脚立から脱却しようとした目的で行われたものである。
 この試験は1970年から1976年までに秋田県果樹試験場で、既成リンゴの樹形(変則主幹形密植園)を樹形改造(へッジロー仕立)した園地で作業能率を検討した。

  1. 作業車の開発は階段式とエレベーター式の2種を作製した。
  2. 作業車の収穫能率は階段式では5名1組の場合、1人1時間当たり5~6箱に対し、エレベーター式では4名1組で7~8箱、慣行の脚立使用では1人1時間当たり4~6箱であった。
  3. 樹冠巾の大小と作業能率の関係では、樹冠巾の狭い区で収穫作業は容易であった。
  4. 作業車を各種作業に使用した結果は
    1. 人工受粉の場合、階段式作業車では樹冠中心部まで十分対応できないが、エレベーター式作業車では、10a当たり9~13時間で脚立より能率的に作業ができた。
    2. 摘果でもエレべ-ター式作業車が能率よく、10a当たり作業時間で3~7時間短縮された。脚立では28~33時間を要した。
    3. 葉つみ作業では作業車の能率は劣ったが、これは張出板の出し入れと樹冠内での動作が枝の下垂で難しくなるためと思われる。
    4. エレべ-ター式作業車の年間の使用日数は、果樹園の管理作業のほか、資材運搬も含めて60~70日で汎用性は高かった。

秋田県果樹試験場研究報告(1979) 第11号 21-24

モモシンクイガの防除に関する研究
第4報サリチオン剤(サリチオン微粒剤F3%)PAP剤(エルサン微粒剤F3%)の地表面施用による実用化試験

成田 弘・高橋 佑治

摘要

  1. 選抜試験の結果に基づき、サリチオン微粒剤F3%とエルサン微粒剤F3%の現地圃場における実用化試験を1973年と1971年に行った。
  2. その結果、第1回成虫発生初期頃から約15日間隔に4回連続地表面施用し、樹上殺虫剤散布をこれに並行した方法が最も高い防除効果が認められた。
  3. 同じく3回連続地表面施用した方法と第1、2回成虫発生期にそれぞれ2回の計4回表面施用し、樹上殺虫剤散布をこれに並行した方法の防除効果も高かった。
  4. これまでの試験結果から、第1回成虫発生初期から約15日間隔に3~4回連続地表面施用することによって、防除効果は十分に実用できるものと考えられる。
  5. これらの地表面施用量は10a当たり約5kgで、樹上殺虫剤散布回数は4回程度であった。

秋田県果樹試験場研究報告(1979) 第11号 25-31

モモシンクイガの防除に関する研究
第5報イソキサチオン剤(カルホス微粒剤F3%)の地表面施用による殺虫試験と実用化試験

成田 弘・高橋 佑治

摘要

  1. カルホス微粒剤F3%は1972年から1976年にかけて選抜試験し、1974年から1977年にかけて現地圃場において実用化試験した。
  2. 選抜試験では、成虫の羽化抑制効果がすぐれ、残効期間は13日以上であった。
  3. 幼虫の殺虫効果は、非休眠幼虫、休眠幼虫とも残効期間が約1日程度あり、選抜試験の供試薬剤中で休眠幼虫に最も効果が高かった。
  4. 実用化試験では、第1回幼虫発生初期から約15日間隔に3~4回連続地表面施用し、樹上殺虫剤散布をこれに並行した方法が高い防除効果が認められた。
  5. 地表面施用量は10a当たり約5kgで、樹上殺虫剤散布は4回で十分な効果があった。

秋田県果樹試験場研究報告(1979) 第11号 33-38

ブドウ灰色かび病菌の薬剤耐性に関する研究
第1報 チオファネートメチル剤耐性灰色かび病菌の発生とその性質について

深谷 雅子・加膝 作美・佐膝 廣

摘要

 本報告は、チオファネートメチル剤耐性灰色かぴ病菌の発生とその性質について検討した結果を述べたものである。

  1. 秋田県中央部のブドウ栽培地帯からチオファネートメチル剤耐性ブドウ灰色カビ病(Botrytis cinerea)が検出された。
  2. 耐性菌のほとんどは、平板稀釈法による最小生育阻止濃度(MIC)が、3200ppm以上という強度な耐性を示すものであった。
  3. チオファネートメチル耐性菌は、ベノミル剤に対しても交さ耐性を示し、MIC値が1000ppm以上であった。
  4. チオファネートメチル耐性菌密度が高まり、チオファネートメチル剤では、防除が不可能な園地においてキャプタン、アイブロディオン、Procymidonの各水和剤は、いずれも高い防除効果が認められた。
  5. チオファネートメチル剤耐性菌出曳後、チオファネートメチル、ベノミル両剤の使用を中止して、3年経過した現在、チオファネートメチル耐性菌密度がかなり低下した。