研究報告第08号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9139

秋田県果樹試験場研究報告(1976) 第8号 1-18

ブドウの収量と品質に及ぼす窒素とカリの施用量、施用時期の影響

加藤作美・新妻胤次・田口辰雄・佐藤修司

摘要

200L容コンクリート製Potノ砂土をつめ、ブドウのキャンベル・アーリー1年生を定植し、1954年から1957年にわたって、収量と生育および果実の品質に及ぼすNとKの施用時期と施用量の影響について試験した。結果は次のとおりであった。

  1. 処理4年目の葉内N含量にはN処理の効果がよくあらわれたが、Kの施用時期は葉内Kの季節的変動に大きな影響を及ぼさなかった。しかし7月の葉内K含量はKの施用量及び施用時期によって有意に変化した。
  2. 1樹当たり新しょう長、副しょう長、全生長量、せん定量に対するN施用量およびN施用時期の影響は非常に顕著で、これらの生長量は8月上旬から収穫期までの後期N施用区が最も少なく、全期N施用区が最も多かった。副しょうの生長は果実肥大期の中期N施用区において最も長かった。生長に対するK施用量およびK施用時期の影響は認められなかった。
  3. 処理4年目の果実の収量に対するK施用量、施用時期の影響はまったく認められず、もっぱらN処理によって影響された。N施用時期試験では生育の場合と同じように後期N施用区の収量が最も低く、全期N施用区で高かった。またN施用量を3倍にすることによって収量は約1.6倍となった。
  4. 着色も生育、収量と同じように全期N施用区で最も良く、後期N施用区で悪かった。またN少量区はほとんど成熟しなかった。
  5. 滴定酸度は主としてNの施用時期と施用量の影響をうけ、後期N施用区、N少量区で高かったが、これは葉あるいは果実中のNが低下することによってKが上昇する効果と考えられた。

秋田県果樹試験場研究報告(1976) 第8号 19-30

リンゴ黒星病に関する研究
第1報 芽りん片越冬について

工藤哲男・高橋俊作・水野 昇

摘要

リンゴ黒星菌の芽りん片上における越冬とこれに由来するほ場での発生事例について検討した。

  1. リンゴ国光の頂芽りん片上に本病菌は子座様の菌糸層として認められた。
  2. 子座様の菌糸層は3月中旬から分生胞子を形成し、時期の経過とともに増殖した。
  3. 芽りん片上に形成された分生胞子の病原性を接種によって確認した。
  4. 前年に保菌させた接穂および実生苗は翌年も発生した。
  5. ほ場における2つの発生事例は芽りん片越冬と密接に関連するものと考察される。
  6. 以上の結果から本病の第1次感染源として芽りん片上の分生胞子も関与していることが明らかになった。

秋田県果樹試験場研究報告(1976) 第8号 31-62

モモシンクイガの防除に関する研究
第1報 地表面施用剤の選抜

成田 弘・高橋佑治

摘要

  1. モモシンクイガの老熟幼虫と成虫は、発生の過程で地中に潜入したり、地表に現れる。これらの習性を応用し、地表面施用剤による防除法を確立するため、1963年~1975年にわたり、リンゴ園で使用する除草剤、塩素剤、有機燐剤、その他の薬剤について、室内実験で選抜試験を行った。
  2. 供試した除草剤はいずれも成虫の羽化抑制効果、非休眠・休眠幼虫混在の殺虫効果が劣った。
  3. 塩素剤のBHC剤は粉剤、水和剤、粒剤とも成虫の羽化抑制効果、非休眠幼虫の殺虫効果が高かったが、休眠幼虫には全く効果が認められなかった。
  4. 有機燐剤では、ダイアジノン粒剤3%、サリチオン微粒剤3%、PAP微粒剤(エルサン)F3%などが、成虫の羽化抑制効果、越冬世代幼虫の殺虫効果、非休眠幼虫の殺虫効果が高かったが、休眠幼虫の殺虫効果は劣った。その残効期間は成虫の羽化抑制で約2週間、越冬世代幼虫で約1週間、非休眠幼虫で約1日であった。また、ダイアジノン粒剤3%は成虫に対するガス効果も高かった。
  5. その他の有機燐剤では、MEP(スミチオン)、マラソン、DEP(ディプテレックス)などの粒剤も成虫の羽化抑制効果、非休眠幼虫の殺虫効果が高かった。また、MEP、PAPなどの粉剤も成虫の羽化抑制効果が高かった。
  6. その他薬剤では、イソキサチオン微粒剤(カルホス)は成虫の羽化抑制効果、非休眠幼虫の殺虫効果が高く、さらに、他の薬剤では効果が低かった休眠幼虫にも高い殺虫効果が認められた。

秋田県果樹試験場研究報告(1976) 第8号 63-92

秋田県におけるリンゴのひょう害調査

鈴木 宏・久米靖穂・田口辰雄

摘要

  1. 昭和50年6月9日秋田県内にひょう害があり、リンゴ地帯の鹿角市、横手市、湯沢市、増田町が大きな被害を受け、ひょう害後にゴールデンデリシャス、スターキングデリシャス、ふじの3品種について被害程度別に、無、少、中、多、甚の5段階に分けて被害実態調査を行った。
  2. ゴールデンデリシャスでは、果そうで16~98%、果数で16.0~89.7%、スターキングデリシャスは、果そうで4.0~96.0%、果数で2.3~95.5%、ふじは果そうで2~98%、果数で2~98%の被害であった。
  3. ひょう害を受けた、ふじ、スターキングデリシャス、ゴールデンデリシャスについて被害程度別に障害の伸長をみるに、ふじでは被害当時の縦径、横径はそれぞれ、少では2.09倍、2.18倍、中では2.20倍、2.18倍、多では2.32倍、2.20倍、甚では2.78倍、2.68倍となった。スターキングデリシャス、ゴールデンデリシャスも同じ傾向であった。
  4. ひょう害の被害痕は収穫時には、くぼみ状、平滑、突起状の3つのタイプに分けられ被害の軽いものは平滑と突起状が多く、甚ではくぼみ状が多くなる傾向がみられた。
  5. 果実にコルクボーラーで人為的に傷害をつけて傷の拡大程度を調査した結果、頂部では3.05倍、胴部では4.63倍、基部では4.16倍となり、胴部が最も倍率が大きかった。
  6. 収穫間近になってのひょう害は、スターキングデリシャスでは打撲傷であっても果皮がさける場合が多かった。
  7. 開花中の降ひょうは花器の損傷が多く、着果数が著しく少なかった。

秋田県果樹試験場研究報告(1976) 第8号 93-140

リンゴ成木樹の樹冠構造に関する調査

今 喜代治・山田三智穂・鈴木長蔵

総括

 昭和26~31年の6か年間にわたり、青森県津軽地帯の代表的地域と園地、すなわち、岩木川流域の冲積土層(岡本統)を主体とした南郡藤崎町唐牛良次郎氏、岩城山麓の火山灰を主体とにした土層(清水統)である弘前市独孤藤田幹氏、南郡の山手傾斜地を代表する(黒石統)南郡平賀町尾崎八木橋省方氏および青森県りんご試験場所在地の洪積土層(花巻統)の各園4か所を選定し、老成木樹(昭和26年現在、45~63年生)の国光10本、紅玉1本につき、各樹の樹冠の構造につき調査した。
 すなわち、樹冠の骨格体系、結果部位の構成と成立、樹冠内における容積、芽数、果数の相互関係について調査研究をすすめてきた。その結果につき次に総括的に要約する。

  1. 骨格の構成と成立
     国光10本、紅玉1本の老成木樹の骨格と成立については主幹、主枝、亜主枝、次亜主枝と組織的な体系によって成り立っていた。
     主幹の太さ1.25m、幹長1.79mで中幹、高さ1.82mとなっており、これより発出している主枝数は平均して2.2本、少いもので1本、多くて3本であったが、その発出間隔はほとんどなく、共枝の感が深い。 
     主枝の太さで0.89m、主幹の太さの71%、発出部位の高さ1.76m、長さ1.92m、角度69.4度、1本の主枝より発出している亜主枝数は2.1本とそれぞれ平均であった。そして主枝といえ共、樹間隔の狭い場合には更新されることがあることを示していた。
     亜主枝については太さ0.53m、主枝の太さの60%、長さ1.78m、角度87.5度と広く地上部よりの高さは2.18mとそれぞれの平均であった。主枝同様に亜主枝級のものでも場合によっては更新されることを示していた。
     次亜主枝については太さ0.31mで亜主枝の太さの59%、長さ1.17m、角度が85.5度と広く、高さ2.05mで、次亜主枝間隔は0.64mであった。次亜主枝の更新の頻度は、主枝、亜主枝より一層激しく、年次によりその本数をいちじるしく異にすることがあった。
  2. 結果部位の構成と成立
     結果部位とは結果母枝、結果小母枝、および結果枝より成り立っており、結果母枝の平均年令約7年生、次亜主枝より発出し、その総本数85.7本、結果母枝当りの頂芽数55.7、着果数19.6と平均され、1本の次亜主枝当り発出本数は5.8本であった。
     結果小母枝は結果母枝より出ているもので、その平均年令は約3.8年であり、これを品種別にみた場合も4~5年であった。そして、結果母枝当り結果小母枝数の発出数は6.8本であった。
     また、年次別枝上における着果の比率をみるに、国光、紅玉、デリシャス、印度、ゴールデンデリシャス、旭、祝で、その調査総計本数1,057本の調査でみるに3年枝上が41.5%と最も多く、ついで4年枝上21.2%、長果枝上17.3%、5年枝上8.5%となっており、着果部位は極めて若い部位であることを立証していた。
  3. 樹冠内における芽、果数
     樹冠の大きさは総樹高4.13m、樹冠の容積96.1m3、高さ2.86m、半径4.27m、半径:高さの比67.7、10アール当り換算栽植本数は14.6本であった。
     芽の数は頂芽とえき(腋)芽に分け、さらに頂芽は短枝と中・長枝に分け、頂芽の数4,670(57.5%)、えき芽3,455(42.5%)で総芽数として8,125芽であった。頂芽の総数に対する短枝の比69.3%、中・長枝30.7%、また、短枝を100とした中・長枝では44であった。次に頂芽を100としたえき芽の比は74で予想外に高かった。
     10アール当りに換算した総芽数では113,342芽、頂芽数で64,831芽であった。
     着果数については平均1,624果、容積当り果数で17.2果、1果当り頂芽数2.9芽、これを10アール当り換算した場合は22,715果であった。これは青森県の標準の線であろう。
     また、樹冠容積と芽数、果数の3要因については相互に密接な関係を有していたが年次、園によってその程度は異なっていた。