農薬を使わない害虫防除-フェロモン剤の利用-

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9135

農薬を使わない害虫防除-フェロモンを使った防除方法-

フェロモンって何?

フェロモンとは、虫が出すにおいのことです。このにおいは、極微量で同じ種類の虫の行動に影響を与えます。
フェロモンにはいくつかの種類があり、食べ物のある場所などに仲間を集める「集合フェロモン」、敵に襲われていることを仲間に知らせて近づかないようにさせる「警戒フェロモン」、異性を呼び込む「性フェロモン」などがあります。
もちろんこれらのフェロモンは、人間が吸い込んでも全く害が無いものです。
現在、農薬の散布回数を減らす方法のひとつとして、フェロモンを利用した害虫防除が研究され、実用化されています。
それでは、フェロモンを使った防除とは一体どのようなものなのでしょうか?

どうやって防除するの?

現在、害虫防除に使われているフェロモンは、性フェロモンと呼ばれるものです。
性フェロモンは、多くの場合雌が雄を呼び寄せるために出しているものです。この性フェロモンは、かなり遠くまでただよい、雄を雌のいる場所まで導き、出会った雄と雌は交尾をし、子供をつくることができます。
さて、この性フェロモンが畑全体に高濃度でただよっていたらどうなるでしょうか。雄の目の前に雌がいたのなら、雄はすぐに雌を見つけて交尾することができるでしょう。しかし、雌が近くにいない場合、そこらじゅうから雌のにおいがするために、雄はどこに行けばよいのかわからなくなります。また、においの元にたどり着いてもそこにはフェロモンの本物の雌はいないため交尾をすることができません。そして、そのうちに雌も雄も交尾できる時期が過ぎてしまい、ついには寿命がつきて死んでしまいます。
交尾ができなかったということは、次の世代の子供が産まれてこないことになります。その結果、次第に果樹園の中の害虫の数が減っていき、最終的には殺虫剤を使った時と同じ効果を得ることができるのです。
このような、昆虫が異性を呼び寄せる能力を利用した防除法を、「交信かく乱法」と呼んでいます。いくつかの害虫の性フェロモンが発見されており、それを使った防除方法が検討されています。

どんな特徴があるの?

フェロモン剤による防除は、目的とする虫だけに効果があります。つまり、これまでの農薬散布とは違って、周囲の生態系に影響が少なく、人に対しても安全な、環境にやさしい防除法です。
現在実用化されているフェロモン剤は、リンゴのおもな害虫(ハマキムシやモモシンクイガなど6種類)のフェロモンを合成した「コンフューザーA」、モモのおもな害虫(モモシンクイガなど4種類)を対象とした「コンフューザーP」をはじめ、数種類があります。

性フェロモン剤の使用風景
性フェロモン剤を使った害虫防除