くだものの育種

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9128

新しいくだものを作るには?~品種改良の方法~

今回は、くだものの新しい品種を作るために用いられる手法を紹介します。

現在、最も多く使われている手法は交雑育種法です。
これは、2つの品種を交配して得られた種をまき、育てた樹の中から、食味や外観など良い性質を持つものを選ぶという方法です。

交雑育種で生まれた品種の例として、秋田県が育成したりんごの品種‘千秋’の育成過程を紹介します。
秋田県果樹試験場では、昭和41年からりんごの新品種育成試験を始め、‘ゴールデンデリシャス’、‘印度’、‘ふじ’など7品種を用い、それらによる15の組み合わせで約7500の実生個体を育てていました。
そのうち、‘東光’という品種の花に‘ふじ’の花粉を交配して得た71個の種子の中から食味の良いものが見つかり、昭和49年に、「秋田1号」という系統名をつけて選抜しました。
その後、県内外で試験栽培をおこなったのち、昭和53年に‘千秋’という名前で品種登録されました。
つまり、昭和41年に交配が行われてから、始めて実がなるまでに7年、さらに品種登録されるまでには、実に12年の歳月がかかったことになるのです。

‘千秋’の例にもあるように、交雑育種法は単純な手法ですが、一つの良い品種を作るために、数千という膨大な数の種を播かなければいけません。また、くだものの場合は、種を播いてから実がなるまでに十年近くかかるため、効率性に問題もあります。

交雑育種以外には、自然におこる突然変異(「枝変わり」などと呼びます)を利用する方法もあります。この場合、もとの品種の食味を受け継いだまま、果実の着色がよくなったり、熟期が早くなるなどの部分的な変化が生じます。
例えば秋田県内では、‘ふじ’の枝変わりから、成熟期が早い‘やたか’や着色の良い‘みしまふじ’などが発見されています。
他には、放射線を照射するなどして人工的に突然変異を引き起こす放射線育種法があります。

また、近年発達した手法の一つに、遺伝子操作によって良い性質を導入する手法もあります。しかし、このような方法で生まれた「遺伝子組み替え作物」については安全性などの問題で、日本では実用化されていません。

秋田県果樹試験場で育成されたりんごの品種

千秋
千秋
‘東光’בふじ’
昭和53年種苗登録
アキタゴールド
アキタゴールド
‘ゴールデンデリシャス’בふじ’
平成4年種苗登録
秋田紅あかり
秋田紅あかり
不明×不明
平成17年種苗登録