研究報告第05号概要

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9116

秋田県果樹試験場研究報告(1973)第5号 1-40

リンゴ「ゴールデンデリシャス」の無袋栽培に関する研究
第1報.果面の「サビ」発生と防止

神戸和猛登・今喜代治・久米靖穂

 リンゴ、ゴールデンデリシャスの無袋栽培法につき、1958年以来、同品種の生産地である秋田県の南部地帯において無袋栽培上の問題点を摘出し、そのうち最重要課題である「サビ」の発生と防止につき検討した。「サビ」の発生については発生時期、果皮組織機構との関係、「サビ」誘発に影響する水質、花器浸出液との関係、栽培管理法との関係、「サビ」の防止については果面被膜保護剤による積極的防止法に関する研究を行ってきたのでその概要を報告する。

  1. ゴールデンデリシャスの無袋栽培果は有袋栽培果に比較して「サビ」発生が多く、果点も大きい。果皮には緑色が残り、その他の汚染もみられ、光沢も悪く、外観は明らかに劣った。しかしながら、果実の糖分含量は1~2%高く、総合的食味は優れ、貯蔵性も良好であった。
  2. 果面の「サビ」発生時期については、落花直後から10日までを初期、落花後11日から30日までを中期、落花30日以降を後期に区分することができた。このうち、初期、後期に発生する「サビ」は極めて少なく、サビ果発生の最も危険な時期は中期で、落花11~30日の約3週間であり、この期間をとくにサビ発生危険期間とした。そして、この期間内の発生程度は降水量、その他によった。
  3. 「サビ」の発生は果面表皮上のクチクラの亀裂と強い関係があるといわれるが、このクチクラ層の発達は、「サビ」発生危険期間の後期に活発になるので、むしろ、この期間内における表皮細胞そのものの生化学的変化、組織学的変化そのものに関係があると推察した。
  4. 「サビ」発生の外的要因として、霜、降雨、多湿、薬剤散布、スレ傷などによるが、自然環境下においては降雨量との関係が最も大きい。
  5. 落花直後の花弁、雄ずい、雌蕊などの乾燥した花器が降雨によって浸出され、この物質によって「サビ」発生が助長された。この物質の成分については今後の検討が必要である。
  6. 果面保護被膜剤として高分子化合物を主体に74種を検討した結果、そのうち商品名「サビノック」が有望であることを明らかにした。
  7. 「サビノック」は単用では障害が出、効果が低いので、石灰粉末などの添加剤(1%)加用がその効果を確実にした。
  8. 「サビノック」の散布濃度は70~100倍に石灰粉末(1%)加用とし、10a当たり、600L散布する。
  9. その散布時期は落花直後と落下後10日の2回散布が最も効果があった。
  10. 散布器具による差異は、果面に十分付着されるかどうかにかかっていた。

秋田県果樹試験場研究報告(1973)第5号 41-72

リンゴの薬剤摘果に関する研究
第1報.ゴールデンデリシャスに対するデナポンの摘果効果

鈴木宏・丹野貞男

 リンゴのゴールデンデリシャスに対するデナポンの実用化について、1965年から1970年まで検討を行った。

  1. ゴールデンデリシャスに対する、デナポン(85%)の散布時期は、満開後10日から15日の間で濃度は1200倍で摘果効果は十分であった。
  2. ゴールデンデリシャスの果実の大きさは、満開後の日数が少ないと分布が巾は小さく、日数がたつにつれて分布の巾が拡がった。
  3. デナポンの散布による摘果効果は、満開後10~15日の散布では8~10mm以上のものが残り、これ以下のものは多く落果した。
  4. 1果そう当たり着果数の多い果そうの果実ほど落果数が多かった。
  5. デナポンを散布した場合のゴールデンデリシャスの落果の波相は、満開後3週間頃から、満開後30日頃までの間に急激に落果し、満開後40日頃までいくらか落果するが、40日以後の落果は非常に少ない。散布区の落果はJune dropと一緒になった。
  6. 農家の圃場で、デナポンによる薬剤摘果の現地試験を行った結果、ゴールデンデリシャスの摘果効果はよく、その後の仕上げ摘果では無散布区の約60%の労力で作業が終わり省力がはかられた。
  7. ゴールデンデリシャスの場合、デナポン散布によりサビ果を多く生ずる傾向がみられたので、サビ防止剤サビノック100倍、添加剤としてpHの低い酸性白土、クレフノンを使用することにより、摘果とサビ防止が同時にできることを明らかにした。

秋田県果樹試験場研究報告(1973)第5号 73-84

リンゴ園の土壌肥沃度に関する研究
第10報.土壌の深さと地上部の生育との関係

山崎利彦・新妻胤次・田口辰雄・鈴木栄司

 第三紀凝灰岩に由来する土壌と腐植質火山灰土壌を含むリンゴ集団地を選び、土壌の深さとリンゴの植生との関係を調査した。調査は8年生ゴールデンとスターキングを対象にして行った。これらの樹の前年の施肥量はN-P2O5-K2Oそれぞれ10a当たり16-4-8kgで、調査年は無施肥であった。結果は次のとおりであった。

  1. 調査地域の土壌は強酸性でy1が高く、塩基置換容量は高かったが置換性塩基に乏しく、特に置換性カルシウムは低かった。
  2. 有効土層や主要根圏土層の厚さは両品種の幹周、新梢長、果実の横径、葉中窒素含量などに影響を及ぼさなかった。
  3. 表土の厚さと両品種の葉中のクロロフィルと葉内窒素含量との間には密接な関係が認められた。
  4. この調査地域では樹の生長に及ぼす土壌の深さの影響は普通量の施肥によってmaskされるので、土壌が非常に浅くてもリンゴの経済栽培は可能と考えられた。