人工受粉

2015年01月07日 | コンテンツ番号 9100

受粉作業 安定した結実をめざして

果樹の仲間のほとんどが、自分の花粉では実をつけることができない自家不和合性という性質をもっています。(例外としてブドウ、ビワは自分の花粉で実をつけることができます。)
また、他の品種の花粉でも相性が合わず実をつけない他家不和合性という性質をもつものもあります。(オウトウ、ニホンナシ)

このような性格を持った木に、たくさんの果実を成らせるためには、多くの花が相性の良い花粉と出会わなければいけません。
相性の良い花粉と出会う方法として次のようなものがあります。

  • 風媒受粉:風の力で花粉が運ばれます。
  • 鳥媒受粉:鳥が花の蜜を吸いに来た時に、花粉を体につけて運びます。

この方法は、多くの花が花粉と出会う方法としては効果が弱いです。そこで、果樹栽培では以下の方法をつかって、安定した結実を目指します。

虫媒受粉

マメコバチミツバチといった訪花昆虫に花粉を運んでもらいます。
樹園地内に訪花昆虫の巣を設置し、受粉作業を訪花昆虫にまかせます。

※虫媒受粉の注意点

(1)開花の時期

主要樹の開花と受粉樹の開花の時期があわなければいけません。

(2)天候に左右されやすい

雨が降ったり、寒かったり、風が強かったりすると、訪花昆虫の活動が鈍くなります。

(3)鳥害

巣箱を鳥に食べられ、荒らされることがあるので、巣箱を金網などで保護する必要があります。

画像:マメコバチ

画像:マメコバチの巣
マメコバチの巣

より安定的に結実させるための方法として

人が道具を使って花粉をつける人工受粉があります。

受粉を行う時期

花が5分咲きになった時と満開になった時をねらって、2回以上行います。

方法

道具
  • 梵天(1)
  • 羽毛回転型電池式受粉機【商品名ラブタッチ】(2)
  • 毛ばたき(3)
    などを使います。
画像:梵天
画像:ラブタッチ
画像:毛ばたき
使用する花粉
  • 生花利用
    主要樹と受粉樹との花を、毛ばたきなどを使って交互になでます。開花時期がうまく合うことが必要です。
  • 貯蔵花粉利用
    前もって受粉樹の花粉を集めておき、その花粉を石松子などで希釈します。
    そして、梵天や羽毛回転型電池式受粉機【ラブタッチ】で主要樹の花に受粉します。

貯蔵花粉の採取方法

画像:花の採取

1.風船状~開花直後の花を採ります。

画像:葯をふるい落とす

2.ふるいを使って葯をおとします。

画像:開葯の準備

3.黒い紙の上に葯を薄く敷きます。

画像:開葯器

4.開葯器にいれ20~25℃で約1日置きます。

画像:花粉の保存

5.ハトロン紙に採取日と品種名を必ず記入してから花粉を入れます。

画像:花粉の保存中

6.ビンに乾燥剤を入れ、袋を入れます。そして-10℃以下で保存します。

画像:石松子

7.石松子で希釈します。

発芽率の調査方法

画像:花粉の保存

1.貯蔵ビンを冷凍庫から出して、常温に慣らします。

寒天培地
蒸留水:100ml
寒天:1g
ショ糖:10~15g
画像:寒天培地

2.寒天培地を敷いたシャーレを準備します。

画像:培地に花粉をまく

3.筆などで、花粉を薄く、均一にまきます。
(厚かったり、不均一だと、花粉が重なって見えにくくなります)

4.シャーレにふたをして、恒温器に入れます。
20~25℃で約2時間保温します。

画像:顕微鏡

5.顕微鏡を使って、花粉がどのくらい発芽しているかを調べます。

発芽率は
発芽花粉数÷花粉数×100
として計算します。

6.花粉の希釈倍率を決定します。
発芽率によって倍率を変えます。

発芽率(%) 花粉:石松子
 りんごの場合(容積比)
80以上 1:4
80~70 1:3
60~50 1:2
40 1:1
30 1:0
20以下 活力が低いため
使用しない

徹底した受粉作業で、結実確保!!