写真:サメガレイ1

写真:サメガレイ2

和名:サメガレイ
学名:Clidoderma asperrimum (Temminck and Schlegel)
地方名:ほんだ,ほんだがれい(宮城・福島)
大きさ:体長388mm,全長450mm,雌(卵巣が発達)
採集日:2012年6月6日
採集地:男鹿半島西岸 潜り岩(通称)沖 水深120~130m
採集法:刺し網

2012年6月6日に、男鹿市畠にある秋田県漁協の畠支所から「見慣れないカレイが獲れた」と連絡がありました。漁協で確認したところ、その特徴的な形態からサメガレイと同定できました(図1)。本種の分布域は日本各地~カナダ太平洋岸、東シナ海~渤海と広いのですが、分布水深は150~1000mとやや深く、日本沿岸での漁獲量は東北地方太平洋岸が大部分を占めています。また、水産庁による資源管理の対象種にもなっている重要な漁業対象種です。

今回報告された個体は水深120m付近に仕掛けた刺し網にかかったとのこと。本種は2011年10月にも、男鹿沖で底びき網によって同サイズの雄が漁獲されています。年齢と全長の関係が明らかにされており、それによると今回の雌は4~5歳であると推察されました。

サメガレイは身に脂があり煮ても焼いても大変美味しい魚で、東北地方太平洋沿岸では春先の産卵期に産卵場である水深600~900mで漁獲されています。この海域では近年、漁獲量が著しく減少しており、産卵親魚を集中的に漁獲していることもその原因の一つと考えられています。しかし、分布水深が深いこともあり、その生態についての情報は少ないのが現状のようです。

最後に、標本を快くご提供いただいた鎌田幸博氏および情報提供いただいた秋田県漁協畠支所の皆さんにお礼申し上げます。