トラフグ担当者のつぶやき

2015年04月14日 | コンテンツ番号 6881

トラフグ担当者のつぶやき 16 《ALC二重標識》

6/15(火)~

稚魚の取り上げ途中で、一部の稚魚には再度ALC標識を付けました。先にも書きましたが、ALC標識とは、頭の中にある骨の一種「耳石」を染色するものです(「7 標識あれこれ」参照)。

既に、ふ化直前(卵の中では既に仔魚の形になっている)の段階で、全ての稚魚にALC標識を施しているので、今回ALCを付けた稚魚は2度目となります。

画像:水槽

さて、うまく染色されたでしょうか?耳石を顕微鏡で見てみました。黄色に見える部分がALCで染色された部分です。真ん中の点は1回目の卵の段階で染色した時のもので、リング状になって見えるのが今回染色した耳石の縁の部分です。この稚魚は、日令42日目に染色したので、1回目と2回目の間の染色されていない部分は、約41日間で成長した部分となります。

このALC標識は、適正放流サイズの検討のために付けました。現在、秋田県も含め、全国的に7cmサイズで放流が行われています。しかし、最近の秋田県の調査で、トラフグ稚魚が多く見られる場所(ナーサリー=幼稚仔保育場)が特定されてきたことから、この場所では、より小さいサイズで放流しても十分に放流効果を得ることができるのではないかと考えているのです。

現在、水槽には、1回だけALC標識を付けた稚魚と、2回ALC標識を付けた稚魚がいます。

1回だけの稚魚は全長5cm、2回のものは全長7cmで放流し、その生き残りを比較するのです。当然大きい7cmの方が生き残りが良いと思われますが、5cmと7cmでは1尾当たりの生産にかかる経費が異なります。5cmの方が経費は安く済むのは明白です。また、同一規模の水槽では、小さいサイズほどたくさん飼育できるため、飼育数(放流数)を増やすことができます。さらに、尾鰭欠損のリスクも少なくなります。このような数々の事項を勘案し、適正放流サイズを決定したいと考えています。

放流後の調査結果が楽しみです。
種苗生産担当者としては、小さいサイズ(生産期間が短い)の方がいいのですが・・・。

トラフグ担当者のつぶやき 15《取り上げ》

6/14(月)~18(金)

今日から、水槽の魚を全て取り上げ、生残数を求めます。その後、飼育密度を下げて再度飼育を続けます。飼育密度を下げるため、逆に飼育水槽の数は増えるので、管理はさらに複雑になります。
さて、稚魚の計数は、片手にカウンター(計数器)、片手に稚魚の入ったカップを持ち、1尾ずつ数えます。ホントです。

画像:稚魚の計測の様子
たくさんの人に手伝ってもらって稚魚の計数をしました。
画像:カウンターを押して数えている様子
カップに稚魚を入れ、1尾ずつカウンターで数えます。

地道な作業ですが、この作業は非常に高等テクニックを要するのです。
実は、トラフグは日令20日目以前から、既に一丁前に腹を膨らますことができます。普通は水中で水を吸って腹を膨らませますが、網などですくい水から出た状態では、空気を吸って膨れます。こうなったら大惨事。実は、このサイズでは、空気をうまく吐き出すことができないのです。

空気を吐き出すことができなくなったフグは、水面に浮いたまま、他のフグに突っつかれ、「さようなら」になるのです。

画像:浮いてしまったトラフグの稚魚
空気を吸ってはき出せなくなり浮いてしまったトラフグの稚魚

そのため、網を用い稚魚を集めた状態(水からは出しません)で、水ごと稚魚をすくい数えるのですが、気と体力、そして時間を使う大作業になります。

稚魚の取り上げ作業は5日間かかりました。生残率は30~50%で、計画の35%よりは少し良く安心しています。そして驚き!成長が早い水槽ほど生残率が高いことが分かりました。小さなサイズの時期を短くすることが生き残りを良くするようです。

ところで、取り上げ作業では、いくら気を遣っても、やはり空気を吸ってしまうフグがでます。残念なことです。1尾でも生かしたいのですが、我々の仕事は試験研究です。データを集めなければ、ならないのです(仕方ない)。

しかし、世の中にはいいものがあるんです。自動的に魚の数を数えてくれるフィッシュカウンター(魚数計)なるものです。これを使えば、空気を吸って膨らんでしまうフグは0になります。また、人も時間もかかりません。魚にも人にも優しい機械です。でも、非常に高価で当センターにはありません。佐竹知事、買って下さい(担当者のつぶやき)。

トラフグ担当者のつぶやき 14《試験一旦終了》

6/13(日)

日令40日目。

画像:日令40日での稚魚の写真
日令40日(最も成長の良かった水槽の稚魚、格子は5mm角)

今日で、一旦、配合飼料別成長比較試験は終了です。そのため、全長、体重、尾鰭の状況について測定を行いました。

全ての水槽で尾鰭の噛み合いはなく、良好な尾鰭をしていました。照度を下げ、餌をたくさん与えたことからいい結果になったと思われます。計画通り!!!

水槽ごとの平均全長は、成長の最も悪かった水槽が15●、最も良かった水槽が24●で、大きな差が出ました。

ふ化からの成長をグラフにしました。担当者のつぶやきなので、メーカー名等は記載できません(推定されるような表現もご勘弁下さい)が、与える配合飼料によりこんなに成長差がでたのは驚きです。

この成長データと配合飼料の価格等を勘案し、最も経済的で元気なトラフグ稚魚の飼育方法を導き出すことができると考えています。

ところで、水槽別の生残数(生残率)は・・・。今日は日曜日、職員は私1人だけ。水槽から魚を取り上げるには人手がいります。明日以降、数日かけ全数を取り上げ生残数(生残率)を数えます。手のあいている人手伝ってちょーだい。

図:配合飼料別の稚魚の成長

トラフグ担当者のつぶやき 13《フグの身体検査》

6/8(火)

日令35日目。全長は約15~17mmになりました。尾鰭の噛み合いは無く、順調に成長しています。

画像:日令35日での稚魚の様子
日令35日(全長15~17mm)

今日でアルテミアは終了です。明日からの餌は、配合飼料のみです。
水槽を見ると、トラフグが大きくなったことから、人口密度、いやフグ密度が高くなっているように見えます。飼育は3,000尾/kℓの密度で始めましたが、いつもの年より生き残りがいいような気がします。

このトラフグ飼育試験中は、5日ごとに身体検査を行いサイズを測定しています。こまめにチェックすることにより、成長の善し悪しを判断するためです。成長が停滞すれば、原因を突き止め、翌年の飼育試験に反映し、よりよい飼育技術を確立する必要があるからです。

ほとんどの魚もそうですが、トラフグは1年に1回しか卵を産みません。そして、その1年に1回のチャンスを無駄にしないように試験計画は綿密に練っておき、効率的に飼育試験を行う必要があるのです。が、実際は病気や機器のトラブル等で、つまずくことも・・・・。多々ありますが・・・。

ところで、今回の飼育試験は、日令40日目で一旦終了し、その後、全数稚魚を取り上げ、密度調整した後、再度水槽に収容し、新たな飼育試験を行います。
このままの密度で飼育を続けると、尾鰭が無くなってしまうので・・・・。
来週は、トラフグの計数・取り上げ作業で大忙しになります。

画像:透明なシャーレに並べられた稚魚 画像:10倍に拡大してノギスで測定している様子

5日ごとに行っている測定。
稚魚をならべ、拡大鏡で10倍にしてノギスで測定します。
今回は、フグに似ているTさんが測定を手伝ってくれました。

トラフグ担当者のつぶやき 12《貝化石》

6/3(木)

日令30日目。ふ化してから1ヵ月、全長は約14~15mmになりました。

画像:日令30日での稚魚の様子
日令30日(全長14~15mm)

明日から、さらに配合飼料を与える回数を増やします。夜明けから日没の間(朝5時から夜7時まで)に10回に分けて与えるようにします。
餌は、多めに与えているので、残った餌は、糞等と一緒に底に沈み腐敗し水質が悪化してしまいます。そのため、従来は、堆積物を掃除機(家庭用ではありません)で吸い取ったり、注水量を多くして水の交換率を高めるようにしていました。
しかし、トラフグの飼育では、数年前から底掃除を一切やめています。底掃除の行為がトラフグにストレスを与えてしまい噛み合いが発生し、尾鰭が短くなるからです。また、底掃除は、熟練が必要です。堆積物を巻き上げてしまうと、水質が一気に悪くなったり、巻き上がったものを餌と間違えて食べてしまい稚魚が死んでしまうからです。
さらに、注水量も極端に減らしています。飼育水はボイラーで加温しているので、注水量が多ければ多いほど燃料を多く消費してしまうからです。財政難から仕方ありません。
それでは、水質が悪化してトラフグが死んでしまうのでは・・・。
安心して下さい。「貝化石」を水槽に散布し水質改善を図っているのです。
「貝化石」って何?と思われる人が多いのではないでしょうか?貝類等が化石化した多孔質の粉末で、硫化水素やアンモニア等を吸着してくれる優れものなのです。
一般に、底掃除を行わないと、水質悪化はもちろん、底に蓄積した堆積物が時間とともに、剥がれて浮いてくることがあります。また、堆積物からぬめりを伴った糸状のものが立ち上がってきて稚魚を絡めて死に至らせることもありますが、貝化石の散布でこれらが防止できるのです。
このように飼育方法が毎年少しずつ改良されています。この飼育は、貝化石の購入経費がかかりますが、それ以上に底掃除の人件費、加温の燃料代、海水取水の電気代等の経費が削減されるため、結果的に省コスト化が図られるようになりました。もちろん、尾鰭も短くなりません。

画像:貝化石微粉末を手に取ったところ貝化石微粉末;ちょっと粒が粗い小麦粉のようです。
山から採取される天然物質です。

トラフグ担当者のつぶやき 11《ワムシ終了》

5/29(土)

日令25日目。全長約11mmになりました。

画像:日令25日での稚魚の様子
日令25日(全長11mm)

このサイズになると、さらに泳ぎも早くなります。また、初期餌料であるワムシは小さすぎて効率が良くありません。幼稚園児に母乳を飲ませているようなものです。そのため、今日でワムシの給餌は終了です。
明日からは、アルテミアと配合飼料のみになりますが、ワムシが無くなる分、配合飼料を多くしなければなりません。また、餌の回数も、3回/日だったものを、夜明けから日没までの間(朝5時から夜7時まで)に6回に分けて与えるようにします。明るい時間に、空腹にしないためです。噛み合いを少なくし、尾鰭が無くなるのを防ぐためには必要なのです。
しかし、餌を与えるために早起きする必要はありません。自動給餌器なる便利な機械があるのです。これとタイマーを組み合わせることにより、餌やりのための早朝出勤、残業をしなくてすむのです。
しかし、時々、餌の目詰まりが起きるなどトラブルも発生するので、油断もできません。一旦、空腹による噛み合いで尾鰭が無くなってしまうと、尾鰭の再生にエネルギーを使うため、成長が遅れてしまうのです。おまけに、尾鰭はきれいに再生せず、乱れた状態で再生してしまいます。
うれしいことに、今年は、新しい給餌器6台を導入しました。従来品よりも、目詰まりが少なく、設定やメンテナンスが楽な給餌器です。ただし、非常に高価で、全ての水槽には導入できませんでした。これにより、トラブルによる尾鰭の欠損が少なくなることを期待しています。
しかし、この、すばらしい給餌器は、パートのおばちゃんに「便器」と呼ばれているかわいそうな給餌器です。

画像:新しい給餌器
新しい使い勝手が良い、かわいそうな給餌器

トラフグ担当者のつぶやき 10《配合飼料もいろいろ》

5/24(月)

日令20日目。全長8~9mmになりました。

画像:日令20日での稚魚の様子
日令20日(全長8~9mm)

明日からは、配合飼料も与えるため、今日から準備を始めます。
配合飼料は、様々なメーカーから発売され多種多様です。基本は魚粉から造られるのですが、タウリンやビタミン類、○○エキス等々、様々なものが添加されたものもあり差別化を図っているようです。また、近年は、安い配合飼料も販売されるようになってきました。
当センターでは、今までの成長状況等の飼育実績を基に配合飼料を選定していたのですが、この財政難。ということで、今年度は数社の配合飼料で比較飼育試験をすることにしました。
写真のように4種類を用意しました。メーカー名等を入れるといろいろと問題になるので、アルファベットで記載しています。価格の高い順にAから並べています。各配合飼料を比べてみると、微妙に色が異なり、匂いも多様です。

画像:配合飼料4種類
配合飼料。色、匂い、成分等が種類により異なります。

栄養等の成分とは別に、トラフグはどのような匂いの配合飼料を好むのでしょか?匂いを嗅いでみました。

  • A:一般的な魚粉の匂いがします。
  • B:かなりきつい魚粉の匂いがします。
  • C:一般的な魚粉の匂いがします。
  • D:魚粉の匂いに混ざり「えびせん」の匂いがします。ちょっと臭いスナック菓子です。

匂いに関して、人間的にはDの餌が良さそうです。しかし、トラフグをうまく飼育するためには、自分がトラフグになった気持ちで飼育しなければなりません。そう考えると、トラフグ的には匂いのきついBを好みそうです(たぶん)。
次に、勇気を出し、トラフグになりきって4種類の餌を食べてみました。全ての餌は薄味でしたが、思ったほど、まずくはありませんでした。その中で、Dがやはりエビの味がうっすらとありいい感じ。人間的にもトラフグ的にもDの餌が良さそうです。Dは4種類餌の中で一番安いこともあり、期待が持てそうです。飼育結果はどうなるのでしょうか。楽しみです。こうご期待!
でも、明日、お腹大丈夫かな~。

トラフグ担当者のつぶやき 9《いざ、暗闇へ》

5/19(水)

日令15日目。
以前、トラフグは、鋭い歯でお互いが噛み合いを起こすことから、歯を切り落とし流通させていると書きましたが、既にこの頃から、噛み合いを始めるんです。
噛み合いはお互い追っかけ合って、尾鰭をかみ切るため、タイやヒラメなどと同じ方法で飼育すると、尾鰭の無い稚魚に。大変なことが起こってしまうのです。

画像:尾びれが半分の稚魚
尾鰭が約半分になった稚魚
画像:尾鰭の残った稚魚
尾鰭が100%残っている優良稚魚
(2009年度トラフグ種苗生産試験結果の写真)

このような、尾鰭のない稚魚を放流しても、早く泳げないため、大海原では餌にありつけなかったり、他の魚に食べられる可能性が高くなり、結果的に生き残りが少なくなります。
高い密度での飼育や空腹などのストレスが原因と考えられています。
それでは、飼育密度を低くすれば良いと思われがちですが、これでは、放流数は極端に少なくなってしまいます。水槽がいくらあっても足りません。
そこで、数年前から、当センターでは、飼育水槽を暗くして(50ルクス以下)、かつ、空腹状態にならないように頻繁に餌を与える飼育を行っています。これにより、近年は、尾鰭の短いフグが少なくなりました。
しかし、100%尾鰭の噛み合いが無くなったわけではありません。そのため、今後も様々な条件で飼育試験を行い、尾鰭がきれいな優良フグを生産する技術開発をすることが重要となります。
今日から、水槽の周りに遮光ネットを張り巡らせ、暗くなった水槽でストレスを与えないよう飼育を行うことになります。そのため、懐中電灯を持っての作業になります。
ところで、いつもガミガミ怒って他人に噛みついている人は、暗くして食べ物を与えると静かになるような気がしませんか?

画像:遮光ネットで覆われた水槽
遮光ネットで覆われたところがトラフグ飼育水槽。
まるで、占いの館です。

トラフグ担当者のつぶやき 8《アルテミア》

5/18(火)

日令14日目。
この頃になると、トラフグは生まれた時の約2倍の全長6~7mmになります。そして、より積極的に餌を探して食べるようになります。今日から、ワムシだけでなく一回り大きいプランクトン「アルテミア」も与えます。アルテミアは、約0.6mm程度の大きさで、日令35日まで与えます。
アルテミアも当センターで育てますが、ワムシと異なり缶詰に入ったアルテミアの卵を購入し、ふ化させトラフグの餌とします。

画像:アルテミアの卵の缶詰
アルテミアの卵の缶詰。約450g入り。
これ1缶で約1億個のアルテミアが生まれます。

アルテミアの卵を水温28℃の海水に入れると翌日ふ化します。翌々日にはアルテミアも餌を食べるようになりますが、この時、栄養剤を食べさせて、アルテミアの体の中に蓄積させます。この栄養たっぷりのアルテミアをトラフグに食べさせるのです。これにより、トラフグはどんどん大きくなります。
アルテミアの卵の缶詰は、非常に高価です。アメリカ産が主ですが、近年、若干安い中国産も出回っています。また、アルテミアに代わる冷凍天然プランクトンも販売されており、アメリカ産アルテミアと同等な成長であれば、安いものに切り替え、経費削減を図りたいと考えています。
ところで、アルテミアに与える栄養剤。人間にとっても重要な、ビタミン、DHA、EPA、βカロチン等が入ってますが、においを嗅いだだけで、ウエッ!もしかしてアルテミアは、仕方なく口に入れているのかもしれません。

画像:アルテミア
アルテミア。コウモリのような形をしています。
体内のオレンジ色に見えるのが、蓄積した栄養剤です。
画像:アルテミア入りの水槽
1kℓ水槽で飼育中のアルテミア。下部のバルブを開け水槽へ流し込み餌とします。

トラフグ担当者のつぶやき 7《標識あれこれ》

5/11(火)
日令7日目。
秋田県のトラフグ稚魚の放流は、海の中のトラフグの量を増やし、それにより漁獲量を増やすために行っています。漁獲量が増えると、漁業者の収入が増えるだけでなく、需要と供給の関係から単価が下がり、高級魚のトラフグも、より身近なものになることが期待されます。
放流したトラフグの行動や放流の効果を知るためには、放流魚に標識を付け、天然魚と区別することが必要となります。
標識は、様々な種類がありますが、外から見える外部標識(タグ装着、焼印、入れ墨、鰭切除など)と見えない内部標識(体内埋め込みタグ、ALC染色など)に大別され、その調査の目的、対象魚の大きさなどにより選択しています。
もし、標識(外部標識)の付いた魚を捕まえた場合は、最寄りの漁協又は水産振興センターまでご連絡下さい。

画像:外部標識
外部標識(タグ)。目立つようにカラフルな色をしています。

さて、今回飼育しているトラフグには、内部標識であるALC標識をふ化直前(卵の中では既に仔魚の形になっている)に施しました。ALC標識とは、生体染色剤であるALCを飼育水に溶かし、その中に卵や稚魚などを入れ骨を染色するものです。普通の骨は、代謝により時間とともに色が薄くなり消えてしまいますが、頭の中にある「耳石(じせき)」は、代謝しないため、色は長期間残ります。
一度に多量の魚に標識付けができ、また、小さな魚にも付けることができる標識ですが、外から見ても分からず、魚の頭の中から耳石を取りだして顕微鏡で見なければならないなどのデメリットもあります。
今日、この標識がうまく付いたかどうか顕微鏡で見たところ、耳石が鮮やかに染色されているのを確認しました。
魚同様、鉄砲玉のように行き先も告げず、いなくなってしまう人には、標識を付けてみてはどうですか?思わぬ所から報告があるかも?

画像:紫外線に反応するフグの耳石
左上を向いているフグの頭を上から見たところ。
ALC標識は紫外線をあてると黄色く光ります。
二対ずつの染色された耳石が見えます。

トラフグ担当者のつぶやき 6《ワムシ? マムシ?》

5/7(金)
日令3日目。
今日から餌を与えます。ふ化から数日間は、生まれた時に持っていた卵黄(黄身)を栄養源としていたのですが、この頃からは餌を食べるようになるのです。
餌は、フグの大きさにあったものを与えなければなりません。
当センターでは、まず最初に0.3mm程度の動物プランクトン「ワムシ」を与えます。このワムシもここで育てているんです。ワムシは、日令25日まで、最大1日当たり20億個程度を餌として与えます。
ワムシは生きた餌です。配合飼料(金魚の餌の様な人工の餌)は、食べ残しがあると水槽の底へ蓄積しそのまま腐敗して水質悪化の原因となるのですが、ワムシのような生きた餌は、食べ残されても、水槽内で生きているので水質悪化しません。そのため、ほとんどの魚の初期の餌としてワムシが用いられています。
ワムシがうまく育てられない場合は、仔魚もうまく育ちません。そのため、ワムシ担当者は、魚の飼育担当者よりも神経を使うのです(ホント)。

画像:ワムシ
ワムシ。上部のチューリップの花の様な部分が体。下部の2つの球は卵。
卵は1日でふ化するのでワムシはどんどん増えます。

なお、ワムシを育てている「ワムシ棟」は、水産振興センター敷地内の一番端の山側にあります。名前が似ているからかどうかわかりませんが、時々、マムシも出現するので、こちらにも神経を使っています。

画像:ワムシ棟
ワムシ棟。建物は古く鉄骨はサビだらけですが、
最も重要な仔稚魚の餌「ワムシ」を育てています。