よく、政治家の言葉は、分かりにくい、遠回しな表現が多い、あるいは単刀直入な言葉を使わないと言われます。
 また、お役所言葉、国や地方自治体の出す文書に使われる言葉は、堅くてよく分からない、難しい漢字が多いなどと言われます。
 それでも最近は少しは良くなり、平易な表現、普通一般的に使われている用語を使うようになりましたが、まだまだというのが実態でしょう。
 よく言われるのが、役所言葉の典型的なもので、「促進」・「推進」という言葉があります。 一般的には「促進」は、役所がその主体となって行うものでなく、例えば産業政策を例にとれば、企業への融資や補助金などにより企業の生産性を高めたり新製品開発により企業の売り上げを伸ばし、その結果として産業の振興を促そうというものであり、言葉のとおり、まさに「促し、進める」ということになります。
 それに対し「推進」は、まさに役所自らのが直接行うもので、例えば道路整備や教育施設の整備などで、まさに「推し、進める」ということになります。
 また、「遺憾に思う」とか「鑑みて」とか、難しい言葉であまり民間では使わない言葉も役所言葉と言えるでしょう。
 簡単に言えば、「思い通りでなく残念に思う」、「前例や各種の決まりに照らし合わせて」ということですが、何となく重々しく聞こえ、つい多用しがちです。
 いずれ、前後の文脈によりますが、なるべく分かりやすく、一般的に使われる言葉を使うようにするのが時代の流れでしょう。
 ただ、これらの言葉は言葉の難解さは別として意味は正しいので、一概にへんな使い方ではないと思います。
 ところが、最近、政治家が不明朗な事案や不祥事がらみの事案について、各方面から反論されたり攻められた時に、「丁寧に」という言葉を耳にすることが多くなりました。
 「丁寧に」という言葉の本来の意味は、動作や態度、表現を礼儀正しく念入りに行うことを形容するもので、正確に正しくという意味ではありません。
 ということは、例えば何らかの事案について、「丁寧に説明する」ということは、表面的には礼儀正しい態度で細々かつ長々と説明するが、本当のことは「はぐらかす」というようにも受け止められかねません。
 聞きたいのは丁寧な態度や表現の言葉ではなく、「正確に」、「本当のこと」です。
 「その件については、後ほど丁寧に説明いたします」ではなく、「・・・正確に説明・・・」が正解でしょう。
 私も政治家の端くれですが、用語の使い方には気を付けたいものです。

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