私が県職員に採用された昭和48年当時の知事は、私と同じく県職員出身で一時期秋田市の助役を務めた故小畑勇二郎氏でした。
 小畑元知事は知事6期24年間を務めた方ですが、県内の隅々までよくご存じの方で、予算査定などでは、職員が知らない県内各地の様子を知事自ら語ってくれる方でした。
 「○○町の県道△△線は傷みがひどいな、土木事務所長分かってるのかな!」、「□□市の▽▽峠から見る夕日はきれいだぞ、夕日の名所にしたら?」、「◇◇温泉の湯は身体に優しく温まるぞ、今度行ってみなさい、もう少し観光宣伝しっかりやるように!」・・・・実に県内各地の事情に詳しい方で、特定の場所に関連する事業等に関し説明する場合に、現場に精通していない職員の場合は、たじたじとなることがよくありました。
 「知事さんは、よくご存じですね。」と部長クラスがお聞きすると、小畑元知事は次のように答えることが多かったことを記憶しています。
 小畑元知事曰く、「君、選挙活動で全県隅々を廻るが、ただ公約を訴えるだけが選挙運動ではないんだぞ、地域地域の道路事情、商店街や観光地の様子、山や川の様子、それぞれ、自らしっかり確かめながら全県を廻ることが県政につながるんだぞ。君たちはしっかり県内の現場を見てるのかな?」と、職員は無言で恐れ入りましたという表情でした。
 さて、私も今回で5回目の全県遊説、24年の間に県内の様子が良くも悪くも随分と様変わりしたことを実感し、またそれなりに注意深く地域の様々な状況を観察しながらの遊説で、自ら得た情報を当然に今後の県政運営に活かしていかなければなりません。
 一方で、朝早いのと遊説効率を上げるためのショートカットで普段あまり通ることのない道路を走るのが全県遊説の常で、まさにそれが新発見につながります。
 春の陽光に残雪がキラキラ輝き神々しい姿の山々、日本海に動きを早めるようなスピードで沈む赤い夕日、こんな所にかと思う由緒ありげなお地蔵様群、農村の片隅に建つ立派な寺社や樹齢何百年もの風格を感じさせる大木、果てしなく広がる水田風景が一望できる峠、まさに感激・感嘆、秋田はなんと素晴らしいんだという思いを新たにした次第です。
 さて現在、コロナ禍で遠くへの旅行は避けて、いわゆる近場で楽しむマイクロツーリズムという新しい旅行のジャンルが注目されていますが、別にコロナ禍でなくとも秋田の有形無形の未知なるものの発見を主体としたマイクロツーリズムは高齢化時代にマッチしているのではと思った次第です。
 安全安心、疲れず廻れる県内に山ほどある魅力あふれる未体験ゾーン巡り、今こそチャレンジしてみませんか!

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