梵天舗の由来(鹿角の伝説)

2009年12月15日 | コンテンツ番号 383

第4話 梵天舗の由来(舗・・・・鉱石を掘る坑道)

 和銅元年(西暦708年)。この年は、武蔵の国(関東地方)から出た銅で、我が国で初めて銭がつくられた年である。

 そのころは、我が国で銅が見つからず、遠い中国から銅を買い入れていた。そのため天皇は、全国の国主に全国のすみずみまで銅を探すように地方の役人へ命令した。

 そして、ここ奥州でも、国主たちが険しい山をいくつも越えながら銅を探し歩いていた。ある時、方々で銅を探し歩いてきた国主の一行が、尾去沢の大森山の麓へやって来たときのことである。一行は、歩き疲れていたため一休みし、山を眺めていた。その山は石や岩が多く、険しく、また大きな木々もたくさん生えており、なんとなく霊験(神様の力)を感じる山であった。

 一行が休んでいると、急に風が止み、あたりが“しーん”と静かになった。そして、はるか向こうの空の中に何か影が写った。一行は、びっくりし息を止めながらそれを見ていると、その影は、けもののような形になり、そして、大きな獅子の格好になった。それはまさに獅子大権現の姿であり、獅子の後ろには、梵天を持った大勢の共が連れ添っている姿も見えた。それを見た一行の者は、これから何か大変なことが起こるのではないかと恐怖に震えていた。

 空から地上を見下ろす獅子は、急に梵天を供人から取り上げて、天を見上げ、何かと戦うような激しく怒り狂った様子を示した。

 人々は、ただぼうぜんと空を見上げているばかりであった。

 お日様の光が急に揺れ動いた瞬間、獅子は梵天を地上めがけて投げ付けた。その瞬間、光が輝き、国主の一行は、目が眩んで倒れ、気を失ってしまった。国主は、気を失っている間、「探し回っている銅は、ここ大森山にある。」と神様から告げられた夢を見て、はっと目をさました。

 国主は、銅のあるところは、あの梵天が投げ付けられたところに違いないと思い、皆で木の枝を払ったり、岩山を登り探し回った。そして、梵天が突き刺さっている場所を見つけ、そこを掘ってみた。すると、そこからは探し求めていた銅が出てきた。国主は、とても喜び、さっそく銅を掘って天皇に献上した。天皇は、それはそれはたいへんな喜びようで、お礼として国主へたくさんのほうびをくれたとのことである。

 梵天が投げ付けられて突き刺さった場所は、今の赤沢道の所であり、ここの銅を掘った赤沢のことを梵天舗(ぼんてんしき)と名前をつけたと言われている。