長坂金山発見物語(鹿角の伝説)

2009年12月15日 | コンテンツ番号 382

第3話 長坂金山発見物語

 昔、天平20年(西暦748年)にあった話と伝えられている。

 尾去沢に佐藤清吉という人が住んでいた。ある夜、清吉は夢の中で、付き添いの者たちに梵天を持たせて大森山を歩いて来た唐獅子の格好をした人に、「この向こうの沢に宝があるので、掘ってみなさい。」と言われた。清吉は不思議な夢を見たと思い、次の日、さっそく夢で教えられた場所へ行ってその下を掘ってみた。すると、石の中に金色に光る物を発見した。驚いた清吉は、それを家に持ち帰り火の中で焼いてみた。すると、金色に輝くみごとなかたまりが出てきた。清吉は、このかたまりが何なのか不思議に思い、村人に尋ねたが、これを知る人は誰もいなかった。

 それから何日か経ったある日のこと、この世のことは何でも知っているという、腹の下まで長い髭を伸ばした白髪の老人が訪ねて来た。清吉は、あの金色の品物を出してこれが何であるのかを聞いてみた。老人は、その光る物をじっと見た後、笑いながら、「これは金というもので、これまで日本の国には無かったものだ。これは、七宝(七種の宝物)の中でも最も高価なものであり、この世の中で最高の宝物である。この金も我が国の中から出るようになったか。ああ、いよいよ金の時代が来た。まさに金の時代が来たんだ。」と言った。清吉は、このことを聞くと非常に喜び、この金を何回も拝んだ。そして、清吉が老人に名前を尋ねると、「わたしは、ここの『金山の彦』という者だ。」と言い残し、急に金色の光を体から放ちながら、水晶山の方へ飛んで行ってしまった。

 清吉は、その後毎日、金を掘り当てた場所へ行き、金色の大きな石を掘りだし、火で溶かしては金を取り出した。そして、それを国主に差し出すと、国主は天皇に献上した。天皇は、「奥州の黄金は大変きれいで評判が高く、日本一の良い金である。」と言い、国主と清吉にたくさんのほうびを取らせたとのことである。

 こうして長坂金山が発見されたと伝えられている。