遣い姫物語(鹿角の伝説)

2009年12月15日 | コンテンツ番号 381

第2話 遣い姫物語

 昔、尾去沢の近くに不思議な女が現れ、近くの山や谷を観察しながらぶらぶら歩き回っていた。彼女は、とても美しくもの静かで上品な感じのする女であったが、村の人達は皆、なんとなく近づきがたく、ただ遠くから彼女を見ているだけであった。

 ある日、この女は、尾去沢の佐藤清助という若者の家を訪れ、自分をここに泊めてくれるよう頼んだ。若者は、この女の存在を以前から村人から聞いて知っていたが、もし泊めて何か大変なことにでもなったら困ると思い、泊めることは断っていた。しかしながら、その女は10日たっても、20日たっても、他の家へは頼みに行かず、清助のところに来るのであった。

 ある日、その女が清助に、「ここの山の下や向こうの山の下を掘ってみてください。この世の中でも珍しい金というものが出てきます。あなたは、その出てきた金を国主に差し出し、そのかわり国の役人にしてもらうとよい。」と言って帰った。女はその後、毎日清助のところに来ては、そのことを言って帰っていったが、ただの百姓である清助は、そのことがどういうことなのか理解できず、それほど気にも止めなかった。その金のことよりも、毎日毎晩、そのことを話すきれいな女のことを考えているうちに、この女と一晩一緒に過ごしてみたいと汚い心が浮かんできた。そして、ある日の夕方、その女を家に連れて行こうと思い、女が山の方から下りてくるところを途中に隠れていて、後ろから抱きついた。そうすると、その女は、「実は私は、金華山から来た神様の使い者です。お前は、その汚れた心を直しなさい。そして、わたしの言葉に従って山を掘りなさい。」と言うと、清助の目の前から消えてしまった。清助は、その女の言葉で我に返ると、自分の汚れた心に気づき、消えてしまった女のことを慕いひざをついて拝んだ。

 そして、これまで何度も言われていた場所へ行き、その下を掘ってみた。すると、そこからは金・銀・銅・鉛の鉱物がいっぱい出てきた。こうして尾去沢鉱山が発見され、清助は、これらの鉱物のお陰で、その後とてもりっぱな人物になった。

 尾去沢鉱山の始まりは、仙台の金華山の神様からのお使いのお姫様のお告げで見つけられてから始まったという伝説である。