平成20年度国登録 田沢湖のクニマス(標本)

2014年11月28日 | コンテンツ番号 3467

田沢湖のクニマス(標本)

画像 : 秋田県立博物館収蔵 液浸標本1個体
秋田県立博物館収蔵 液浸標本1個体
画像 : 仙北市郷土史料館収蔵 液浸標本2個体
仙北市郷土史料館収蔵 液浸標本2個体

クニマス(Oncorhynchus nerka kawamurae)は、形態及び生態において多くの特徴をもつ仙北市田沢湖に固有の淡水魚であった。全長30cm程で、ベニザケの陸封型であるヒメマスに似るが、体色が黒く、体表や各鰭に黒点がない。水深100m前後の深所に生息したため、独自進化を遂げたと考えられる。1925(大正14)年にサケ科の新種として記載されたが、現在はベニザケの亜種とされることが多い。古くから漁獲されており、県指定有形文化財の佐竹北家日記には、1805(文化2)年8月に秋田藩主に塩引き5匹を献上したとの記録がある。また、田沢湖にまつわる辰子伝説では、辰子の母が湖に投げ入れた松明の黒い燃え残りが魚になったと言い伝えられている。1940(昭和15)年に発電等を目的として玉川の強酸性水を田沢湖に導入したため絶滅。現在、クニマスと確認できる標本は世界中に17体しか残っていない。

クニマスの標本は、我が国で人為的に絶滅させてしまった淡水魚の標本として稀少であり、わずかに残る標本は生物学的特徴を知るうえで重要なものである。