下請セーフティネット債務保証事業は、平成10年12月に旧建設省が策定した「建設業の経営改善に関する緊急対策」において、建設業者に対する円滑な資金の供給、信用の補完のための政策として実施することとされた事業です。
 中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合等が行う転貸融資と一般財団法人建設業振興基金の債務保証を組み合わせることにより、公共工事を受注・施工する中小・中堅建設業者に低利な施工資金を提供し元請業者の資金繰りを改善することにより、下請業者への支払条件の改善を図ることを目的としています。

制度の概要

対象工事

県が発注する請負金額500万円以上の工事(受託工事等を除く。)であって、低入札価格調査を経て契約を締結した工事でないもの等

債権譲渡の申請時期

工事の出来高が50%以上に達した時点

県の役割

 県は、債権譲渡承諾申請を受けて内容の審査・承諾を行い、工事完成(又は倒産等に伴う契約解除)後に債権譲渡先に対して工事代金を支払う。

仕組み

図:下請セーフティネット責務保障事業の仕組み

期待される効果

元請業者にとっては

  • 資金繰りの改善
     従来の出来高払・部分払に比べ簡易な手続きで短期間のうちに工事請負代金債権を現金化できるため、資金繰りの改善を図ることができる。
  • 低利で安定的な資金調達
     (一財)建設業振興基金による債務保証と保証事業会社等による協力預託制度があるため、企業が金融機関から直接借り入れするよりも低利で資金調達ができる。
  • 経営事項審査の評点アップ
     本制度による借入金は、経営事項審査の経営状況分析における負債回転期間を算出する際の負債合計額から控除できることになっており、経営事項審査の評点アップにつながります。

下請業者にとっては

  1. 迅速かつ適切な下請代金支払の確保
     債権譲渡先から元請業者へ融資を行うに際しては、元請業者から債権譲渡先に対して「下請業者への支払状況・支払計画書」が提出されるため、計画に基づき、元請業者から下請業者に対して迅速かつ適切な支払がなされることとなる。
  2. 元請業者が倒産した場合の下請代金の確保
     元請業者が倒産等の状況に至った場合でも、債権譲渡契約の下請保護特約条項に基づき債権譲渡先が元請業者に代わって下請業者へ一定の代金支払を行うこととされているため、下請業者への影響を最小限にとどめることができる。