地蔵岩(鹿角の伝説)

2009年12月17日 | コンテンツ番号 311

地蔵岩

 昔、岩手県の細野というところに住んでいた小田島という人が、重い病気にかかり、あちこちの医者から診てもらったものの病気は良くならず、毎日苦しんでいた。ある晩、小豆沢の地蔵岩の神様の夢を見たその人は、さっそく次の日から毎日、小豆沢の地蔵岩のところへやってきては、その地蔵岩の神様に病気を直してくれるように祈った。それから何日も経たないうちに、あれほど苦しんだ病気は嘘のようにすっかり良くなってしまった。

 その人は喜び、お礼にと、この地蔵岩の頭に自分で作った赤頭巾をかぶせてやった。

 それからは、この地蔵岩は御利益のある神様だと評判になり、遠くからも多くの人が参拝にやってくるようになった。また、この下を通っている街道を歩く人は、必ず立ち止まり地蔵岩を拝み、小豆沢の村人もお祭りをして大変にぎやかになった。

 月日も経ち、湯瀬に新しい道路ができ、汽車も通るようになると、地蔵岩は湯瀬渓谷の景色の一部として眺められるだけになり、昔のにぎやかさもなくなり、周辺もしだいに荒れてきた。

 ある時、野良仕事をしていた近くの村人がふっと地蔵岩を見て、昔のにぎやかだった地蔵岩のお祭りのことを思い出した。「昔は、参拝する人も多く、にぎやかに祭りをしたものだったのに、ほんとうにさびれてしまった。もし、私に果報が授かれば、昔のようなお祭りをしてあげたいものだ。」とため息をつきながら言った。

 それから数日して、その村人のところに巫女が訪ねてきて、「あなたは、神様にすがられている。この神様を祭るといいことがあります」と言った。

 その村人は、すぐに地蔵岩の周辺の草をきれいに刈り払い、旧暦の3月24日をお祭りの日と決め、近所の人達にも呼びかけ、お餅や山菜料理などを供え、にぎやかにお祭りをしてあげた。そうすると、この村の人々は、金回りも良くなったり、無病息災で長生きするなど、いろいろ果報が授かったということである。

(現在、この地蔵岩の頭巾や前掛けは、毎年秋の「ダンブリ長者」のお祭りの時に、新しいものと取り替えられている。)