平成20年4月10日
産業経済政策課

概況

県内経済は、原油・原材料価格高騰により、収益性が悪化していることや、消費がやや弱含んでいることから、全体としてもやや弱含んでいる。

  • 製造業 :横ばい圏内で推移
  • 建設業 :業界全体としてより厳しい状況が続いている
  • 小売業 :やや弱含んでいる
  • サービス業 :保険・DTPが強含みで推移
全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲25.6から▲23.2、現在の資金繰りは▲18.7から▲17.5、3か月先の業況見通しは▲12.7から▲17.9となっている。
製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.1%増、同1.9%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲6.9から▲12.6となった。主力の電気機械は、コンデンサを中心に総じて高水準を維持している。木材・木製品では、依然として業況の悪化が続いている。輸送機械や精密機械の多くの企業で力強い生産活動が続いていることなどから、全体としては横ばい圏内で推移している。鋼材を始めとした原材料価格の高騰、米国経済の減速、円高による影響については留意していく必要がある。
建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比36.0%減、同31.0%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲37.5から▲40.0となった。競争の激化、原油・原材料価格の高騰が続いていることに加え、公共工事の減少により受注を確保できていない企業が数社あるなど、業界全体としてより厳しい状況が続いている。
小売業では、売上高は前年同月比で10.2%増、3カ月先の業況見通しDIは▲30.0から▲33.3となった。概ね例年並の降雪となったことから、除雪用品などの季節商品に動きがあった。衣料品では、低迷が続いている。家電品は薄型テレビや白物が引き続き堅調に推移しているものの、一部では販売不振となっている。飲食料品は売れ筋が低価格商品となるなど消費者の買い控え傾向があるものの、底堅く推移している。飲食料品の一部企業が好調だったことやうるう年効果があったことなどから、小売業全体の売上高は前年同月比10.2%増となっているものの、その要因を除くと同比2.4%減となっており、全体としてはやや弱含んでいる。
サービス業では、売上高は前年同月比2.4%減、3カ月先の業況見通しDIは4.2から▲4.2となった。一部旅館・ホテルで小正月行事への観光客の宿泊があったものの、季節要因から運送の旅客部門と共に低調な推移が続いている。DTPは繁忙期を迎えたことにより再び強含みで推移しているほか、保険も基調としては強含んでいる。

製造業の動向

食料品

「弱めの動きが続く」
生産額は前年同月比0.7%増。3か月先の業況見通しDIは▲35.7から▲50.0となった。
商品別の動向をみると、例年並の寒さとなったことから季節商品である鍋物関連商品は好調だった。業務用商品では、高価格帯商品が不振だった一方、低価格帯商品は伸びがあった。また、中国産冷凍餃子事件により冷凍食品は不振だった。
酒造では、一部企業で生産を前倒したことにより全体としては前年同月比増となったものの、低調な推移が続いている。首都圏を中心に季節商品や特定名称酒の販売に伸びがみられる一方、県内需要は低迷を続けている。

繊維・衣服

「低調ながらも横ばい圏内で推移」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.9%減、同8.9%増。3か月先の業況見通しDIは28.6から▲42.9となった。
小ロット、低単価な製品の生産が多かったことなどから、生産額は前年度同月比減となった一方、春物の受注で高単価な製品の受注があったことなどから受注額は、同比増となっている。今後生産の主となる夏物は単価が低いことや、原材料価格が上昇傾向にあることなどから先行きには不透明さもみられるものの、安定した受注残を抱えている企業もあり、総じて横ばい圏内で推移するものと思われる。

木材・木製品

「一部では市況にやや動きが出始めるも、引き続き悪化」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比23.6%減、同23.4%減。3か月先の業況見通しDIは0.0から33.3となった
改正建築基準法の施行の影響などから全国的に新設住宅着工戸数の減少が続いていることや、県内では閑散期を迎えたことのほか、原油・原材料価格高騰の影響も相まって業況は引き続き悪化している。一部ではやや動きが出始めているものの、価格下落が続いていることなどから、先行きについては依然として不透明さが漂っている。

鉄鋼・金属製品

「引き続き好調な生産活動が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比25.6%増、同0.6%減。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から▲8.3となった。
建具関係では、新設住宅着工戸数の減少により引き続き悪化している。デジタル家電や携帯電話向け部品を中心とした電気機械関連のほか、輸送機械部品が引き続き好調なことなどから、全体としては好調な生産活動が続いている。
一方、原材料価格は鉄を中心に価格高騰が続いているものの、総じて価格転嫁が進んでおらず、収益性は大きく悪化している。

一般機械

「輸送機械関連が堅調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.3%増、同0.2%増。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲42.9となった。
輸送機械関連は、堅調な推移が続いているほか、塗装用機械でも海外需要により伸びがみられる。。一般産業向けでは、大型案件の終了などから生産額の落ち込みが見られるほか、公共工事関連でも低迷が続いている。
プラント設備関連では長期の受注残を抱える企業もある一方、一般産業向けでは案件が減少傾向にあり今後の受注にはやや不透明感が漂っている。

電気機械

「全体としては高水準を維持」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比0.1%減、同0.6%減。3か月先の業況見通しDIは4.8から0.0となった。
主力のコンデンサは、引き続き好調に推移している。光学部品、プリンタ部品、半導体関連、高周波製品でも高操業が続いている。プリント配線板は、概ね好調なものの、次世代DVDの規格競争の影響により、一部では生産額が落ち込んでいる。携帯電話向け部品の一部では価格下落やメーカーの撤退などから厳しい状況が続いている。
今後も引き続き高水準での推移が見込まれるが、円高が更に進展すれば、収益性が悪化することからその影響が懸念される。

輸送機械

「好調な生産活動が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.2%増、同0.9%増。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から0.0となった。
業界全体の好調さを受け、多くの企業で引き続き好調な生産活動が続いているものの、米国経済の減速などから海外市場の販売に陰りがみえる。
原材料価格の高騰が続くことに加え、今後も円高が進展すれば更なる収益性の悪化となることから、その影響が懸念される。

精密機械

「光学部品、医療機器関連で高操業が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.5%増、同2.9%増。3か月先の業況見通しDIは12.5から▲12.5となった。
光学部品では、デジタルカメラ関連を中心に好調に推移しているほか、医療機器関連でもフル稼動が続いている。また、携帯電話部品や輸送機械部品も概ね堅調な推移が続いている。一方、光ファイバー関連や計量機器関連では、サププライムローン問題などによる海外市場の冷え込みからから伸び悩んでいる。
今後生産額の減少が見込まれる企業もあるが、全体としては光学部品や医療機器関連の好調を受けて、高水準での推移が見込まれる。

建設業の動向

「業界全体でより厳しい状況が続いている」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比36.0%減、同31.0%減。3か月先の業況見通しDIは▲37.5から▲40.0となった。
災害復旧工事を中心に受注を確保している企業もあるものの、下請け工事が増えていることや、受注を確保できていない企業も数社あり、大幅な悪化が続いている。先行きについても、公共工事の減少や原油・原材料価格の高騰が続くことが予想されることから、さらなる悪化が懸念される。

小売業の動向

衣料品

「引き続き低調に推移」
売上高は前年同月比9.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲57.1と変わらない。
気温の低下に伴い、実用防寒衣料は伸びがあった一方、総じて高価格帯商品は不振が続いており、売れ行きの中心は低価格商品になるなど、燃料価格や飲食料品の値上げによる消費者マインドの冷え込みが伺える。春物衣料についても、低調な推移となった。

身回品

「消費者の買い控えにより、弱含みで推移」
売上高は前年同月比2.8%増。3か月先の業況見通しDIは▲28.6から▲57.1となった。
ホームセンターでは、比較的降雪が多かったことや前年が暖冬だったことから除雪用品や暖房機器などの季節商品に動きがあった。資材関係では鋼材に品不足感が出ている。日用品など様々な物で値上がりが続いている一方、客単価は低下しており、消費者の買い控えが伺える。

飲食料品

「足もとは底堅さがみられる」
売上高は前年同月比16.9%増。3か月先の業況見通しDIは▲8.3と変わらない。
うるう年効果や一部企業が好調なことから売上高は前年同月比増となっているものの、その要因を除くと前年同月比0.1%増と横ばいで推移している。飲食料品や石油製品の値上げにより自社企画商品などの低価格商品が販売の中心となっているほか、菓子類などの一部では弱めの動きもあるものの、全体としては底堅さがみられる。
また、中国産冷凍ギョウザ問題により、先月まで冷凍食品は国内製造品も含め売り上げが減少していたが、当月は例年並の販売となった。

家電品

「薄型テレビを中心に概ね堅調に推移」
売上高は前年同月比15.7%減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲25.0となった。
薄型テレビは引き続き堅調なものの、一部企業では伸び悩んだほか、価格低下が続くことから薄利多売状態となっている。パソコンは引き続き低調な販売となっている。白物家電については、持ち直したものの、一部では販売不振が続いている。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「低調な推移が続く」

売上高は前年同月比2.5%減。3か月先の業況見通しDIは、0.0と変わらない。

宿泊部門では、一部企業で小正月行事の観光客の宿泊により客数を伸ばしたものの、季節要因による宿泊客の減少や競合店の新規開業により、総じて不振だった。また、宴会部門や利幅の大きい婚礼部門も総じて不振だったことから全体としては低調な推移が続いている。

その他サービス

「保険、DTPが再び増勢」
売上高は前年同月比2.4%減。3か月先の業況見通しDIは10.0から▲10.0となった。
ソフトウェア関連では、パッケージソフトの販売が増加傾向にある一方、価格競争の激化などから利益の減少が続いている。
運送では、旅客部門は季節要因による観光客数の減少などから低調なものの貨物部門では食料品が堅調に推移している。一方、輸送機械関連は経費節約からか、荷主側の外注廃止により今後売上の減少が予想される。
DTPは繁忙期を迎えたことから再び強含みとなっているほか、保険も例年大きな波があることから売上高は前年同月比減となったものの、基調としては強含んでいる。

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