平成20年3月10日

産業経済政策課

概況

県内経済は、生産・消費ともに原油・原材料価格高騰の影響が拡大しているものの、総じて横ばい的な状況が続いている。

  • 製造業
    横ばい圏内で推移
  • 建設業
    業界全体として厳しい状況が続いている
  • 小売業
    底堅く推移
  • サービス業
    保険が再び強含み

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲10.3から▲25.6、現在の資金繰りは▲16.1から▲18.7、3か月先の業況見通しは▲27.4から▲12.7となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.8%増、同1.1%増となった。3か月先の業況見通しDIは▲16.1から▲6.9となった。主力の電気機械は、コンデンサを中心に総じて高水準を維持しているほか、携帯電話向け部品は一進一退の動きが続いている。高周波製品が好調なことなどから、生産額は13ヵ月ぶりに前年同月比増となった。木材・木製品では、業況の悪化が続いているものの、一部では市況にやや動きが出始めている。輸送機械や精密機械の多くの企業で力強い生産活動が続いていることなどから、全体としては横ばい圏内で推移している。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比7.2%増、同37.0%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲56.3から▲37.5となった。公共工事の減少や競争の激化、燃料費の高騰に加え、除雪費用の掛かり増しによる一層のコスト増など、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業では、売上高は前年同月比で7.7%増、3カ月先の業況見通しDIは▲43.3から▲30.0となった。降雪や冷え込みの本格化に伴い、身回品では除雪用品などの季節商品に動きがあった。一方、衣料品では、低迷が続いている。一方、家電品は薄型テレビが引き続き堅調に推移している。全体としては、売れ筋が低価格帯商品となるなど消費者の買い控え傾向が窺えるものの、足もとは底堅く推移している。

サービス業では、売上高は前年同月比4.9%増、3カ月先の業況見通しDIは▲29.2から4.2となった。ソフトウェアでの大型案件の受注、運送での輸送機械関連の取り扱い増が続いていることから、売上高は前年同月比増となった。また、旅館・ホテルにおいては、一部観光ホテルでキャンペーン等の効果により個人客の宿泊利用に伸びがみられた。保険は再び強含みで推移しているほか、DTPでも繁忙期に向けて動きが出始めている。

製造業の動向

1 食料品「弱めの動きが続く」

生産額は前年同月比3.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲35.7となった。

商品別の動向をみると、首都圏向けの出荷増により、季節商品である鍋物関連商品に伸びがあったものの、業務用商品や菓子類など総じて不調だった。

酒造では、首都圏を中心に季節商品や特定名称酒の売れ行きが良かったものの、県内需要が落ち込んでいることから、全体としては前年同月比減となった。

2 繊維・衣服「低調ながらも横ばい圏内で推移」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.9%増、同9.2%増。3か月先の業況見通しDIは57.1から28.6となった。

不調だった前年同月の反動増や、春夏物衣料の受注が概ね堅調だったことから、生産額は2ヵ月連続で前年同月比増となった。業界全体に活況がなく、原材料価格が上昇傾向にあることなどから先行きには不透明さもみられるものの、安定した受注残を抱えている企業もあり、総じて横ばい圏内で推移するものと思われる。

3 木材・木製品「一部では市況にやや動きが出始めるも、引き続き悪化」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比21.0%減、同23.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から0.0となった

改正建築基準法の施行の影響などから全国的に新設住宅着工戸数の減少が続いていることや、県内では閑散期を迎えたことのほか、原油・原材料価格高騰の影響も相まって業況は引き続き悪化している。先行きについても不透明さが漂っているものの、一部では市況にやや動きが出始めている。

4 鉄鋼・金属製品「引き続き好調な生産活動が続く」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%減、同17.0%減。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から▲25.0となった。

建具関係で新設住宅着工戸数の減少により、弱めの動きが続いているほか、生産時期の違いなどから生産額は前年同月比減となった。電気機械関連、輸送機械部品が引き続き好調なことに加え、公共工事関連も生産を伸ばしていることから、全体としては好調な生産活動が続いている。

一方、原材料価格高騰による利益の圧迫も続いており、大手鉄鋼メーカーで今後更に値上げの動きがあることから、収益性の悪化が懸念される。

5 一般機械「輸送機械関連が堅調」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比23.1%増、同10.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲28.6から0.0となった。

輸送機械関連は、受注に波があるものの基調としては堅調な推移が続いている。一般産業向けでは、大型案件の終了などから生産額の落ち込みが見られるほか、公共工事関連でも低迷が続いている。

プラント設備関連では長期の受注残を抱える企業もある一方、一般産業向けでは案件が減少傾向にあり今後の受注にはやや不透明感が漂っている。

6 電気機械「全体としては高水準を維持」

生産額、受注額は、それぞれ前年同月比4.2%増、同2.5%増。3か月先の業況見通しDIは0.0から4.8となった。

主力のコンデンサは、引き続き好調に推移している。プリント配線板、光学部品、プリンタ部品、半導体関連、高周波製品で高操業が続いているほか、通信機器関連でもやや回復傾向にある。携帯電話向け部品では単価下落などから生産額が落ち込んでいるものの、一部企業で前倒し生産を行ったことにより減少幅が縮小した。高周波製品が好調なことなどから、全体としては13ヶ月ぶりに前年同月比増となった。

7 輸送機械「好調な生産活動が続く」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.2%増、同5.1%増。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲33.3となった。

業界全体の好調さを受け、多くの企業で引き続き好調な生産活動が続いているものの、米国経済の減速などから海外市場の販売に陰りがみえる。

鉄鋼を始め一部の原材料で品薄感がみられることから、原材料価格に及ぼす影響については引き続き留意していく必要がある。

8 精密機械「光学部品、医療機器関連で高操業が続く」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比10.3%増、同15.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から12.5となった。

光学部品では、デジタルカメラ関連を中心に好調に推移しているほか、医療機器関連でもフル稼動が続いている。また、携帯電話部品や輸送機械部品も堅調な推移が続いている。一方、光ファイバー関連では、在庫調整などからやや弱めの動きとなっている。

今後生産額の減少が見込まれる企業もあるが、全体としては光学部品や医療機器関連の好調を受けて、高水準で推移していくものと思われる。

建設業の動向

「業界全体で厳しい状況が続いている」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比7.2%増、同37.0%減。3か月先の業況見通しDIは▲56.3から▲37.5となった。

災害復旧工事や民間工事の受注が好調な企業があったことから受注額は前年同月比増となった。依然として公共工事の減少が続いており、民需の割合が高くなっている。競争の激化や原油・原材料価格高騰の影響に加え、除雪費用の掛かり増しによるコスト増など利益の圧迫が続いている。

小売業の動向

1 衣料品「引き続き低調に推移」

売上高は前年同月比9.6%減。3か月先の業況見通しDIは▲71.4から▲57.1となった。

一部カジュアル衣料では売上高が前年同月比増となったものの、全体としては同比減となっており、引き続き低調に推移している。売れ行きの中心が低価格商品となっているほか、初売り商戦も振るわないなど、消費者マインドの冷え込みによる買い控え傾向が窺える。また、運送料金の上乗せなどにより仕入れ価格の上昇が続くことが予想されるなど先行きについても悪化が懸念される。

2 身回品「冷え込みの本格化に伴い、冬物商品に動き」

売上高は前年同月比3.7%増。3か月先の業況見通しDIは▲71.4から▲28.6となった。

ホームセンターでは、降雪や冷え込みの本格化に伴い、除雪用品や水道関係用品に動きがあった。季節商品の暖房機器では、灯油価格上昇により小型暖房機器や薪ストーブに伸びがみられた一方、大型のものは伸び悩んだ。前年が暖冬だった反動などから売上高は前年同月比増となっているものの、売れ筋が自社企画商品などの低価格帯商品がとなるなど、消費者マインドの冷え込みによる買い控え傾向が窺える。

3 飲食料品「足もとは底堅さがみられる」

売上高は前年同月比11.3%増。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から▲8.3となった。

一部企業が好調なことから売上高は前年同月比増となっているものの、それ以外の企業ベースでは引き続き前年同月比0.6%減と小幅減少している。飲食料品や石油製品の値上げによる買い控えなどから、やや弱めの動きもみられる一方、酒類販売ではビール類で値上げ前の駆け込み需要があったことから、全体としては底堅さがみられる。

中国産冷凍ギョウザ問題により、国内製造品も含め冷凍食品の売り上げが落ちている。

4 家電品「薄型テレビを中心に堅調に推移」

売上高は前年同月比0.2%増。3か月先の業況見通しDIは▲25.0から▲50.0となった。

引き続き薄型テレビは堅調なものの、価格低下が続くことから薄利多売状態となっている。灯油価格上昇や環境意識の変化からかエアコンにも伸びがみられる。一方、パソコンは引き続き低水準だったほか、白物家電についも売れ行きが悪化傾向にある。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル「低調な推移が続く」

売上高は前年同月比0.5%増。3か月先の業況見通しDIは、▲50.0から0.0となった。

宿泊部門では、競合店の新規開業により、客数が大幅減となる企業もあったものの、一部観光ホテルでは、降雪やJR等のキャンペーンによる効果から個人客の利用に伸びがみられた。また、宴会部門も概ね前年並となっている。婚礼部門で一部企業において大口婚礼があったことなどから、全体としては売上高が前年同月比小幅増となった。

2 その他サービス「保険、DTPに動き」

売上高は前年同月比7.6%増。3か月先の業況見通しDIは0.0から10.0となった。

ソフトウェア関連では、大型案件の受注などから売上が伸びているものの、価格競争などから増収減益となっている。

運送では、旅客部門は季節要因による観光客数の減少などから低調なものの、貨物部門で輸送機械関連が堅調に推移しており、ソフトウェア関連や運送に牽引され全体の売上高は前年同月比増となっている。

保険は再び強含みで推移しているほか、DTPでも繁忙期に向けて動きが出始めている。

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