ジビエ料理の提供について

2017年10月12日 | コンテンツ番号 29306

 「有害動物駆除で発生した野生鳥獣の肉をジビエ料理として有効活用したらどうか。」という話を耳にすることがあります。
 ジビエ料理の提供には、食品衛生法に基づく営業許可の取得などいくつかの条件をクリアすることが必要となりますので、説明したいと思います。

Q 事務手続きのうえでは、一般の飲食店やレストランの場合と大きく異なることはないと聞きましたが、その概要を説明してもらいたいのですが。

  •  これについては、お客様へのジビエ料理の提供までを原材料となる野生鳥獣肉の流れを遡りながら、必要な営業許可を確認してみましょう。

【 食肉の流れと営業許可 】

 

(1)まず、ジビエ料理に限らず、レストランなどでお客様に料理を提供する営業は、食品衛生法に
   基づく飲食店営業の許可が必要です。

 

(2)ジビエ料理の原材料である「野生鳥獣肉」に限らず、使用する食肉や食鳥肉は、食品衛生法に
   基づく食肉販売業や食肉処理業の許可を取得している営業者から仕入れる必要があります。

 

(3)また、食肉販売業者は、「野生鳥獣肉」を食品衛生法に基づく食肉処理業の許可を取得している
   営業者から仕入れる必要があります。

 野生鳥獣肉を ❝ 食肉として処理し市販流通させる ❞ ためには、食品衛生法に基づく食肉処理業の許可を取得した施設で処理する必要があります。

(注意)自家消費を目的とした野生鳥獣の解体・処理は、衛生的な施設で行うことが望ましいのですが、解体・処理する施設について、営業許可の取得までは求められません
(※ これは、あくまで自家消費目的であって、市販や流通などの営業を目的としない場合ですので、規制の対象外と見なされるからです。)

 

Q.これまでの説明では、飲食店の営業開始までに必要な許可取得など事務手続きの上では、一般飲食店との違いがないように
  思えます。

  では、「牛肉」や「豚肉」と「野生鳥獣肉」の取り扱いで何が違うのでしょうか?

  •  現在市販されている「牛肉」や「豚肉」などの食肉は、畜産農家等で衛生的に管理された施設(牛舎や豚舎等)で飼養され、と畜場などにおいて、1頭1頭検査員(と畜検査員)による衛生検査(と畜検査)を受けて合格になったもののみが流通しています。                                             〔関連法令:と畜場法〕

  • また、検査に合格した「牛肉」や「豚肉」は、衛生的な施設(食品衛生法に基づく食肉処理業の許可施設)で解体された後、食肉として市場に流通します。                                  〔関連法令:食品衛生法〕

  • 「食鳥肉」についても、これと同様に、衛生的な鶏舎等で飼養された家きんを、食鳥処理場で検査員(食鳥検査員)が検査(食鳥検査)を実施して合格になったもののみが、食肉処理業の許可施設で解体され、市場流通しています。
                                   〔関係法令:食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律〕

  • 一方、野生鳥獣の場合、衛生管理されていない深い山奥など自然環境の中に生息していますので、狩猟又は有害鳥獣駆除によって入手した鳥獣は、まず、食肉として流通させるために「食肉処理業の許可施設」において衛生的に解体・処理するとともに、食肉として適当かどうか、内臓等の状態を確認するなどの衛生面での確認が求められます。       〔関係法令:食品衛生法〕

 

  • 野生鳥獣の解体・処理は、既存の食肉処理業の許可施設においても可能ですが、野生鳥獣は十分な衛生管理の下で飼育された牛や豚などの家畜とは異なり、自然環境で感染した未知の細菌やウイルス、寄生虫を保有している可能性もあることから、その食肉処理施設で通常取り扱っている牛肉や豚肉などへの交差汚染を防ぐためにも、野生鳥獣肉を処理した後には、その都度、施設や使用器具・機材等の洗浄消毒を十分に行うなど、衛生面での配慮が必要になります。
     ※ 既存の食肉処理施設で野生鳥獣肉を取り扱う場合は、衛生管理面の負担が大きくなりますので、可能であれば野生鳥獣肉専用の解体・処理施設を利用することが望ましいと思います。

  • 狩猟で入手した鳥獣の放血など、狩猟から前処理や運搬~解体、消費に至るまでの安全確保(衛生的な取扱い手順等)については、厚生労働省作成の「野生鳥獣肉の衛生管理に関する指針(ガイドライン)」、「別紙カラーアトラス」に詳しく記載されていますので、そちらを活用してください。
     
     なお、このガイドラインには、食用とすることが可能な狩猟方法が具体的に示されていますので、狩猟時における取扱い(①野生鳥獣に関する異常の確認、②放血時の衛生管理、③内臓摘出時の衛生管理 など)と併せて確認してください。

  • 繰り返しになりますが、狩猟によって入手した野生鳥獣を自家消費を目的に解体・処理する食肉については、営業許可施設での処理等は求められませんが、食肉として市場流通させる場合は、食品衛生法の規制が適用され、食肉処理業の許可施設で取り扱う必要が生じます

(参考)
【 食肉処理業の施設基準】
イ 処理室、包装室及び製品保管室を設けていること。
ロ と殺し、又は解体する場合は、と殺放血室があること。
ハ 食肉を分割し、又は細切する場合は、材料保管室があること。
ニ 鳥獣の内臓を処理する場合は、内臓処理室があること。
ホ 鳥をと殺し、・・・省略
ヘ 作業台(リの作業台は除く。)は、ステンレス又は合成樹脂張りのものであること。
ト 原材料保管室及び製品保管室には、食肉の取扱数量に応じて冷蔵設備があること。
チ 汚物だめ及び汚水だめは、不浸透性材料で作られ、密閉できる覆いがあり、かつ、血液及び汚水の処理設備があること。
リ~ヲ (生食用食肉として・・・)省略

~ 食品衛生法施行条例より抜粋~

 

Q.もう一度、確認します。
  「ジビエ料理を提供する営業」を始める場合、必要な許可と注意点は何ですか。

  • 営業を始めるにあたり、それぞれの営業者が必要となる食品衛生法に基づく営業許可は、次のようになります。

  •  それぞれに必要な許可を取得して営業してください。

  • 業として食用とする野生鳥獣の食肉加工を行う場合は、食品衛生法の規制対象となりますので、必ず保健所に相談してください。

  • 改めて確認しますが、原料となる野生鳥獣肉は、営業許可を取得した食肉処理場で適正に処理され、市販流通された食肉ですので、野生鳥獣肉を販売する側、購入する側ともに十分注意してください。