保健所には、犬に関する被害や苦情の電話がたくさん入ります。
 「近所の人が、夕方になると犬を放してしまい、せっかく造った花壇を荒らされる。」「近所の飼い犬が朝夕鳴いてうるさい。」「隣の家の飼い主が犬を繋ぎっぱなしで飼っており、糞尿の悪臭が酷い。」など、飼い方に関する一般苦情や糞尿処理など衛生面の苦情、農地等の被害などの訴えが住民から寄せられます。

 これらの苦情に対し保健所では、狂犬病予防員、動物愛護担当職員が直接現場を訪ね、飼い主に対し犬の適正飼養を指導するなど、その解消に向け1件1件対応しています。

被害・苦情の受理状況

 平成24年度から28年度までの5年間に大館保健所に寄せられた被害や苦情は、表のとおりです。
 申出件数は、5年前に比べ減少していますが、依然として50件以上あります。

【 犬に関する被害苦情等の届出状況 】

    H28 H27 H26 H25 H24
(1) 一般苦情 ①野犬・放し飼い犬 40 56 36 34 47
②係 留 方 法 5   3   1
③鳴 き 声 等  3 3 6
 そ  の  他     5 13 11
48 60 47 53 66
(2)衛生苦情     ④脱     糞  10 18
⑤悪     臭   
⑥脱     毛       
 そ  の  他        
11 21
(3)被害      ⑦人 的 被 害 
⑧家 畜 等 の 被 害  
⑨農 地 等 の 被 害    
 そ  の  他    
12
合    計 55 69 62 72 99

                      *大館保健所管内(大館市、鹿角市、小坂町) 

 

苦情内容と指導

 苦情の内容や原因、それぞれの改善や指導等の実施状況は、次のとおりです。

①犬の放し飼い
 犬の飼い主さんの中には、秋冬の寒い時期になると外に出るのが億劫になり、朝夕の散歩の時間に犬を放してしまう方がいますが、犬は繋いで飼うことが「秋田県動物の愛護及び管理に関する条例」で定められています。放し飼いをすることで、時には通行人を咬んだり、通行人が犬に驚いて転倒したりと、人に対して危害を及ぼすこともあります。

~ 犬の放し飼いは、絶対やめましょう ~

 

②犬の係留方法
 犬を繋いで飼っていても係留ロープや鎖が長すぎて、道路に飛び出し通行人を威嚇したり、驚かせてしまったりしている場合があります。
 また、水道の検針員や郵便配達、宅配便の配達員など、訪問者がしばしば犬に咬まれそうになる事例もあります。
 犬の行動範囲を考慮して係留場所を選定することが大切です。

~ 係留は犬を制御できる状態で適切に行いましょう ~

 

③犬の鳴き声
 犬は、毎日適度な運動が必要です。犬種により、体格の大きさに応じた運動量を求めますので、散歩に出なかったり、繋ぎっぱなしの状態で飼われていることは、犬にとって大変なストレスとなり、鳴いたり、無駄吠えの原因となったりします。

 散歩を毎日欠かさず行い、適度な運動をさせるなど、
愛犬のストレス軽減を図りましょう

 時には、高齢犬の夜鳴きなどの相談があったりしますが、犬にも人の認知症に似た高齢犬の病気などがあります。長い間、生活を共にしてきた愛犬です。屋外から屋内に入れて飼養するなどして、最後まで面倒を看てあげてください。

 

④脱糞や糞の放置
  脱糞に関する苦情には、放し飼い犬が近所の農地や庭に入り込んで脱糞する場合と、飼い主が毎日の散歩途中に飼い犬が脱糞したものを持ち帰らず放置あるいは道端に投げ捨てている場合があります。
 放し飼い犬が原因の場合は、飼い主に対して犬の放し飼いをしないようにしてもらいます。
 また、散歩中の脱糞の放置については、飼い主責任として持ち帰る必要性と環境美化への意識など、いわばモラルの問題でもあります。町内会等での啓発看板の設置、広報紙等での呼びかけなどを継続して行っています。

~ 愛犬の清潔な飼育環境を守りましょう ~
~ 散歩中の愛犬の糞は持ち帰り、適切に処理しましょう ~

 

⑤悪臭  ⑥脱毛
 飼い犬の悪臭や脱毛に関する苦情は、犬の飼い主の近隣住民から寄せられますが、多くは、犬の散歩を行わず繋いだまま飼養し、糞尿の処理もしないなどです。
 また、動物は、季節により多くの被毛が生え替わる時期もあるため手入れをしてあげないと、生え替わった被毛が大量に風で近所に散らばる場合もあります。糞尿を片付けないと飼い犬の被毛も汚れ、悪臭を放ったりすることになりかねません。
 悪臭・脱毛等の苦情については、飼い主の管理責任が非常に大きく適正飼養を強く指導します。

~ 犬の特性に応じた適正飼養を心がけましょう ~

 

⑦人的被害
 
人的被害を起こすのは、係留の仕方が悪くて、訪問者が転倒して怪我を負わせてしまったりしたりする場合や、飼い犬をリードから外して散歩中に通行人を驚かせて怪我を負わせてしまうなどの場合があります。散歩中であっても飼い犬は常に、制御可能な状態で飼養する必要があります。

~ 飼い犬は、常に制御できる状態で飼養しましょう ~

 

⑧家畜等の被害  ⑨農地等の被害
 家畜や農地などの被害のほとんどは、犬の放し飼いによるものですので、飼い主に対して放し飼いをしないように指導します。

~ 犬の放し飼いは、絶対やめましょう ~

 

 

 近所の方全員が犬好きとは限りません。中には動物が苦手な人もいます。
 犬の苦手な人のことも考え、飼い主の責任として守るべき事項はきちんと守りましょう。
 犬の適正飼養は、飼い主の皆さんの意識に懸かっています。

 

愛犬と楽しく毎日を過ごすためにも、
犬の特性を踏まえた適正飼養を心がけ、
ご近所の方々ともお互いに気持ち良く生活しましょう。