用語 説明 参考写真
アオコ  植物プランクトンの一種である藍藻類が大量に発生し、湖や池の表面で緑色の粉をまいたような状態となったもの、またはその原因となった藍藻群集をアオコ(青粉)といいます。
 窒素とりんが豊富(富栄養)な淡水の止水域でみられ、県内では八郎湖などにおいて夏場にみられることがあります。
 
浅水代かき  土面が7~8割見える程度の浅水状態で代かき作業を行うことです。(参考写真)
 八郎湖への流入負荷削減のためには、水田からの代かきにともなう濁水発生量を抑えることが重要であり、浅水代かきを推奨しています。
 浅水代かきの水の状態
イトクズモ  イトクズモ科の多年草で、低地の小河川や湖沼に生息しています。国のレッドデータブックでは絶滅危惧Ⅱ類(絶滅の危惧が増大している種)、秋田県版のレッドデータブックでは絶滅危惧ⅠA類(ごく近い将来に野生での絶滅の危険性が極めて高いもの)に分類されています。
 平成19年4月に大潟村方上地区の農業用排水路で発見されましたが、自然浄化施設の予定地域内であったため、平成22年度及び23年度に、生育条件の調査を実施しました。
 
大久保湾
(八郎潟調整池南東部)
 八郎湖の調整池南東部水域は、通称、大久保湾と呼ばれており、周辺干拓地及び流域農地での農業用水の循環利用が著しく、第2期計画策定の水質解析モデルのシミュレーション結果では、調整池の中でも特に停滞水域となっていることが判明しています。  
汚濁負荷量規制    特定の事業場からの排出水について、排出水量の増加に伴い、排水許容濃度が厳しくなる規制です。湖沼法第7条第1項の規定により、八郎湖では、指定地域内の湖沼特定事業場(平均排出水量50m3/日以上の湖沼特定施設を設置する工場又は事業場)に対して、化学的酸素要求量、窒素含有量、りん含有量に係る汚濁負荷量規制基準を定め、平成20年8月22日から適用しています。(※平成24年9月28日一部改正)  
方上地区自然浄化施設   汚濁負荷の高い中央干拓地の排水を、ヨシが自生する方上地区に導水して水質浄化を図るための施設です。平成20年度から同地区において実証試験を行い、平成25年度から対策として実施しています。
 干拓地の土壌は細かい粘土分が多く、農業排水中にも浮遊物質(SS)として含まれています。このSSには窒素、りんが吸着しており、SSとともに八郎湖に排出されていますが、自然浄化施設でSSを沈殿・除去することにより、八郎湖に流入する窒素やりんを低減させることが見込まれます。 
 
合併浄化槽の高度処理   八郎湖の指定地域内に新たに設置される合併浄化槽については、通常の合併浄化槽よりも窒素の除去能力が高いタイプの浄化槽(高度処理型)で整備することとしています。
 設置する際の掛かり増し経費が設置者の負担とならないよう、県と市町村による助成制度もあります。高度処理型合併浄化槽の設置により、処理水の窒素含有量は20mg/L以下となります。 
 
高濃度酸素水  高濃度に酸素を溶解させた水のことです。この高濃度酸素水を貧酸素状態にある底層へ供給し、貧酸素状態を解消・抑止することで、底質からの栄養塩類の溶出が抑制されるとともに、好気性の微生物が汚濁を分解して良好な水環境を維持し、底質のみならず水質も改善することが期待できます。なお、装置には、「酸素ファイター」、「WEPシステム」などがあります。
 参考写真は、大久保湾湖岸に設置した発生装置の全景。
 
湖沼水質保全計画  湖沼法に基づき、指定湖沼の水質保全に関して実施すべき施策について都道府県知事が定めなければならない計画です。計画の期間、水質保全に関する計画、下水道等の整備や水質保全のための事業、規制等について定めるものとされています。
 県は、平成26年3月28日に、平成30年度までの各種対策を盛り込んだ「八郎湖に係る湖沼水質保全計画(第2期)」を策定しました。 
 
湖沼水質保全特別措置法(湖沼法)  湖沼の水質の保全を図るため、湖沼水質保全基本方針を定めるとともに、水質の汚濁に係る環境基準の確保が緊要な湖沼について水質の保全に関する計画を策定し、水質保全に資する事業、各種汚濁源に対する規制その他の措置を総合的かつ計画的に推進することを目的に、昭和60年に施行された法律です。  
湖沼特定施設  指定地域内にある水質汚濁防止法に定める特定施設や、湖沼法施行令で定める施設をいいます。これらの施設を設置する工場又は事業場のうち、政令で定める規模以上のものから排出される排出水については、汚濁負荷量による規制が行われます。    
湖辺環境保護地区  都道府県知事が、指定湖沼の水質保全を図るために、湖沼の水辺等のうち植物が生育している自然環境を保護する必要があると認めるときに、湖沼法に基づいて指定する地区です。当該地区内において、植物の採取や埋め立て等を行う場合は、届出が必要となります。
 八郎湖では地区設定していません。
 
指定湖沼  水質環境基準が現に確保されておらず、または確保されない恐れが著しい湖沼であって、特に水質保全の施策を総合的に講ずる必要のあるものについて、湖沼法に基づき都道府県知事の申出により環境大臣が指定する湖沼です。
 八郎湖は、平成19年12月11日に、全国11番目の指定湖沼に指定されました。
 
指定地域  湖沼法に基づき、環境大臣が指定湖沼の指定と併せて指定する湖沼の水質汚濁に関係があると認められる地域です。
 八郎湖では、9市町村にまたがる894k㎡となります。
 
水質環境基準  CODや全窒素・全りんなど専ら生活環境保全にかかる項目については、水域の利用形態による複数の類型が設けられ、個々の水域の実態に照らして都道府県知事が類型を指定できることとなっています。
 八郎湖はCOD等についてはA類型に、全窒素・全りんについてはⅣ類型に指定されています。
 
側条施肥  化学肥料を作物の根の周辺の肥料が利用されやすい位置に集中的に施用する技術です。 
 作物の肥料利用率が向上し、環境中への肥料流亡が抑制されます。
 
田植え前の水管理
(落水管理)
 水田からの排水の削減と、濁水流出防止のため、代かき~田植え時期の水管理が重要となっています。
 このため、農家の皆さんに対しては、水田を点検して漏水を防ぐ、浅水代かき、田植え前の深水での落水はしない、用水を適切に管理する、ということを呼びかけています。
 特に田植え前には、田植え作業がしやすいように落水しますが、深水での落水は大量の泥水を発生させるため、代かき後の水管理(自然減水、かん水量の調整、湛水深抑制等)に配慮して、水深を6cm以下に調整してから落水をすることで、排水量と水質汚濁負荷を大きく削減することが可能とされています。
※ 八郎湖の湖沼水質保全計画では「落水管理」と表記しています。
 
多面的機能支払交付金
(旧 農地・水保全管理支払交付金)
 農業農村地域の多面的機能の維持、増進を図るため、農地、水路、農道等の質的な向上に資する活動や農業者と地域住民等が共同して取り組む地域活動(環境保全に関する取組も含む)に対して支援が行われています。
 交付金は国(50%)、県(25%)、市町村(25%)の負担で構成されています。
 
農業集落排水施設の高度処理   八郎湖の指定地域内の農業集落排水15施設のうち、6施設をCOD、窒素、リんの除去能力の高い、高度処理施設(JARUS-XⅣGP型相当)として新設や施設の改造を行ったほか、9施設を八郎湖への処理水の流入が生じない下水道施設への接続により対応しました。
 平成24年度末までに全施設での対策が完了しました。
 
排水規制の強化  秋田県公害防止条例の一部改正により、八郎湖流域に存在する平均排出水量30m3/日以上の湖沼特定施設を設置する工場・事業場については、化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る上乗せ排水基準が適用になります。  
八郎湖研究会  「八郎湖に係る湖沼水質保全計画」に盛り込んだ対策の効果的な実施方法の検討や効果の検証を行うため、平成20年5月に設置。大学、試験研究機関の研究者等の委員と行政担当者で構成されており、全体会、農業、植生、水質の3分科会及び高濃度リン特別検討会(H21.8)を設け、各専門分野での検討を行ってきました。
 平成26年4月には設置要綱を改正し、効果的な実施手法の検討・検証及び産学官連携による調査・研究等を促進するため、3特別検討会(農業、生態系、水質)に変更しました。
 
八郎湖水質対策連絡協議会  「八郎湖に係る湖沼水質保全計画」を推進するため、八郎湖流域の9市町村長と県を構成員として設立された団体で、会長は副知事が務めています。「八郎湖に係る湖沼水質保全計画」の推進についての協議のほか、八郎湖の周辺のクリーンアップ活動や民間活動団体等への支援など、八郎湖水質保全のための啓発活動も行っています。  
肥効調節型肥料   肥料成分が溶け出す速度を調節したもので、作物の生育に合わせて肥料成分が溶出する肥料です。作物の肥料利用率が向上し、環境中への肥料成分の流亡が抑制されます。  肥効調節型肥料の散布状況
富栄養化  太陽光線を受けると藻類などの植物性プランクトンが増殖し、これらが枯死し腐敗する過程で窒素やりんを水中に放出することになります。
 このサイクルや河川からの流入によって、湖沼などの閉鎖性水域で栄養塩 類の濃度が増加していく現象を富栄養化といいます。
 本来は数千年かかるこの現象が、近年では生活排水などが流れ込むことによって急激に加速されています。富栄養化状態になると植物プランクトンが異常繁殖し、赤潮やアオコが発生しやすくなります。
 
不耕起栽培  前作の稲を刈り取った水田に、耕起・代かきを一切しないで直接田植する方法です。通常栽培に比べ水中への土壌粒子の懸濁が少なく、より水環境にやさしい農法といえます。  不耕起田植えの状況
閉鎖性水域  湖沼や内湾など、周辺を陸で囲まれた水域のことです。水の交換性が悪いので水質が悪化しやすく、水底に汚濁物質が堆積しやすくなります。閉鎖性水域では、富栄養化が進行している場合が多くみられます。  
防潮水門  防潮水門は日本海から八郎潟調整池への海水の浸入を防ぐとともに、八郎潟調整池の水位を一定に保っています。 
 八郎潟調整池の水位(標高 T.P.)は、秋田県八郎潟防潮水門管理条例施行規則により、以下のとおり管理されています。
5/1~8/10 : +1.0 m
8/11~9/10 : +0.7 m
9/11~3/31 : +0.5 m
4/1~4/30 :+0.5~+1.0m
 防潮水門の写真
無代かき栽培  耕起後の水田に水を入れ、しばらく放置した後に代かきをせずに田植えを行う栽培方法です。通常の代かき栽培に比べ濁水軽減効果が高いため、より水環境にやさしい農法といえます。  無代かき田植えの状況写真
モデル事業(環境省)  環境省の「湖沼水環境新規基準対策検討事業(平成26~31年度)」の一環で、地方公共団体へ「湖沼底層溶存酸素量・沿岸透明度改善モデル事業」として委託される事業です。
 県では、大久保湾での湖内下層DO等改善対策事業について、平成27~29年度の実施地区として採用されています。
 
流出水対策地区  指定湖沼の水質保全を図るため、流出水の水質改善に資する対策の実施を推進する必要があると認められる地区で、都道府県知事が湖沼法に基づいて指定します。知事は当該地区について流出水対策推進計画を策定し、計画の実施について住民に協力を求めるよう努めるほか、対策の実施について必要な指導、助言及び勧告をすることができます。
 平成20年1月25日に「大潟村全域」が指定されています。