平成20年2月6日
産業経済政策課

概況

県内経済は、生産・消費ともに原油・原材料価格高騰の影響が拡大しているものの、総じて横ばい的な状況が続いている。

  • 製造業:輸送機械や精密機械でフル稼働が続く
  • 建設業:業界全体として厳しい状況が続いている
  • 小売業:冬物商品が低調
  • サービス業:保険・DTPで一服感が続く 

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲10.3と変わらず、現在の資金繰りは▲9.7から▲16.1、3か月先の業況見通しは▲31.4から▲27.4となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.7%減、同5.2%減。3か月先の業況見通しDIは▲24.4から▲16.1と変わらない。主力の電気機械は、携帯電話向け部品が一進一退の動きとなっているものの、コンデンサを中心に総じて高水準を維持している。食料品や木材・木製品で弱めの動きが続いている一方、輸送機械や精密機械では、多くの企業で力強い生産活動が続いているなど、全体としては横ばい圏内で推移している。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比71.9%増、同25.8%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲56.3となった。公共工事の減少や入札要件の厳格化による競争の激化、燃料費の高騰によるコスト増など、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業では、売上高は前年同月比で4.9%増、3カ月先の業況見通しDIは▲26.7から▲43.3となった。気温が高めだったことから冬物商品販売が不振だったことに加え、石油製品の値上げなどによる消費者マインドの冷え込みから買い控え傾向が窺える。一方、薄型テレビを中心とする家電品で堅調な推移が続き、飲食料品においても横ばい圏内の動きとなっていることから、全体としては底堅い動きとなっている。

サービス業では、売上高は前年同月比20.2%増、3カ月先の業況見通しDIは▲50.0から▲29.2となった。旅館・ホテルにおいては、一部企業において、宿泊部門での大口客の特需や宴会部門で大幅な件数増があったものの、冬期間を迎えたことによる宿泊客数の減少などから依然として低調な推移が続いている。ソフトウェアで、大型案件の受注があったことなどから、全体として売上高は前年同月比大幅増となった。一方、保険、DTPでは一服感が続いている。

原油価格高騰による影響について、「一定の影響あり」と回答した企業は、全業種68.7%、製造業67.5%、非製造業70.6%、原材料価格高騰による影響について「一定の影響あり」と回答した企業は、全業種67.9%、製造業76.5%、非製造業60.4%と、その影響は拡大しており、総じて価格転嫁が進んでおらず、利益が圧迫されている。

製造業の動向

1 食料品

「弱めの動きが続く」
生産額は前年同月比7.6%減。3か月先の業況見通しDIは▲64.3から▲57.1となった。
比内地鶏の表示偽装問題による関連商品の受注減などから、全体としては低調な推移が続いている。贈答品についても、一部に動きがあったものの、習慣が薄れていることなどから、総じて不調だった。
酒造では、依然として県内・県外向けとも低迷が続いており、原油・原材料価格の上昇分を価格転嫁もできずにいることから厳しい状況が続いている。

2 繊維・衣服

「低調ながらも横ばい圏内で推移」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比13.8%増、同4.8%増。3か月先の業況見通しDIは57.1と変わらない。
業界全体が低調なことに加え、春物衣料への切り替え時期による生産減や全国的に温暖だったことによる秋冬物衣料の追加注文の減少など、厳しい状況が続くものの、安定的に受注を確保している企業が複数あったことから生産額は前年同月比プラスとなった。
今後、春夏物衣料の生産が増加することに加え、安定した受注を確保している企業もあることから、概ね横ばい圏内で推移していくものと思われる。

3 木材・木製品

「市況の大幅な鈍化により、業況が悪化」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比21.8%減、同29.7%減。3か月先の業況見通しDIは▲41.7から▲25.0となった
改正建築基準法の施行の影響などから全国的に新設住宅着工戸数の減少が続いていることや、県内では今後閑散期を迎えることのほか、原油・原材料価格高騰の影響も相まって業況は悪化している。各社とも春先の需要回復を見込んでいるものの、問屋等で在庫が積み上がっており受注増に時間が掛かることなどから不透明感が漂っている。

4 鉄鋼・金属製品

「引き続き好調な生産活動が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.9%増、同10.6%減。3か月先の業況見通しDIは8.3から▲33.3となった。
電気機械関連、輸送機械部品が引き続き好調なことに加え、公共工事関連も生産を伸ばしていることから、全体としては好調な生産活動が続いている。建具関係では新設住宅着工戸数の減少により弱めの動きが続いているほか、一般産業向けでは概ね横ばいで推移している。
一部原材料は値下がり傾向にあるものの、依然として非鉄金属の価格等が高止まりを続けており、価格転嫁は一部にとどまっていることから利益が圧迫される状況も続いている。

5 一般機械

「輸送機械関連が堅調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.3%減、同13.6%増。3か月先の業況見通しDIは▲28.6と変わらない。
輸送機械関連で受注の谷間を迎えたものの、基調としては堅調な推移が続いている。また、一般産業向けでは、大型案件の終了などから生産額の落ち込みが見られるほか、公共工事関連でも低迷が続いている。
長期の受注残を抱える企業もあるほか、輸送機械関連では堅調な推移が見込まれるものの、一般産業向けでは案件が減少傾向にあり、今後の受注にはやや不透明感が漂っている。

6 電気機械

「全体としては高水準を維持」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比5.1%減、同6.8%減。3か月先の業況見通しDIは▲30.0から0.0となった。
主力のコンデンサでは、一部企業で大型コンデンサの急激な受注の落ち込みがあったものの、全体としては好調を維持している。プリント配線板、光学部品、プリンタ部品、半導体関連では引き続き高操業が続いている。携帯電話向け部品では単価下落などにより前年同月比マイナスとなっているものの、生産量は持ち直しつつあるなど、一進一退の状況となっている。生産額は前年同月比マイナスとなっているものの、高水準を維持している。

7 輸送機械

「旺盛な海外需要によりフル稼働が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.5%増、同3.1%増。3か月先の業況見通しDIは0.0と変わらない。
一部企業では、取引の終了などから厳しい状況となっているが、引き続き新型車や海外向け製品の引き合いが多く、多くの企業でフル稼働が続いている。旺盛な海外需要を背景に今後も堅調な生産活動が見込まれる。
業界全体の好調さを受け、一部の原材料で品薄感がみられることから、原材料価格に及ぼす影響については留意していく必要がある。

8 精密機械

「光学部品、医療機器関連で高操業が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.8%増、同10.5%増。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲12.5となった。
光学部品では、デジタルカメラ関連を中心に好調に推移している。また、医療機器関連でもフル稼動が続いているほか、光ファイバー関連についても海外需要により緩やかながら持ち直しの動きが続いている。携帯電話部品や輸送機械部品も堅調に推移している。
今後生産額の減少が見込まれる企業もあるが、全体としては光学部品や医療機器関連の好調を受けて、高水準での推移が見込まれる。

建設業の動向

「業界全体で厳しい状況が続いている」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比71.9%増、同25.8%減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲56.3となった。
大型公共工事や災害復旧工事を受注している企業があったことにより受注額は前年同月比で大幅プラスとなった。しかし、冬期間を迎え、公共工事が減少しているほか、民間工事についても競争が激化していることに加え、原油・原材料価格高騰の影響など、全体としては厳しい状況が続いている。
中国等の好景気からか一部資材に品薄感がみられるほか、今後除雪コストの増加が懸念される。

小売業の動向

1 衣料品

「冬物衣料が不振」
売上高は前年同月比5.5%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲71.4となった。
気温が高めだったことから、冬物衣料販売が不調だった。また、売れ筋が低価格商品となっており、このところの石油製品などの値上がりによる、消費者マインドの冷え込みがもたらす買い控えの傾向が窺える。
また、運送料金の上乗せなどにより仕入れ価格の上昇が続くことが予想されるほか、飲食料品などの更なる値上げも見込まれることから先行きの悪化が懸念される。

2 身回品

「冬物商品が不振」
売上高は前年同月比4.2%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲71.4となった。
ホームセンターでは、小型暖房機器に動きがあったものの、気温が高かったことから暖房機器や除雪用品などの冬物商品が総じて不調だった。
客単価が伸びないなど、このところ消費者マインドの冷え込みによる買い控え傾向が窺える。

3 飲食料品

「総じてみると横ばい圏内の動き」
売上高は前年同月比10.4%増。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲16.7となった。
一部企業が好調なことから売上高は前年同月比増となっているものの、それ以外の企業ベースでは前年同月比小幅減となっている。飲食料品や石油製品の値上げによる買い控えなどから、やや弱めの動きもみられるものの、総じて足もとは横ばい圏内の動きとなっている。
商品別の動向としては、安価な自社企画商品に動きがあったほか、年末年始用の惣菜などでも総じて低価格商品の販売数が伸びた。

4 家電品

「薄型テレビを中心に堅調に推移」
売上高は前年同月比11.1%減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲25.0となった。
先月に前年同月比大幅増となった反動などから売上高は同比減となったものの、好調な薄型テレビを中心に総じて堅調に推移している。温暖な天候が続いたことや灯油価格の上昇から、大型石油暖房機器が不振だった一方、エアコンの販売に伸びがみられた。パソコンは引き続き低水準だったほか、白物家電について概ね例年並だった。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「低調な推移が続く」
売上高は前年同月比1.3%増。3か月先の業況見通しDIは、▲71.4から▲50.0となった。
宿泊部門では、一部企業で大口客の特需があったものの、競合店の新規開業による客数の減少や季節要因から総じて低調だった。婚礼部門は依然として低迷している。宴会部門で大幅件数増となる企業もあったものの、全体としては例年並よりやや弱めの動きとなった。

2 その他サービス

「保険、DTPで一服感が続く」
売上高は前年同月比38.1%増。3か月先の業況見通しDIは▲20.0から0.0となった。
ソフトウェア関連で大型案件を受注したことやパッケージソフトの販売が好調だったことにより、売上高は前年同月比大幅増となった。DTPや保険では季節要因などから一服感が続いている。
運送では、貨物部門では輸送機械関連の取り扱い増により特別便の増発が続くものの、比内地鶏の表示偽装問題から関連商品の取り扱いが減るなどの動きもあり、総じて横ばい圏内で推移している。