平成29年第1回定例会(追加提案)知事説明要旨(平成29年4月24日)

2017年04月24日 | コンテンツ番号 23809

 新たな任期を迎えるに当たり一言ごあいさつ申し上げます。
 この度の知事選挙において、多くの県民の皆様のご支持により、三度、県政の舵取りを担わせていただくことになりました。
 私にとっては8年ぶりの選挙となり、県内各地、行く先々において、様々な分野で、新たな時代に向け自ら行動し、挑戦している方々の姿に勇気づけられるとともに、多くの方々の、地域の厳しい実情や将来を心配する声、切実な願いに直に触れることができました。こうした県民一人ひとりの思いに寄り添い、期待に応えていくため、全力で県政運営に当たっていかなければならないとの意を強くしたところであります。
 これからの4年間は、これまで土台をつくり、前に進みつつある様々な施策を、確実に成果に結びつけていくとともに、新たな視点からの施策も加えながら、誰もが希望と誇りを持てるふるさと秋田づくりに全力で取り組んでまいりますので、議員各位におかれましては、引き続きご指導とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 はじめに、3期目の県政に向けて、私の所信を申し述べます。
 昨年度発表された国勢調査結果において、我が国の人口が、調査開始以来初めて減少に転じ、本格的な人口減少時代に入ったことが明らかになりました。39道府県で人口が減っているほか、15歳未満の総人口に占める割合が12.6パーセントと過去最低となるなど、東京一極集中に代表される人口の偏在や年齢構成のいびつさが一層顕著なものとなっております。
 こうした中、本県においては、本年4月1日現在の人口が100万人の大台を割り込みました。想定されていたこととは言え、いざ現実のものとなると寂しさは否めないことは県民の皆様と同じであります。しかしながら、本県の人口構造はこれまでの長い年月を経る中で形づくられたもので、当面人口減少が続いていくことは避けられないものであり、こうした現実を冷静に受け止め、人口減少を念頭に置いた社会システムの構築や地域づくりを進めていく必要があります。
 一方、人口減少は、労働力の減少や市場規模の縮小を通じ、産業経済分野の成長の阻害要因となるばかりでなく、少子高齢化と相まって、社会保障費の増大や、私たちの暮らしに直結する地域交通、伝統文化等の維持が一層困難になるなど広範な分野に影響が及び、地域全体の活力低下につながる深刻な問題であります。
 人口減少のスピードをできる限り緩やかなものとし、一刻も早く人口減少をストップさせるため、100万人を割り込んだこの時に、今一度、県民の総力を結集して立ち向かっていくことが重要であり、これからも、私が先頭に立ち、新たに設置した「あきた未来創造部」を核として、人口減少克服に向けた取組を強力に展開してまいります。
 克服に向けた「攻め」の第一歩は、社会減をくい止めることであります。
 農林漁業など秋田の風土に根ざした産業、輸送機や新エネルギーなどの成長分野、地域社会を維持していくために不可欠なサービス産業などあらゆる分野において、若者が意欲を持って働ける場を官民一体で創り出すとともに、就業環境や処遇の改善により、良質で魅力的な働く場をつくり、雇用拡大につながる多様で重層的な産業基盤の構築を図ります。
 併せて、若者の県内定着を進め、最近成果が現れつつある移住・定住対策を、市町村との連携を密にしながら引き続き促進し、県外流出を減少させ、また、県外からの回帰の流れをつくります。
 その上で、若者、女性、お年寄りが働きやすい社会づくりや、働きながら安心して結婚し、子どもを産み育てることができる環境づくりを進め、特に女性やお年寄りの社会参画を一層促進するとともに、共働きや子育てを社会で支えるしくみを充実させ、婚姻率、出生率の向上を図ります。
 経済の活性化を図り、地域の活力を維持・向上させるためには、交流人口の拡大も重要な視点であります。道路や鉄道、港湾、航空路線といった交流を支える交通基盤の整備やネットワーク化を推進するとともに、文化・スポーツの振興やインバウンドを含めた観光の振興に引き続き取り組んでまいります。
 人口減少と少子化が進む本県においては、未来を担う人材が発展の原動力であり、全国トップレベルの学力を持ちつつ、ふるさとを愛し、自らの未来を切り開いていく子どもたちや、本県産業の振興と地域の発展に貢献し、グローバル社会で活躍できる人材など、秋田を支える人づくりを着実に進めてまいります。
 こうした「攻め」の取組とともに、人口減少社会にあっても、県民が安全・安心に暮らしていける環境を維持する、いわゆる「守り」という視点に立った取組も併せて進めていかなければなりません。
 このため、過疎地域など高齢化が進む地域においても社会生活を維持できるよう、買い物や地域交通、安否確認等の生活課題に対応した地域の共助を進めるほか、地域において必要な行政サービスが確保されるよう、生活排水処理の広域共同化や道路・橋梁の維持管理とともに、行財政改革を念頭に置いた県と小規模町村の事務の統合化など、市町村との協働の取組を一層深化させてまいります。
 以上のような県政運営の基本的な考え方のもと、重点的に取り組む5つの政策ごとに、具体的な取組を申し上げます。
 はじめに、「雇用を生み出す成長産業の振興」であります。
 魅力的な就業の場を創出するため、航空機や自動車、新エネルギー関連、医療福祉関連、ICTなど成長分野への新たな事業展開を大胆に進めるとともに、手厚い支援制度や立地環境のPRにより本社機能の移転を含めた企業の立地を促進してまいります。
 新エネルギー関連産業については、秋田港や能代港における洋上風力発電をはじめ、地熱やバイオマスなど、再生可能エネルギー発電の更なる導入拡大を促進するほか、発電事業者やメーカーと県内企業のマッチングを進めることにより、その経済効果を県内に最大限、波及させてまいります。
 また、県内企業が就業環境や賃金の改善を進めていくためには、付加価値生産性の一層の向上を図る必要があることから、関係機関と連携しながら、相談窓口の充実や事業活動の各段階における適切な支援により経営基盤の強化を図ってまいります。
 本県の基幹産業である農業については、2年連続で日本一を達成した枝豆をはじめ、ネギや花きなどの園芸品目の生産拡大に加え、秋田牛のブランド化等により、平成27年の農業産出額の伸び率が全国1位となるなど、米依存からの脱却に向けた取組が着実に実を結んできております。
 こうした複合型生産構造への転換に向けた動きをさらに加速させていくため、大規模園芸拠点や肉用牛等の大規模畜産団地の全県展開に加え、県産農産物のブランド化を進め、国内外への販路拡大を強力に推進するとともに、地域農業を牽引する競争力の高い担い手の確保・育成を図ってまいります。
 林業・木材産業については、間伐等の施業の集約化や林内路網の整備、高性能林業機械の導入等により、丸太の安定供給体制を構築し、高品質で多様な製品を供給できる木材加工流通施設を整備するとともに、新たな複合木質部材や低投資型CLT等の開発・普及を進めるほか、林業大学校の研修内容の充実等により、高い技術を持ち即戦力となる人材を育成してまいります。
 2点目は、「女性や若者の秋田定着・回帰」であります。
 「女性・若者の県内定着」と「日本一の子育て環境づくり」を両輪として、市町村、関係機関との連携をより一層強化し、秋田への定着・回帰を進めてまいります。
 女性や若者の働く場の確保については、産業振興による雇用の創出と併せ、ICTやデザインなど女性の感性が生かせる起業等への支援や産業の振興のほか、仕事と子育ての両立が可能となるよう、必要な職場環境の改善に向けた取組を促進してまいります。
 また、就職・進学による県外への転出に歯止めをかけるため、様々な業種でのインターンシップの実施など、県内企業を幅広く知っていただく機会を創出するとともに、スマートフォンを活用した情報発信等により、生活環境なども含めた県内就職の魅力を大学生等に積極的に提供するほか、処遇の改善を含め雇用の質を高める方策についても、県内経済界とともに検討を進めることにしております。
 移住・定住については、地域資源を活用して起業に取り組む移住希望者を支援する「ドチャベン事業」や、移住希望者のニーズに即した空き家情報の提供や空き家改修に引き続き取り組むとともに、市町村との連携・協働による新たなプロジェクト等を進めるほか、「秋田版CCRC」の実現などにより、「生涯活躍のまち」づくりを進めてまいります。
 「日本一の子育て環境づくり」については、妊娠・出産へのサポートの充実・強化を図るため、全市町村に対して「子育て世代包括支援センター」の設置を働きかけるなど、子育てに対する安心感の向上に取り組むほか、保育料助成制度の拡充に向け市町村との協議を進めたいと考えております。
 また、これまであきた結婚支援センターを中心として、結婚支援の取組を強力に推進してきた結果、この度、同センターの成婚報告者数が累計で1,000人を突破いたしました。目標を上回る早さでの達成となり、この機会を捉え、マッチングシステムの機能強化などセンター機能を充実させるとともに、その取組の周知を図りながら、結婚の希望を叶える環境整備を進め、婚姻数の増加に結びつけてまいります。
 3点目は、「未来に向けた交流創出と交通基盤整備」であります。
 四季折々に美しい表情を見せてくれる自然環境はもとより、多くの祭りや伝統行事、多彩な郷土料理や温泉など、本県は魅力的な観光資源に恵まれておりますが、外国人旅行者をはじめとする旅行者の多様なニーズに対応できる宿泊施設が不足していることなどにより、延べ宿泊者数は伸び悩みが続いております。
 このため、新たに民間宿泊事業者の大規模改修等を支援する助成制度を設けるとともに、インバウンド向けホテル等の建設を促進するため、私自ら国内外の大手資本に働きかけを行うほか、「秋田を題材にした連続テレビドラマ」の誘致活動の展開や、全国にネットワークを有する金融機関と連携した県外からの団体旅行の誘致など、様々なチャネルを活用した誘客を進めてまいります。
 インバウンド対策については、海外でも知名度の高い秋田犬とのふれあいや農家民宿での体験など、本県ならではの地域資源の磨き上げ等を行い、台湾、韓国、タイ、中国などを中心に誘客を進めるとともに、外国人旅行者向けに、国内主要空港等で秋田をPRするセカンドデスティネーションキャンペーンを展開するほか、多言語表記や外国語対応の充実など、観光拠点地域における受入態勢の着実な整備を図ってまいります。
 文化活動やスポーツの振興による新たな交流の創出に向けては、県・市連携文化施設の平成33年度中の完成を目指し、その整備を着実に進めるとともに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、バドミントン等の海外からの合宿誘致を積極的に図るほか、J2ライセンスを満たすサッカースタジアムの整備に向けた検討にも着手いたします。 
 こうした様々な交流等を支える交通基盤の整備については、奥羽・羽越両新幹線の整備路線への格上げを目指し官民一体となった運動を強力に展開するほか、自動車産業等の誘致の鍵ともなる秋田自動車道「北上・大曲」間の四車線化の実現等を国に対し働きかけるとともに、物流・観光交流の拡大につながる国道四六号「盛岡秋田道路」や国道105号「大曲鷹巣道路」等の幹線道路ネットワークの充実や、地域活性化の拠点となる「道の駅」の機能と魅力の向上を促進してまいります。
 また、クルーズ船の寄港拡大や物流拠点としての港湾機能の強化に向け、ターミナルやアクセス道路などの整備に加え、受入態勢の充実などソフト面の強化を図るとともに、引き続き国内外からのチャーター便の誘致や低運賃で国内外を結ぶLCCの活用に向けた取組等を進めてまいります。
 4点目は、「健康で安心して暮らすことができる秋田の構築」であります。
 生活習慣病による死亡率が依然として高い水準にあり、今後一層の高齢化が見込まれる本県においては、地域の実情に応じて保健、医療、介護、福祉の更なる充実と連携を図りながら、すべての県民が生涯にわたって健康で安心して暮らすことのできる社会の構築が喫緊の課題となっていることから、「健康寿命日本一」を目標に、健康長寿社会の実現に向けた総合的な取組を進めるとともに、総力を挙げた県民運動の展開を図ってまいります。
 また、脳・循環器疾患の総合的な医療提供体制の構築に向け、脳血管研究センターの増築を着実に進めるとともに、大学等と連携した若手医師の育成やナースセンターの機能強化による看護師の再就職支援等を進め、医療を支える人材の確保を図るなど、医療提供体制の強化を図ってまいります。
 さらに、高齢者が、住み慣れた地域で安心して生活していくための地域包括ケアシステムの確立や、すべての2次医療圏における認知症疾患医療センターの早期設置、認知症サポーターの活動支援などにより、総合的な認知症施策の充実・強化を図るとともに、「介護サービス事業所認証評価制度」の運用を開始し、新規就労や職場の定着促進など、総合的な介護人材確保対策を積極的に進めることにしております。
 最後に「次代を担う人材の育成」であります。
 これまで小学校、中学校で実施してきた少人数学習を、全国で初めて公立高校でも導入するほか、英語コミュニケーション能力の向上に向けた取組の強化、理数分野への関心を高めるための授業や地域で学ぶ体験型の授業の充実などにより、児童生徒の学力の一層の向上を図り、次代を担う人材を育成してまいります。
 また、地域に求められる産業人材の育成に向けて、高校でのキャリア教育や高校生、大学生のインターンシップを推進し、実践的な専門教育の充実を図るとともに、すべての子どもたちが良好な教育環境のもとで安心して学習に取り組めるよう、いじめや不登校への対策、生活困窮世帯に対する学習支援を強化するほか、県立学校の施設整備を進めてまいります。
 もとより、人口減少問題は一朝一夕に解決できるものではなく、刻一刻と変化する社会経済情勢に的確に対応しながら、これまで申し上げた「攻め」と「守り」の両面にわたって、各般の施策に取り組んでいかなければならないと考えております。
 特に注目すべきは、私が知事に就任した8年前には0.5倍以下であった全国の有効求人倍率が、平成29年2月には1.43倍にまで上昇するなど、働きたくても働く場がないという時代が終わり、今や、我が国全体で労働力不足、担い手不足が深刻化する中での人口減少問題に直面していることであります。
 こうした時代の変化を捉えつつ、次の4つの横断的な視点を加味しながら、着実かつスピーディーに施策を展開してまいります。
 1点目は、「雇用の質の向上」であります。他県との人材の獲得競争に打ち勝つためには、県内での就業の選択肢を増やしつつ、賃金など処遇の改善を図り、若い世代に魅力的な職場を創出することが必須条件であり、そのことが県外からの回帰につながるものであります。
 次は、「地域への人材供給」という視点からの県内の大学等教育機関のあり方についてであります。県が設立した大学2法人をはじめ、私立を含めた各教育機関にあっては、それぞれが県内企業の求める人材を供給するという認識を強く持ち、教育を実践していくことが重要であり、企業が必要とし即戦力となる人材の育成に結びつく教育内容の充実や、就職活動に対する必要な支援の強化等により、人材の県外流出に歯止めをかけてまいります。 
 また、「労働力の確保・有効活用」の観点から、地域の貴重な人的資源である、元気な高齢者の働く場の拡大を図っていくことが重要であります。高齢化率が日本一である本県にとって、高齢者の生きがいにつながるとともに、人口減少による労働力不足を補う有効な手段となるものと考えております。
 最後に、「科学技術の活用」であります。既に我が国では、労働力不足や働き手の高齢化を踏まえた技術開発が各分野において進められてきておりますが、特に本県において、ICTやIoT、パワーアシスト等のロボティクス技術など、最新のテクノロジーを先駆的に活用することが、地域社会を維持していく上での様々な課題を解決する可能性を広げることになるものと考えます。
 これらの視点に基づいて施策を展開してまいりますが、人口減少問題は1つの地方自治体だけで解決できるものではなく、国を挙げた対応が強く求められるものであります。東京一極集中の是正に向けた「地域にしごとをつくり、地方への新しいひとの流れをつくる」取組は、まだ十分な成果が上がっていないことから、国の大きな施策の柱の1つである地方創生が早期に実現できるよう、全国知事会等を通じ、国に対して総合的な対策を強く働きかけてまいります。
 人口減少克服に向けた挑戦は息の長いものとなりますが、将来、必ずや人口減少を克服するとの強い思いを胸に地道な努力を重ねていくとともに、県民が豊かさを実感し、安心して日々の暮らしを営める「高質な田舎」の実現に全力を尽くしてまいります。
 次に、提出議案の主なものについてご説明申し上げます。
 「知事等の給与および旅費に関する条例の一部を改正する条例案」及び「教育長の給与及び旅費等に関する条例の一部を改正する条例案」は、現下の経済状況に鑑み、知事、副知事、常勤の監査委員及び教育長の給料月額及び期末手当について、一定の割合に相当する額を減ずる特例措置を継続しようとするものであります。
 以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。