平成19年10月10日
産業経済政策課

概況

県内経済は、電気機械や木材・木製品において一服感が広がっていることや原材料価格高騰による利益の圧迫などから、横ばい的な状況となっている。

  • 製造業:原材料価格の高騰などにより利益が圧迫されている
  • 建設業:業界全体として厳しい状況が続いている
  • 小売業:夏物商品が好調
  • サービス業:保険、DTP、ソフトウェアが好調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は12.3から5.1となり、現在の資金繰りは▲9.7から▲13.5、3か月先の業況見通しは▲5.8から▲7.1となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.6%減、同5.7%減。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲3.4となっている。主力の電気機械は、コンデンサを中心に高操業が続いている一方、携帯電話向け部品の一部に厳しさが残るなど、生産品目により業況が分かれる結果となっている。木材・木製品においては、市況の動きが大幅に鈍化しているため減産を余儀なくされ、今後についても不透明感が漂い始めている。

また、原材料価格の高騰や製品単価の低下、円高傾向により利益が圧迫されている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比36.9%減、同25.0%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲37.5となっている。公共工事の減少や入札要件の厳格化により、受注確保のための競争が益々激化するなかで、燃料費の高騰によるコスト増など、各社とも利益確保が困難となっている。先行きについても、国体終了後の公共工事の減少が予想されるほか、9月の豪雨により手戻り工事が発生するなど、より一層の厳しさが懸念される。

小売業では、売上高は前年同月比で9.3%増、3カ月先の業況見通しDIは▲24.1から▲13.8となった。家電品では、中旬の猛暑によりエアコンや冷蔵庫などの夏物家電が好調だったものの、エアコンの在庫不足で売り逃す企業もあった。衣料品では、猛暑や天候不順により客足が遠のいたほか、飲食料品では、夏物商品が好調だったものの売上高が前年同月比減の企業が多く、弱めの動きとなっている。

サービス業では、売上高は前年同月比17.2%増、3カ月先の業況見通しDIは25.0から8.3となった。旅館・ホテルにおいては、宿泊部門でネット予約の効果により堅調な企業もあるものの、夏祭りの平日開催や天候不順により、宿泊客数の減少が続くほか、婚礼部門での競争の激化など、総じて厳しい状況が続いている。一方、保険、DTP、ソフトウェアは好調に推移している。

製造業の動向

1 食料品

「原材料価格高騰により利益が圧迫」
生産額は前年同月比10.3%減。3か月先の業況見通しDIは7.1から▲7.1となった。
商品別ではスープが堅調だったが、贈答品や菓子類が伸び悩んだ。
酒造では、県内向けのレギュラー酒が低調なほか、猛暑によりビール類や清涼飲料水に客足が流れるなど低調に推移している。また県外需要においては、関東以西で贈答品の販売がやや伸び悩んだ。各社とも今後の需要期に期待を寄せている。
新規取引先を開拓したことで今後生産額の増加が期待される企業もあるが、原材料価格高騰が続くなど、総じて厳しい状況が予想される。

2 繊維・衣服

「秋冬物の生産が例年並に推移」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.8%減、同5.1%減。3か月先の業況見通しDIは14.3と変わらない。
依然として業界全体が厳しい状況にあるなか、全体としては秋冬物の生産が例年並に推移した。原油高の影響により、原材料価格の高騰に加え、このところ梱包材も値上がりしており、各社とも利益確保に苦心している。

3 木材・木製品

「市況が大幅に鈍化し、減産が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.8%増、同12.1%減。3か月先の業況見通しDIは▲8.3から▲33.3となった。
建築基準法の改正の影響で、全国的に新設住宅着工戸数が大きく落ち込んでいるため、各社とも減産を余儀なくされている。一部企業では首都圏向けの出荷が好調だが、やや頭打ち感もみられる。原材料価格の高騰や関税引き上げも相まって、先行きについても不透明感が漂い始めている。

4 鉄鋼・金属製品

「電気機械関連が好調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.2%減、同14.2%減。3か月先の業況見通しDIは▲8.3から16.7となった。
一部企業で、生産時期の違いにより先月の生産額増の反動減となったことから、全体としても前年同月比減となったが、平均してみると例年並の生産額となっている。引き続き電気機械関連が好調なほか、輸送機械部品や産業機械関連でも安定した生産活動が続いている。しかし、一方では依然として原材料価格が高騰を続けており、利益が圧迫されている状況も続いている。

5 一般機械

「一般産業向けや輸送機械関連が好調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比9.4%減、同0.2%減。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から▲28.6となった。
公共工事関連で低迷が続いていることに加え、一部企業で生産時期の違いによる影響があったため生産額は前年同月比減となったが、一般産業向けや輸送機械関連が高操業を続けており、総じて好調に推移している。
新潟県中越沖地震の影響により、一部企業では納入が遅れていたが、ほぼ落ち着きを取り戻しているほか、受注額を半年分以上確保している企業もあるなど、今後も安定した生産活動が見込まれる。

6 電気機械

「生産品目により業況が分かれる」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比7.0%減、同8.8%減。3か月先の業況見通しDIは▲10.3から0.0となった。
主力のコンデンサを中心に、プリント配線板、光学部品、プリンタ部品で高操業が続いているほか、半導体関連でも増産が続いているものの、取引先の海外移管などにより、厳しい状況の企業もある。また、携帯電話向け部品では、好調な企業も見受けられるが、一部で依然として厳しい状況が続いている。

7 輸送機械

「多くの企業でフル稼働となる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比11.3%増、同13.9%増。3か月先の業況見通しDIは14.3から▲14.3となった。
取引先メーカーでモデルチェンジがあったことによりフル稼動となるなど、複数の企業で好調な生産活動が続いている一方、生産コストを価格転嫁できず厳しい経営環境に置かれている企業もあるなど、生産品目や取引先メーカーにより業況が分かれる状況となっている。
一部企業では、今後閑散期を迎えるため業況の悪化を心配しているが、全体としては引き続き高操業が見込まれる。

8 精密機械

「光学部品や医療機器関連が堅調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.0%増、同4.1%増。3か月先の業況見通しDIは25.0と変わらない。
光学部品では、引き続きデジタルカメラ関連で引き続き高操業を続けているほか、試作品や新製品の引き合いもあるなど、総じて好調に推移している。医療機器関連でも堅調に推移しているほか、光ファイバー関連も海外需要によりやや持ち直している。
原材料価格高騰や部品納入条件の厳格化など、利益確保の面において厳しさが残るが、今後も安定した生産活動が見込まれる。

建設業の動向

「業界全体として厳しい状況が続いている」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比36.9%減、同25.0%減。3か月先の業況見通しDIは▲50.0から▲37.5となった。
公共工事の減少や入札要件の厳格化、低価格入札の常態化により、受注確保のための競争が益々激化するなか、燃料費の高騰によるコスト増など各社とも利益確保が困難となっている。民間工事についても小口工事が多く、業界全体で依然として厳しい状況が続いてる。
9月の豪雨の影響により、手戻り工事が発生しているほか、国体終了後の工事量減少が予想されるなど、先行きについても一層厳しさが増すことが懸念され、他地域への進出を検討する企業もある。

小売業の動向

1 衣料品

「猛暑と天候不順により夏物衣料が低調」
売上高は前年同月比9.5%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲14.3となった。
気温が上がりすぎたことにより客足が減少したほか、天候不順により夏物衣料が不振だった。下旬に気温が下がり始めたことにより、一部企業では秋物衣料が伸びたものの、全体としては低調に推移した。
原油高の影響により消費者が買回り品を買い控える傾向が読み取れるとの声もあり、各社とも厳しい経営環境に置かれている。

2 身回品

「気温の上昇により季節商品が好調」
売上高は前年同月比36.0%増。3か月先の業況見通しDIは▲28.6と変わらない。
先月から一転して気温が上昇したため、ホームセンターではエアコンや扇風機などの季節商品が好調だったが、在庫処分のため割引販売を行っていたため利益は伸び悩んだ。また、一部企業でセール品の販売が好調だったことで、売上高は前年同月比大幅増となったものの、競合店の増加による客足の分散など、各社とも利益確保に苦心している。

3 飲食料品

「猛暑により夏物商品が好調」
売上高は前年同月比8.4%増。3か月先の業況見通しDIは▲27.3と変わらない。
猛暑により、清涼飲料水や夏物商品が好調だったが、品不足による高値状態のため青果品が不調だった。酒類販売についても、猛暑により売上が伸びたが、業務用の注文の減少や夏祭りなどのイベント需要の不調が響き、低調に推移した。
一部企業が好調なため売上高は前年同月比増となったが、全体としては弱含み傾向が窺える。

4 家電品

「夏物家電が好調」
売上高は前年同月比0.8%増。3か月先の業況見通しDIは25.0から50.0となった。
中旬の猛暑により、エアコンや扇風機、冷蔵庫などの夏物家電が好調だったが、一部企業では、エアコンが在庫切れとなったことで売り逃しがあった。地上デジタル放送を間近に控えた地域では薄型テレビの販売が好調だったが、単価の下落が激しく、利益確保に苦心している。
月を通してみると涼しい日も多く、暑い日が続いた昨年に比べ売上高は減少したが、夏物家電を中心に底堅く推移している。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「一部で宿泊部門が堅調なものの、厳しい状況が続く」
売上高は前年同月比2.7%減。3か月先の業況見通しDIは、21.4と変わらない。
宿泊部門では、夏祭り期間の天候不順や平日開催の影響により宿泊客が減少しているなか、ネット予約の効果や団体客の利用により、客数を伸ばしている企業もある。
利幅の大きい婚礼部門では、競争の激化や婚礼組数の減少により依然として低調であったほか、宴会部門で規模の縮小化が続いている。
総じて厳しい状況が続いており、各社とも今後国体や秋の行楽シーズンの需要に期待しているが、9月の豪雨による影響を懸念している。

2 その他サービス

「保険、DTP、ソフトウェアが好調」
売上高は前年同月比33.1%増。3か月先の業況見通しDIは30.0から▲10.0となった。
保険が堅調なほか、DTPでは国体関連の受注などにより引き続き好調に推移しており、今後繁忙期に入ることから、今後についても好況を維持していくものと思われる。ソフトウェアにおいては、長期の大型案件により売上を伸ばしている。
運送関連では、貨物部門で、輸送機械関連や青果品等が堅調だったものの、燃料費高騰により利益が圧迫されている。
倉庫部門では、厳しい状況が続いているものの、今後新米の入荷が当初の計画を上回る見込みがあり、やや好転するものと思われる。

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