現在由利管内では大規模な地震や集中豪雨などの災害に備えるため、市やため池管理者と共にため池ハザードマップの作成を進めています。


・ため池ハザードマップとは?
 ため池とは農業用水を確保するために水を貯えて取水ができるよう、人工的に造成された池のことです。農業用水だけではなく、雨水を一時的に貯める洪水調整等の防災機能や生物の生息・生育の場所の保全、祭りなどの文化・伝統の継承といった様々な機能を有しており、秋田県内では現在使用中の農業用ため池が約2,500箇所あります。
 このような多面的な機能を有するため池が決壊した場合を想定し、洪水の浸水範囲・到達時間や避難方向などの情報を地域住民の方々に提供し、情報を共有することで、災害時に自主的な避難に役立てることを目的に作成しているのがハザードマップです。


 

 ・ハザードマップに関連した地域の取り組みについて
 ハザードマップを作成するにあたり、ため池の堤高や貯水量、ため池下流の地形を基に被害想定図を策定し、避難方向や避難場所を検討します。地域の実状に合わせたマップを作成するためには、図面やため池の諸元からの情報だけではなく、地域住民の方々の意見を反映させることが不可欠となりますが、その場として、県、市町村職員や地元の方を交えたワークショップを行います。ワークショップでは被害想定区域図を用いて、地域住民の方々から被害想定区域の整合性や避難方向等に関する意見を伺い、挙げられた意見を反映させ、ようやくハザードマップの完成となります。

※ワークショップ・・・参加者が専門家の助言を得ながら問題解決に向かう研究集会。
※被害想定区域図・・・ため池が決壊した場合、貯めていた水が流れ込む範囲及び水深を表す図。

 由利管内においては、今年度38箇所のため池ハザードマップの作成を進めており、それに伴い、各地域でワークショップを開催しました。
下の写真は由利本荘市矢島町で開催したワークショップの様子です。地域住民の方々から過去のため池決壊時の様子などの意見を伺い、地域の自治会館等の避難場所となる施設の確認を行いました。 

由利本荘市矢島町で行われたワークショップ
               由利本荘市矢島支所で行われたワークショップの様子

 また、地域の防災意識を高めるにあたっては、ハザードマップを活用した避難訓練を行うことも重要です。定期的に避難訓練を行うことで、地域住民の方がマップに触れる機会が増え、避難場所の把握につながるとともに、マップの内容を見直す機会にもなります。

県内の防災訓練の例については、下記リンクからご覧ください。
雄勝 大雨によるため池の決壊を想定した防災訓練

 近年、局地的な大雨や大規模な地震の発生などにより、ため池決壊による被害が各地で発生しています。ハザードマップは、有効に活用することにより地域全体の防災意識を高め、自身の人命・財産を守る手段となりますので、是非活用して下さい。
 


記事作成年月:平成29年3月