平成19年8月6日
産業経済政策課

概況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残り、電気機械などにおいては一服感が広がっているものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。

  • 製造業:概ね堅調な生産活動が続くも、原材料価格の高騰や製品単価の低下により利益が圧迫されている
  • 建設業:業界全体として厳しい状況が続いている
  • 小売業:家電品、飲食料品で夏物商品に動き
  • サービス業:保険やDTPが堅調に推移

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲5.9から0.6となり、現在の資金繰りは▲12.6から▲10.3、3か月先の業況見通しは5.9から0.0となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.0%減、同1.6%減。3か月先の業況見通しDIは11.9から12.8となっている。主力の電気機械は、全体としては堅調に推移し、コンデンサを中心に高操業が続いている一方、携帯電話向け部品や光ファイバー関連は依然として生産額が減少したままで推移しており、生産品目により業況が分かれる結果となっている。また、木材・木製品、一般機械、輸送機械、精密機械において生産額が前年同月を上回っており、総じて堅調な生産活動が続いているものの、原材料価格の高騰や製品単価の低下により利益が圧迫されている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比21.1%減、同7.3%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲46.7から▲31.3となっている。公共工事の減少や入札要件の厳格化により、受注確保のための競争が益々激化するなかで、燃料費の高騰によるコスト増など、各社とも利益確保が困難となっている。一部の企業では民間工事の受注が好調だったが、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業では、売上高は前年同月比で11.0%増、3カ月先の業況見通しDIは3.3から▲13.3となった。家電品や飲食料品では、好天が続いたため夏物商品に動きが見られたが、ボーナス商戦や贈答品需要の引き合いが弱かった。一方、衣料品、身回品は、競合店との価格競争や客足の分散により、依然として低調に推移している。

サービス業では、売上高は前年同月比3.5%増、3カ月先の業況見通しDIは21.7から▲8.3となった。旅館・ホテルにおいては、宿泊部門や宴会部門で一部に好調な企業が見受けられたが、婚礼部門では競争の激化や婚姻組数の減少が続いており、総じて厳しい状況が続いている。一方、保険やDTPは堅調に推移している。

製造業の動向

1 食料品

「一部企業が季節要因などにより概ね堅調」
生産額は前年同月比11.1%減、3か月先の業況見通しDIは▲21.4から7.1となった。
一部企業が季節要因や取引先の増加により概ね堅調であったが、原油高による利益の圧迫など、依然として厳しい状況が続いている。
酒造では、県内需要が依然として大きく落ち込んでいることに加え、県外需要でもやや弱めの動きが見られる。業界全体として売り込みを展開しているが、消費拡大に結びつかず、生産額の減少傾向が続いている。

2 繊維・衣服

「業界全体として厳しい状況が続く」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比8.7%減、同6.3%増。3か月先の業況見通しDIは28.6から42.9となった。
秋冬物への切り替えが始まり、一定の受注を確保している企業もあるが、海外との生産競争により、業界全体として生産額が減少している。
短期間での仕上がりが求められる傾向や、時間と労力の関係で受注が困難な案件があり、各社とも対応に苦慮している。

3 木材・木製品

「旺盛な首都圏需要に牽引され、好調な生産」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.0%増、同2.2%増となった。3か月先の業況見通しDIは0.0から16.7となった。
引き続き首都圏のマンション建設の需要が高いことにより、合板や一般材で好調な生産活動が続いている一方、原材料価格の高騰や関税引き上げ、円安が進行しており各社の対応によって業況が分かれる結果となっている。
県内需要については、暖冬により住宅着工が早まったことや、耐震偽装問題の影響で建築確認に時間がかかっていることなどから着工数自体が少なく、先行きにも不透明が漂っている。

4 鉄鋼・金属製品

「多くの企業でフル操業を維持」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.8%減、同12.8%増。3か月先の業況見通しDIは8.3と変わらない。
電子機械関連や産業機械関連で、在庫調整が終わり動きが出始めたほか、非鉄金属や輸送機械部品でも安定した生産活動が続いている。生産時期の違いにより、全体としては生産額が前年同月比減となっているが、多くの企業でフル操業を維持しており、今後の受注についても堅調に推移していくものと思われる。しかし、一方で依然として原材料価格が高騰を続けており、利益が圧迫される状況も続いている。

5 一般機械

「一般産業向けや輸送機械関連が好調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.0%増、同27.0%増。3か月先の業況見通しDIは14.3から28.6となった。
依然として原材料価格の高騰が続き、経費が掛かり増しとなっているほか、公共工事関連で弱めの動きが見られるが、一般産業向けや輸送機器関連が高操業を続けており、総じて好調に推移している。生産額が前年同月比減の企業も一部で見受けられるが、計画の範囲内で推移しており、今後も安定した受注が見込まれている。

6 電気機械

「生産品目により業況が分かれる」
生産額、受注額は、それぞれ前年同月比5.9%減、同6.4%減。3か月先の業況見通しDIは27.8から28.6となった。
全体としては引き続き堅調に推移しており、主力のコンデンサを中心に、プリント配線板、光学部品、プリンタ部品で高操業が続いている一方、携帯電話向け部品や光ファイバー関連は生産額が減少したままで推移しているため、全体の生産額は前年同月比で6ヶ月連続減となっており、生産品目により業況が分かれる結果となっている。
総じて生産量自体は増加傾向にあり、今後も堅調な生産活動が続くものと思われる。

7 輸送機械

「生産品目、取引先メーカーにより業況が分かれる」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.5%増、同8.2%増。3か月先の業況見通しDIは28.6から14.3となった。
多くの企業で引き続き好調な生産活動が続いている一方、生産額が伸び悩む企業も見受けられ、生産品目や取引先メーカーにより業況が分かれる状況となっている。一部企業では、複数の部品の製造を打ち切る予定があるが、旺盛な海外需要を背景に総じて堅調に推移していくものと思われる。

8 精密機械

「医療機器関連や光学部品が堅調」
生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.7%増、同0.9%増。3か月先の業況見通しDIは28.6から25.0となっている。
光学部品は、デジタルカメラ関係で引き続き高操業を続けているが、取引先メーカーの海外での事業展開により生産額が減少している企業もあり、企業間で格差が見られる。また、医療機器関連も引き続き安定しているほか、光ファイバー関連でも海外需要により動きが出始めている。
依然として原材料価格が値上げ基調にあるが、今後も安定した生産活動が見込まれることから、総じて底堅く推移していくものと思われる。

建設業の動向

「業界全体として厳しい状況が続いている」
受注額、完工高はそれぞれ前年同月比21.1%減、同7.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲46.7から▲31.3となった。
公共工事の減少や入札要件の厳格化、低価格入札の常態化により、受注確保のための競争が益々激化するなか、燃料費の高騰によるコスト増など、各社とも利益確保が困難となっている。一部の企業では民間工事が順調で、今後も受注が見込まれているが、業界全体で、依然として厳しい状況が続いてる。

小売業の動向

1 衣料品

「一部で夏物に動きも、依然として低調」
売上高は前年同月比1.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲28.6とと変わらない。
好天に恵まれ、一部の企業では夏物に動きが出たが、例年に比べ引き合いが弱く、売上増には繋がらなかった。
不採算店舗を閉店させる企業もあり、各社とも厳しい経営環境に置かれている。

2 身回品

「各社とも売上確保に苦心」
売上高は前年同月比6.5%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲28.6となった。
ホームセンターでは、気温の上昇によりエアコンが堅調だったほか、日用品も回復傾向にあったが、アウトドア関連が不振だった。
競合店の増加により客足が分散しており、各社とも売上確保に苦心している。

3 飲食料品

「一部企業で夏物商品が好調」
売上高は前年同月比12.8%増。3か月先の業況見通しDIは33.3から▲8.3となった。
全体的には売上高が前年同月比減で推移する企業が多く、総じて厳しい状況が続くなか、季節要因ではあるが、気温の上昇により夏物商品が好調な企業も複数見られる。
各社とも下旬から贈答品の販売を開始しているが、出足が鈍く、今後に期待を寄せている。

4 家電品

「エアコンや冷蔵庫の販売が好調」
売上高は前年同月比24.1%増。3か月先の業況見通しDIはから50.0から25.0となった。
気温の上昇に合わせ、エアコンや冷蔵庫の販売が好調に推移したほか、携帯電話でも夏モデルの投入により売上を伸ばしている。一方、これまで好調だった薄型テレビを始めとするデジタル家電やパソコンには一服感が見られる。全体としては堅調に推移しているが、ボーナス商戦に引き合いがなく、今後の動向を注視する必要がある。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「一部で宿泊部門が好調なものの、厳しい状況が続く」
売上高は前年同月比0.1%増。3か月先の業況見通しDIは、15.4から▲7.1となった。
宿泊部門では、一部で団体客の利用やキャンペーンの効果により、概ね堅調だったほか、宴会部門では、宴会の小規模化が続くものの、好天が続いたためビアガーデンが好調な企業が見受けられる。。 
利幅の大きい婚礼部門では、競争の激化や婚礼組数の減少が続き依然として低調であった。
総じて厳しい状況が続いており、各社とも今後夏祭りや国体の需要に期待している。

2 その他サービス

「保険、DTP関連が堅調に推移」
売上高は前年同月比7.1%増。3か月先の業況見通しDIは30.0から▲10.0となった。
保険では、住宅関連商品が好調であったほか、DTP関連でも首都圏からの受注により、堅調に推移している。
輸送関連では、旅客部門、貨物部門とも売上が前年同月比増となったが、燃料費の高騰などにより採算性が悪化している。

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