平成19年5月14日

産業経済政策課

概 況

県内経済は、一部に依然として厳しさが残り、電気機械においては一服感があるものの、全体としては引き続き回復の基調が続いている。

  • 製造業:一部に製品単価の下落や生産調整が見られるものの、概ね堅調な生産活動が続いている
  • 建設業:工事量が減少し厳しい状況が続いている
  • 小売業:飲食料品は堅調に推移するも、総じて売り上げが減少
  • サービス業:運送やソフトウエアが堅調

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲22.6から▲14.2となり、現在の資金繰りは▲6.5から▲8.4、3か月先の業況見通しは▲9.0から▲11.6となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.3%減、同3.9%増。3か月先の業況見通しDIは▲3.5から▲7.0となっている。主力の電気機械は、全体としては堅調に推移しているが、生産品目により価格競争や生産調整による影響が見られる。木材・木製品、精密機械、輸送機械などにおいて生産額が前年同月を上回っており、総じて好調な生産活動が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比8.2%減、同11.0%減となった。3か月先の業況見通しDIは▲68.8から▲26.7となっている。公共工事の減少は依然として続いており、受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっている。

小売業では、前年同月比の売上高で0.8%増、3カ月先の業況見通しDIは▲12.9から▲25.8となった。飲食料品は堅調な推移を示している一方、衣料品、身回品、家電品では、暖冬の影響により冬物商品の販売が不調であるほか、競合店との価格競争なども相まって厳しい状況が続いている。

サービス業では、売上高は前年同月比1.5%減、3カ月先の業況見通しDIは17.4から0.0となった。旅館・ホテルにおいては、宿泊客数や婚礼組数の減少により厳しい状況となっているが、企画・集客力によって客数に差が出る状況となっている。一方、運送やソフトウェア関係は引き続き堅調に推移している。

製造業の動向

食料品

「多くの企業で苦戦が続く」

生産額は前年同月比12.5%減、3か月先の業況見通しDIは▲35.7となっている。

取引先の新規開拓が進んでいる一部の企業を除き、多くの企業では前年同月比で生産額の減少が続いており、依然として厳しい状況である。

酒造では、近年、県外向けの出荷が概ね順調である反面、県内需要が依然として低調の状況が続いていたが、ここにきて、複数の酒造メーカーでは復調傾向が見られるとの見方をしており、今後の推移に期待を寄せている。

繊維・衣服

「生産額が低迷」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.5%減、同0.5%増。3か月先の業況見通しDIは▲57.1から▲42.9となった。全体の生産額は対前年同月比で5ヶ月連続で減となっており、業界全体として生産額が低迷している。

現在、各メーカーでは、春物の追加受注や秋物の試作品を製造しているが、未だ原油高騰の影響が見受けられる企業や作業工程が複雑で利益に結びつかない企業が見受けられるなど、厳しい経営状況が続いている。

木材・木製品

「輸入材の価格高騰の持続を見込み、駆け込み需要」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.9%増、同27.0%増となった。3か月先の業況見通しDIは0.0から33.3となった。

暖冬により、住宅着工が早まったことに加え、引き続き首都圏を中心としたマンション建設の需要が高いことにより、合板や板材などで好調な生産活動が続いている。また、外国産材の輸入量減少により原材料が不足しており、資材単価が上がり続けていている状況である。一部では製品価格へ反映させている企業も見受けられるが、利益に結びついているところは少ない。

今後多忙期に入り、引き続き県外向けの強い需要が見込まれることから、好調な生産が続くものと思われるが、県外需要に対する不透明も見受けられる。

鉄鋼・金属製品 

「原材料価格が高止まりを続けているが、今後は堅調に推移」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比17.0%減、同6.4%減。3か月先の業況見通しDIは▲18.2から▲9.1となった。

原材料価格の高止まりや取引先メーカーが決算期を迎え、在庫調整を行った影響などにより一部企業では利益が圧迫されている。

電子部品関係の企業では今後も計画的な受注が見込まれており、全体としても堅調に推移している。

一般機械

「生産品目により業況にバラツキが出る」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比22.1%減、同18.7%増。3か月先の業況見通しDIは37.5から▲12.5%となった。

首都圏の需要拡大の影響でフル生産が続いている企業もある中で、在庫調整により生産額が減少している企業もあるなど、生産品目により業況のバラツキが出ている。

ただし、今後の受注については総じて好調であり、複数の企業で設備投資を計画するなど、増産体制を整えている状況である。

電気機械

「堅調な生産が続くも、生産品目により好不調が分かれる」

生産額、受注額は、それぞれ前年同月比0.1%減、同1.0%増。3か月先の業況見通しDIは0.0と変わらない。

主力のコンデンサを中心に、産業用機械、家電などが引き続き好調を維持しているが、光ファイバーや光学機器、液晶などが価格競争や在庫調整などのため大きく落ち込んだことにより、全体の生産額は対前年同月比でマイナスで推移し、一服感が見受けられる。

総じて堅調な生産活動が続いているが、生産品目の違いにより業況が分かれる結果となっている。

輸送機械

「取引メーカーにより業況が分かれる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.8%増、同0.6%減となり、3か月先の業況見通しDIは16.7と変わらない。

軽自動車や北米・ヨーロッパ向けの部品等が引き続き好調であることと、円安が進行したことで、関係企業では好調な生産活動が続いているが、取引メーカーにより業況が分かれる結果となっている。

精密機械

「光学部品や医療機器関連の生産が堅調に推移」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.8%増、同12.5%増。3か月先の業況見通しDIは▲14.3と変化はない。

光学ガラスについては、デジタルカメラ関係部品の受注が好調なことから引き続き高操業が続いているほか、医療機器関連でも安定した生産が行われている。

取引先メーカーの海外での事業展開による影響を受けている企業や原材料価格の高騰など、不安要素も見受けられるが、全体としては堅調な生産活動が続くと見られる。

建設業の動向

「業界全体として厳しい状況が続いている」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比8.2%減、同11.0%減。3か月先の業況見通しDIは▲68.8から▲26.7となった。

特定の企業に公共工事などの大口契約が見られるが、公共工事の減少は依然として続いている。

受注確保のための競争が益々激化する中で、各社とも利益確保が困難となっており、民間工事についても1件当たりの金額が減少傾向にあるなど、業界全体として厳しい状況が続いている。

小売業の動向

衣料品

「天候不順による影響で春物が不調」

売上高は前年同月比12.6%減。3か月先の業況見通しDIは25.0から0.0となった。

天候不順により冷え込む日が多く、春物衣料が不調となり、売上が落ち込んでいる。

一部、服飾雑貨や新卒者向けの商品や制服が堅調だったが、大きくな伸びは見受けられず、全体としては厳しい状況が続いている。

身回品

「天候不順で、客足が伸びず苦戦」

売上高は前年同月比7.7%減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9と変化無い状況である。

卒業・入学のお祝いや新生活用品の販売は順調であったが、後半のぐずついた天候により、客足が伸びず、農作業用品などの季節商品にも動きが見られなかった。

各社とも競合店の増加などにより、客足の分散化し、売り上げがなかなか回復しない厳しい状況が続いている。

飲食料品

「競合店が多く、激しい競争が続く」

売上高は前年同月比4.2%増。3か月先の業況見通しDIは▲16.7から▲33.3となった。

国内産野菜・果物では、暖冬による豊作の影響で、大根やキャベツ、いちごなどの仕入れ値安値状態が続いており、売り上げに影響が出ている。一方、輸入果実類では、ハリケーンや転作などの影響でオレンジや果汁100%ジュース類の値上げ要請がある。また、送迎会シーズンの需要もあまり伸びず、清酒をはじめとした酒類販売も低迷している状況である。

多くの企業が、ディスカウントショップなどの競合店との価格競争により苦戦を強いられているなか、特定品目に限って価格を安くすることで売上を伸ばしている企業もあるが、全体としては厳しい状況が続いている。

家電品

「薄型テレビ、パソコンを中心に回復の兆しが見受けられる」

売上高は前年同月比14.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲25.0と変わらない。

薄型テレビやパソコンなどは引き続き好調を維持している。なお、平成9年の消費税増税時に購入された製品が買い換え時期になっているため、各企業では冷蔵庫、エアコン、洗濯機の売上増加を期待している。

また、客足の分散化や、競合店の増加に伴う激しい価格競争により、各社とも利益確保に苦心している。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「厳しい状況が続くものの、企画力・集客力で差が出る」

売上高は前年同月比3.3%減。3か月先の業況見通しDIは、35.7から▲7.7となった。

宿泊部門では、宿泊客数の減少により、多くの企業では稼働率が低下しているが、インターネットの活用やプラン変更による値下げなどにより客足が回復した企業も見受けられ、企業の企画力・集客力によって業績に差が出る結果となっている。なお、利幅の大きい婚礼部門は依然として低調であるほか、宴会等の小規模化などにより、厳しい状況におかれている企業が多い。

その他サービス

「好不調が分かれる」

売上高は前年同月比0.2%減。3か月先の業況見通しDIは▲11.1から0.0となった。

運送では、燃料費は依然として高い水準にあり利益が圧迫されているが、業務改善を行ったことにより、利益を確保している企業もある。旅客関係では、厳しい状況が続いている。

ソフトウェア関係は、堅調に推移しているが、県内のネットワーク関連の仕事は減っているとの見方もある。

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