県内経済動向調査結果(平成18年4月分)

平成18年6月2日 産業経済政策課

概況

県内経済は、依然として厳しい部分もあるものの、電気機械など主要製造業を中心に緩やかな持ち直しの動きが見られる。

  • 製造業 :電気機械を中心に持ち直している
  • 建設業 :工事量が減少し競争が激化
  • 小売業 :家電品が堅調に推移
  • サービス業 :燃料価格高騰の影響が見られる

 全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲9.4から▲4.5に改善し、現在の資金繰りは▲8.8から▲9.6と悪化、3か月先の業況見通しは▲6.4から2.5と改善している。

 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比12.9%増、同16.7%増。3か月先の業況見通しDIは4.3から9.1となっている。製造業全体では前年同月比の生産額が10カ月連続してプラスであり、主力の電気機械が好調を維持しているほか、木材・木製品や一般機械においても引き続き前年同月比でプラスが続き、繊維・衣服もプラスに転じるなど、県内製造業における生産額は着実に増加しており、持ち直している。

 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比33.1%増、同16.0%減、3か月先の業況見通しDIは▲44.8から▲43.8となっている。公共・民間工事とも発注が少ないため競争が激化しており、厳しい経営環境が続いている。

 小売業では、前年同月比の売上高で2.6%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲20.0から0.0となっている。悪天候により客足が鈍かったものの、飲食料品は底堅く、家電品も堅調に推移したため、全体として底堅く推移している。

 サービス業では、売上高は前年同月比9.7%の減。3カ月先の業況見通しDIは7.4から13.6となった。旅館・ホテルでは、婚礼部門が引き続き不調であったが、客単価が低いながらも宿泊・宴会部門は客数が増加し、インターネット予約も好調であった。コンピュータ関連は合併による特需も一段落し、輸送部門では、燃料費の高騰などにより利益が圧迫されている。

製造業の動向

1 食料品

「首都圏向け清酒が好調」

 生産額は前年同月比2.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲20.0から▲14.3と改善した。

 一部企業では、定番商品が安定して推移しているものの、燃料価格高騰によるコスト増を製品価格に転嫁できていない企業が多く見受けられる。

 酒造では、県内需要が依然として厳しい状況であるが、首都圏向けの商品が好調な企業も見受けられ、各社とも、今後の需要増加に期待を寄せている。

2 繊維・衣服

「生産がピークに」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.5%の増、同6.4%の減。3か月先の業況見通しDIは▲20.0から▲25.0と悪化している。

 多くの企業では、生産が引き続きピークを迎えており、昨年同月比でも生産額が増加しているが、デザインの複雑な製品が増えたため、ラインの切り替えに時間がかかり生産効率に落ち込みがあるなど、利益率が上がりにくい状況である。

 また、各社では、燃料価格高騰のため、ボイラーなど光熱費の増加や原材料の値上がりにより、収益が圧迫されている。

3 木材・木製品

 「価格競争が激化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比7.0%の増、同10.1%の増となった。3か月先の業況見通しDIは17.6から33.3となった。

 全体としては、北洋材などの原材料費が高止まりするなどの影響に加え、価格競争も激化し、利益幅が減少するなど、厳しさが残っている。

 一方で、首都圏向けのフローリング材や厚物合板が好調であるほか、関西方面からの受注も伸びているなど、市場に動きが見られる。

4 鉄鋼・金属製品 

 「原材料高騰が利益を圧迫」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%の減、同10.1%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から8.3と好転した。

 業態や製品により企業間の業況には温度差があるものの、一部企業では、試作品の引き合いが入ってきているほか、フル稼働が続く企業も見受けられるなど、全体としては底堅く推移している。

一方で、希少金属をはじめとする金属価格の高止まりや、燃料価格が依然として高騰を続けていることなどから、利益を圧迫されている企業も多い。

5 一般機械

「県外需要が好調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比16.5%の増、同0.3%の増。3か月先の業況見通しDIは、36.4から12.5となった。

 原材料費が1割程増加している企業も見受けられるものの、引き続き県外の需要が好調を維持しており、自動車関連や航空機関連など、民需を中心に引き合いが途切れない状況が続いている。

 既存の取引が好調な企業、新たな取引先を開拓し受注が増加している企業など、この先しばらく好調な生産が続く見込みの企業も多いことから、今後も堅調に推移すると考えられる。

6 電気機械

 「好調に推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比21.6%の増、同23.4%の増。3か月先の業況見通しDIは17.2から23.8となった。

 生産額は、前年同月比で10カ月連続のプラスが続いている。

 主力のコンデンサをはじめ、液晶・光ファイバー関係が着実に伸びており、特に、自動車や携帯電話、テレビ向けの部品が好調であった。一部では、生産能力を上回り、協力企業へ受注を振り分けている企業も見受けられた。

 製品単価引き下げや燃料・原材料価格の高騰により利益が圧迫されている企業も見受けられる一方で、品種構成や生産工程の見直し等のコストダウンに向けた取組により、利益を確保している企業も見受けられる。

7 輸送機械

「堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.9%の減、同3.1%の減となり、3か月先の業況見通しDIは0.0から16.7に好転した。

 設備投資に力を入れ、今後の雇用増加を見込んでいるフル稼働状態の企業もあるが、取引先メーカーの不調の影響を受けている企業や、一部原材料費の高騰で利益率が悪化している企業も見受けられる。

 各社とも、国内の新型車や海外輸出用部品の今後の動きに期待を寄せており、しばらくの間は受注残もあることから、今後も堅調に推移すると思われる。

8 精密機械

「堅調に推移」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.3%の減、同11.4%の増。3か月先の業況見通しDIは4.2から0.0となった。

 時計関連や光学レンズなどは生産額が伸びているほか、医療機器関連については前年同月比で受注が増加しているなど、今後も堅調な推移が見込まれる。

 一方で、燃料費や原材料価格の高騰により、各社とも利益が圧迫されており、厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

 受注額、完工高はそれぞれ前年同月比33.1%の増、同16.0%の減。3か月先の業況見通しDIは▲44.8から▲43.8となった。

 全体として、受注額は前年同月比で増加しているものの、公共・民間工事共に発注量が少なく、激しい競争が続いている。

 大口の工事を受注できた企業もある一方で、公共・民間工事共に受注できない企業も見受けられ、受注できたとしても小口の利幅の少ない工事が多いなど、各社がおかれている経営環境は厳しい状況にある。

小売業の動向

1 衣料品

「客単価が低下傾向」

 売上高は前年同月比14.7%の減。3か月先の業況見通しDIは▲35.7から▲12.5となっている。

 月の前半は気温が低い日が続き、春・夏物への移行が進まなかったほか、悪天候が続いたため客足も鈍り、多くの企業で売り上げが減少している。

 また、大型店などの競合店の増加や、依然として低い客単価など、厳しい経営環境が続いている企業も多い。

2 身回品

 「悪天候により伸び悩み」

 売上高は前年同月比10.7%の減。3か月先の業況見通しDIは▲15.4から▲28.6と悪化した。

 ホームセンターでは、リフォーム関係は好調に推移しているものの、天候の悪い日が続いたため、苗や肥料等の園芸用品が伸び悩んだほか、競合店との競争により客の分散化も進んでいる。

また、燃料価格の高騰により、仕入れ価格が値上がりした企業もあるなど、依然として厳しい状況が続いている。

3 飲食料品

「底堅く推移」

 売上高は前年同月比0.8%の減。3か月先の業況見通しDIは▲33.3から▲8.3と改善している。

 一部の企業では、客数、客単価共に前年を上回っているものの、天候不順や競合店の増加などにより、売り上げが減少している企業も多い。

 酒類販売においては、堅調に推移しており、一部高額商品には動きも見られる。。

 燃料価格の高騰のため、包装資材等が値上がりし、利益を圧迫している企業も見受けられるが、全体的には底堅く推移している。

4 家電品

「薄型テレビが堅調に推移」

 売上高は前年同月比2.8%の増。3か月先の業況見通しDIは20.0から100.0となっている。

 地上デジタル放送の開局やサッカーワールドカップの影響により、薄型テレビに引き続き動きが見られる。また、一部ではエアコンの出だしが好調なほか、乾燥機付き洗濯機の売り上げにも伸びが見られた。 各企業では、今後のボーナス商戦に期待を寄せている。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル

「インターネットによる宿泊予約が好調」

 売上高は前年同月比5.8%の減。3か月先の業況見通しDIは、6.7から23.1となった。

 婚礼部門は、依然として不振が続いており、一部を除いて低調に推移している。

 宿泊部門や宴会部門では、客単価は低いが、複数の企業で客数の増加が見受けられたほか、インターネット予約も好調であった。

 全体的には売上が伸び悩んでいるほか、燃料価格の高騰により各社とも利益が圧迫されている。

2 その他サービス

「堅調に推移」

 売上高は前年同月比12.8%の減。3か月先の業況見通しDIは8.3から0.0となった。

 コンピューター関係では、市町村合併による特需は一段落したものの、新規案件が増加し技術者が不足している企業や、大口のリース契約による安定的な売り上げが見込める企業もあるなど、今後も堅調に推移すると見られる。

運送部門では、燃料価格の高騰や車両費、人件費の増加などにより利益が圧迫されている企業も多い。

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