産業経済政策課 平成18年4月3日

概況

県内経済は、総じて横ばいの中で推移しているが、電気機械を中心とした県内の主要製造業で生産額が着実に増加している。

  • 製造業:電気機械を中心に生産増加が続く
  • 建設業:除雪も落ち着き、手持ち工事が減少。
  • 小売業:大雪の影響で客足遠のく。
  • サービス業:燃料価格の高騰が利益を圧迫している

 全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲34.9から▲23.7、現在の資金繰りは▲20.9から▲19.3、3か月先の業況見通しは0.0から2.5といずれも改善している。
 製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比17.3%増、同14.1%増。3か月先の業況見通しDIは12.1から14.5となっている。製造業全体では前年同月比の生産額が8カ月連続してプラスであり、主力の電気機械が前年比同月比で大きな伸びを示していることが主たる理由であるほか、鉄鋼金属や輸送機械では引き続き堅調に推移している。また、木材・木製品の生産額が1年振りに前年同月比でプラスに転じるなど、県内製造業における生産額の着実な増加が見受けられる。
 建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比32.8%減、同14.9%減。3か月先の業況見通しDIは▲37.9から▲39.3となっており、総じて厳しい経営環境が続いている。除雪の対応は、徐々に落ち着いてきているが、各工事現場では降雪による工事の影響等が出ている。
 小売業では、前年同月比の売上高で4.8%の減。3カ月先の業況見通しDIは、▲3.6から0.0となっている。今月は、卒業入学用衣類に動きが見受けられたものの、大雪の影響から客足が遠のくなど、天候による影響が見受けられた。

 サービス業では、売上高は前年同月比11.4%の増。3カ月先の業況見通しDIは0.0から▲11.1となった。
 旅館・ホテルでは、大雪の影響による宿泊客のキャンセルが見受けられたほか、原油価格高騰の影響から光熱費の増大が利益を圧迫している。輸送部門では、概ね売上を確保しているものの、燃料費の高騰や大雪による輸送効率の低下など利益を圧迫している。

製造業の動向

食料品

「底堅く推移」

 生産額は前年同月比0.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲10.0のまま変わらずであった。
 一部企業では、大手スーパーとの取引や複数の全国チェーンコンビニエンスストアと取引が始まっており、全体としては、底堅く推移していると言える。
 酒造では、需要期を迎え、首都圏向けの商品で動きが出ているが、本県の需要は依然として鈍い状況である。
 なお、今年5月の酒税法の改正を控え、日本酒の税率が低くなることから、4月には買え控えによる売上の落ち込みが予想されている。

繊維・衣服

「春夏物の生産がピークに」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.8%の増、同6.3%の減。3か月先の業況見通しDIは20.0で、変化はない。
 各企業では、春夏物の製造がピークを迎えている。各企業では、手の込んだ刺繍などが入った春夏物のどにより製造効率が落ちており、利益率が上がらない状況である。
 また、各社では、原油価格高騰による原材料や資材値上げのほか光熱費が高騰しており収益を圧迫している。

木材・木製品

「生産額が一年ぶりに前年同月比でプラスに転じる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.8%の増、同1.8%の増となり、1年振りで生産額が前年同月比でプラスに転じた。3か月先の業況見通しDIは23.5から17.6となっている。
 対前年同月比でプラスに転じた要因としては、首都圏向けのフローリング材や厚物合板に動きが見受けられること、一部企業で段階的な製品価格の値上げを行っていることなどが要因である。
 しかしながら、県内の新規住宅着工の動きが依然として鈍いほか、加えて北洋材などの原材料費が高止まりするなど複合な影響が見受けられ、全体では、まだまだ回復基調とは言えず、各企業では、春先の需要動向に期待を寄せている。 

鉄鋼・金属製品 

「堅調に推移している」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.1%の増、同6.6%の増。3か月先の業況見通しDIは5.9から12.5となった。
 一部企業では、首都圏や東海地域などへ向けた建設用鋼材に動きが見られるなど受注超過の状況が続いているほか、フル稼働が続く企業も見受けられる。
 鋼材やコークス、希少金属をはじめとする金属価格の高止まりや燃料価格が依然として高騰を続けていることから、各企業では利益率を落としているものの、今後の受注を確保している企業も多く、しばらくはこの傾向が続くと考えられる。

一般機械

「堅調に推移している」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.9%の減、同3.7%の増。3か月先の業況見通しDIは、0.0から40.0となった。
 生産額では、納期などの関係から前年同月比でマイナスとなっているが、自動車関連や航空機関連など民需を中心に好調な受注状況であるほか、一部企業では、輸出用製品の追加受注等により慢性的な受注残があるなど、多くの企業が受注残を抱えていることから、今後も堅調に推移すると考えられる。

電気機械

「生産額が好調に推移」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比29.6%の増、同22.1%の増。3か月先の業況見通しDIは24.1から13.8となった。
 生産額は、前年同月比で8カ月連続プラスに転じている。
 受注状況を見ると、主力のコンデンサの受注が増加しているほか、液晶・光ファイバー・半導体関連部品が伸びており、一部企業では、生産能力を上回る受注を受けている。
 なお、生産量(生産額)が上がっている企業においても、製品価格の値引き要請や原材料価格の上昇等の理由から、赤字若しくは利益が圧迫されており、各企業の利益率については先行きが見えない状況である。

輸送機械

「製造部品等により状況に変化」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.4%の増、同1.2%の減。3か月先の業況見通しDIは14.3から0.0と悪化している。
 各社共に、今後の受注見通しもあるものの、製造部品やそのグレード、車種により、その動向に違いが出てきている。
 今後は、国内の新型車の売上動向や海外輸出用部品の動向が注目されるが、今後しばらくの間は受注残もあることから、底堅く推移すると思われる。

精密機械

「医療機器関連が堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比5.6%の増、同4.0%の増。3か月先の業況見通しDIは12.5から25.0となった。
 医療機器関連、時計関連は、受注も増加傾向となっており、堅調に推移している。
 計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求のほか、工場の海外シフトなどの理由により厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「手持ち工事が減少」

 受注額、完工高はそれぞれ前年同月比32.8%の減、同14.9%の減。3か月先の業況見通しDIは12.1から▲39.3となった。
 公共事業の減少により各企業とも厳しい経営環境が続いている。先月は、記録的な大雪の影響で、各企業では、連日フル稼働で除雪に対応する状況であったが、今月は落ち着いてきている。
 また、各企業が抱える工事現場では、除雪等の現場管理費が大幅に増加しているほか、手持ち工事が少なくなっている。

小売業の動向

衣料品

「卒業・入学シーズンに向けた動きに期待」

 売上高は前年同月比21.6%の増。3か月先の業況見通しDIは0.0から23.1となっている。
 コートなどの冬物に加え、春物などに動きが見られ、売上では、特定の企業がインターネット販売により大幅に伸びたことから、全体ではプラスに転じている。
 各企業では、大雪による客足が遠のいた影響があるものの、卒業・入学シーズンに向けて、マザースーツや学生服にも動きが出始めており、各企業では今後の動向に期待をよせている。

身回品

「大雪の影響が響く」

 売上高は前年同月比27.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲7.7から0.0となった。
 全般的に、大雪により客足が遠のいたことから売上額が前年同月比マイナス27.2%と大きな影響を及ぼしており、特に路面店ではその傾向が大きい。
 ホームセンターでは、除雪用具の突発的な需要はほぼ終了し、農作業器具などの季節商品に動きが出始めている。

飲食料品

「底堅く推移」

 売上高は前年同月比4.5%の減。3か月先の業況見通しDIは▲11.1から▲17.6となっている。
 全体的には堅調に推移している。先月、野菜などの青果物では、大雪や寒さや低温による生育の遅れなどの影響により価格高騰が見受けられたが、今月は徐々に落ち着いてきており、ほぼ平年並みの価格で推移している。

家電品

「薄型テレビが堅調に推移」

 売上高は前年同月比2.7%の減。3か月先の業況見通しDIは10.0から0.0となっている。
 地上波デジタル放送導入等により、「薄型テレビ」が堅調に推移している。各メーカーの製品が、購入しやすい価格設定となったことも購買意欲を押している一因となっている反面、値下げ競争が企業の利益を圧迫している傾向が見受けられる。
 今月は薄型テレビ以外に目立った動きは見られず、白物家電等も動きは鈍い。各企業では春の就職や進学に伴う需要に期待を寄せている。

サービス業の動向

旅館・ホテル

「大雪等の影響による影響が見受けられる」

 売上高は前年同月比15.0%の減。3か月先の業況見通しDIは、▲42.9から0.0となった。
 一部企業では、インターハイや冬祭りイベント等の影響で売上増が見られたものの、全体としては、大雪による交通機関等の乱れが連日全国的に報道されたことによる影響か、売上に伸びが見受けられ無い。各企業では、春の行楽シーズンに向け期待を寄せている。

その他サービス

「堅調に推移」

 売上高は前年同月比27.5%の増。3か月先の業況見通しDIは15.4から▲23.1となった。
 コンピューター関係では、特定の企業が大きく売上を伸ばしたことから前年同月比でプラスに転じているものの、その受注状況は安定していない。各社では、ソフト関連の受注に期待を寄せている。
 運送部門では、新規顧客を確保するなど概ね売上を確保しているものの、記録的な大雪の影響による輸送効率の低下や燃料価格の高騰などにより利益を圧迫している。

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