八郎湖の水域の中で最も水質が悪い

 西部承水路は、八郎湖を形成する3つの水域の一つ(位置図)で、南北22km、面積5.1km2、貯水量880万m3である。東側の大潟村と西側の既耕地のかんがい用水の貯水機能と西側からの排水や雨水の洪水調節機能を持つが、北の浜口機場、南の南部排水機場で他の水域と分断されて閉鎖性水域となっており、八郎湖の中で特に水質が悪い傾向にあった(図1の野石橋)。

図:位置図 グラフ:COD経年動向

 

一定水位で農業用水を供給

 西部承水路は、年間を通じて水位は一定(かんがい期:TP+35cm、非かんがい期:TP+25cm、これは干拓前の八郎潟の水位を元に設定)に管理されており、かんがい期は大潟村などの農業用水の取水量に応じて浜口と南部から注水されるが、8月以降は水稲の開花期以外では取水はなくなり水が停滞する。
 特に、代かき期の南部排水機場からの注水では、大潟村から排水される代かき濁水の影響を受けること、また8月以降はアオコの発生があることから、西部承水路のCODの年間動向では2回のピークとなって現れていた(図2)。

グラフ:COD年間動向

水の流動化促進を開始

 H12~14に、8月以降のピークを下げる目的で、非かんがい期に南部排水機場からの強制排水により西部承水路の水位を管理水位から50cm下げた後に、浜口機場から東部承水路の水を導水する「入れ替え試験」と、西部承水路の管理水位を保ったまま、南部排水機場から強制排水しながら浜口機場から導水する「流動化試験」を実施した。
この結果から、流動化手法で水質改善が図られることを確認し、H15から非かんがい期における西部承水路の水の流動化事業を開始した。