巻き貝による食中毒

2014年02月12日 | コンテンツ番号 1123

巻貝による食中毒

 食中毒というと、一般的には細菌やウィルスに起因するものが圧倒的に多いのですが、自然毒による中毒も忘れた頃に発生します。秋田県の場合、キノコ毒による食中毒は毎年みられますが、フグ毒によるものや二枚貝の貝毒によるもの等もあります。以前、由利本荘保健所管内で発生した食中毒は、ツブ貝に含まれるテトラミンという物質に起因するものでした。
 県内で「ツブ」の名称で食べられている巻き貝の中には、唾液腺中にテトラミンという神経性食中毒を起こす物質が含まれているものがあります。テトラミンを含む唾液腺を除去しないで食べると、30分ほどでものが二重にみえるなどの視覚異常やめまい、ふらつき等の酩酊感、吐き気、頭痛等の食中毒症状が現れることがあります。比較的速く代謝されるため、2,3時間で快復し、死亡例はありません。貝の種類によっては1個でも食中毒を起こすのに充分な量のテトラミンを含んでいることもあります。
 この種の貝をよく食べる地方では、この貝毒のことは良く知られており、唾液腺を除いて食べることが習慣化しているようです。しかし、唾液腺のみならず可食部にもテトラミンが存在するものもあり、時に食中毒になったりします。
 この度、中毒例となったヒメエゾボラ(醤油煮)を分析してみたところ、一個あたり24.3mgのテトラミンが含まれていました。10mg程度のテトラミンを摂取することで中毒を起こす可能性があると報告されていますので、1個の喫食で中毒症状がでたものと思われました。
 市場では、テトラミンを含む巻き貝(エゾボラやヒメエゾボラ等)も、含まない巻き貝(ツバイ等)もみな「ウミツブ」と称して売られています。エゾボラ、ヒメエゾボラおよびツバイを市場から買い求めてテトラミンを測定しました。
 ツバイにはテトラミンは含まれていませんでしたが、エゾボラ及びヒメエゾボラにはそれぞれ1個あたり1.1mg、17.3mg のテトラミンが含まれていました。ヒメエゾボラの場合、中毒症状が出てもよい量のテトラミンが含まれていることになりますが、中毒例をあまり聞くことがありません。生食する場合はともかくほとんどの場合、加熱してから食べるためテトラミンが可肉部、内臓及び煮汁に移行し、口に入るテトラミンの絶対量が減少するためかもしれません。1度に大量を喫食しないように注意する必要がありそうです。

写真:エゾボラ
エゾボラ
写真:ヒメエゾボラ
ヒメエゾボラ
写真:ツバイ
ツバイ