夏のウイルス

2016年02月29日 | コンテンツ番号 1120

 インフルエンザウイルスやノロウイルスなどの冬のウイルスは、なにかと報道されることが多いため良く知られています。季節が夏に向かうにつれ冬のウイルスの流行は徐々に下火になり、代わって夏のウイルスの流行が始まります。しかし、夏のウイルスについては流行規模がインフルエンザと双璧を成すくらい大きいのにあまり知られていないので今回解説したいと思います。

 夏に流行するウイルスのほとんどはエンテロウイルスと呼ばれる一連のグループで、症状は夏かぜのように軽いものから、髄膜炎を併発して重症化するものまでさまざまです。また、発疹症や感染性胃腸炎の原因にもなり、多種多様な疾患を引き起こすのが特徴といえます。エンテロウイルスには64種類の型が知られており、それぞれに起こし易い疾患があります。例えば子供の病気として知られている手足口病は、エンテロウイルス71型、コクサッキーウイルスA群16型、コクサッキーウイルスA群10型が主要な病原体です。平成14年に全国的に大流行した髄膜炎の原因はエコーウイルス13型でした。コクサッキーウイルスやエコーウイルスは名前が異なりますがエンテロウイルスに含まれます。同様にかつて小児麻痺として恐れられたポリオウイルスもエンテロウイルスの仲間です。

 感染様式は患者の咳やくしゃみによって吐き出される細かい唾液等の粒による飛沫感染が主ですが、ウイルスは糞便にも排泄されますから汚れた手指による経口感染による場合もあります。予防対策としては、飛沫感染の危険が高いのは患者から1m以内ですから、人ごみをさけ帰宅したらうがいをするのが効果的です。また、経口感染を防ぐために手洗いを十分行うことも大切です。もし感染しても、早めに医師の診察を受けるようにすれば、一般に予後は良好です。むしろ家族や学校などにそれ以上感染を広げないように注意する必要があります。