結核は現代の病気です

2016年12月26日 | コンテンツ番号 1119

 明治時代から昭和20年代までの永い間、「国民病」「亡国病」と恐れられた結核。50年前までは、年間死亡者数も10数万人に及び、死亡原因の第1位でした。医療や生活水準の向上により、薬を飲めば完治できる時代になりましたが、過去の病気と思っていたら大間違いです。今でも全国では1日に50人の新しい患者が発生し、5人が命を落としている日本の重大な感染症なのです。(結核の常識2016より)

 平成27年には全国で18,280人(人口10万対罹患率14.4)、秋田県で87人(罹患率8.5)の人が新たに結核を発病しています。また、全国で 1,956人、秋田県で7人が結核で命を落としているのです。

 結核は決して「過去」の病気ではなく、「結核はいまの病気」なのです。

結核は予防と確実な治療が大切です

結核はどんな病気?

 結核は、結核菌というとても小さな菌に感染することで起こる病気です。結核菌は、患者さんがせきやくしゃみをしたときに空中に飛び散り、周りの人がそれを吸い込むことで感染します(飛沫感染)。食べ物や食器などからうつることはありません。結核の90%は肺結核ですが、結核菌は肺以外の臓器もおかします。たとえば脊椎(せきつい)カリエス、結核性胸膜炎、腎結核など全身の様々な臓器に病巣ができることがあります。

感染しても発病するとは限りません

 結核に感染しても、普通は免疫の働きで発病を防ぎ、感染した人で一生のうちに発病するのは10人に1~2人程度といわれています。感染後すぐに発病することもあれば、何十年もじっと休眠状態で、体の抵抗力が衰えた時に発病することもあるのです。 また、痰の中に結核菌がでていない状態であれば、他者にうつす恐れはありません。ですから、結核患者だからといって必要以上に避ける必要はないのです。

結核はなぜ再び増えてしまったのでしょうか

①高齢者の結核再発による高い発病率
 むかし、結核に感染した人が高齢になり、からだの抵抗力が衰えたことや、その他の病気治療のための投薬などで免疫力が低下し、結核菌が眠りから覚めてふたたび結核を発病することが多くなってきています。糖尿病や人工透析、大きな手術などは結核を発病しやすい要因となります。
②結核に無防備な若年齢者
 今日のほとんどの若者は結核に感染していないため、いつでも他人に結核をうつされる危険にさらされています。結核菌を排菌する患者がでると、一度に多数の結核感染が発生する集団感染の危険性が高くなります。このことが最近の学校や職場などでの集団感染の発生に結びついています。

 若い人たちは
 ● 生活が不規則になってきている
 ● 偏った食生活の傾向がある
 ● 定期的な健康診断を受けていない
 ● 無理なダイエットで栄養のバランスがくずれている
  などの理由で発病しやすくなっていることがあげられます。

③結核への関心の薄れによる発見の遅れ
 結核の初期症状がでてもかぜと考えて放置したり、受診しても結核が見落とされたりして、診断までに時間がかかりその間に結核が発病してしまうことがあります。残念なことに診断が遅れて重症化し、周囲の人に感染させてしまい、集団感染へとつながった例も報告されています。

結核の初期症状は「かぜ」に似ています

  • せきやたんが続く
  • 微熱が続く
  • 体がだるくなる
  • 胸に痛みがある
  • 体重が減る
  • 血たんがでる

このような症状が2週間以上続くようでしたら受診しましょう。

結核の治療について

 感染したときは最後までしっかり治療を行うことが大切です。

①結核は短期治療で治癒できます。
 現在は結核に良く効く薬ができ、3~4種類の薬を6~9か月間服用することで、短期間で治すことができるようになりました。
②入院治療と外来治療
 結核菌を排菌している患者の場合は他人にうつす恐れがありますので、隔離のために入院治療が必要となります。また、治療方針を決めるためにも入院する場合があります。その期間は3か月程度です。排菌が止まり、他の人へ感染させる恐れがなくなれば、通勤、通学をしながら外来で治療を受けられます。
③途中で治療をやめるのは禁物!
 中途半端な治療が、治療困難な「多剤耐性結核菌」をつくります。
 良い薬があっても、確実に服用しなければ効果は期待できません。薬を飲むと症状が消えるために、勝手に服用をやめてしまう人がいます。これは大変危険で取り返しのつかないことになる可能性があります。完全に菌を殺す前に服薬を止めると、菌が薬に対して耐性* を持つようになります。もしも、耐性菌が集団感染した場合には、深刻な被害に結びつくことがわかっています。自分のためだけでなく、周囲の人のためにも治療は最後まで続けてください。

 *耐性: 菌が薬に対して強い性質をもつようになり、薬が効かなくなってしまうこと。

治療費の公費負担制度があります

 結核の治療を安心して続けていただくために、結核予防法により入院・外来を問わず、結核の治療費の一部が公費により負担されます。ただし公費負担を受けるための手続きが必要です。

どうすれば結核を防げるのでしょうか

①結核の予防はBCG接種で
 BCG接種は結核菌の感染を受ける前に、菌から体を守る力を強くして、感染しても結核になる可能性をさげ重症化を防ぐためのワクチンです。
②結核の早期発見のために
 かかさず年1回の定期的な検診を受けましょう。そして身近な人が結核にかかったら、すぐに検査を受けることが大切です(接触者検診)。
③感染や発病を防ぐには休養、栄養、運動がポイント
 規則正しい生活を心がけ、十分に睡眠をとり、バランスのよい食事をし、適度な運動をするようにしたいものです。

結核を正しく理解し、結核から身を守りましょう!

 

参考 1999.7.26 結核緊急事態宣言 厚生省(現厚生労働省)

 わが国では、およそ40年にわたり減少していた結核の新登録患者が、平成9年には42,715人と前年より43人増加し、人口10万人あたりの罹患率では33.9(前年42,472人)となり、その後も10年、11年と3年連続で上昇を続けました。平成12年には再び下降に転じたものの、高齢者における結核患者の増加や多剤耐性結核菌の問題など、気をゆるめられない状況となっています。このような背景のもとで厚生省(現厚生労働省)は「結核緊急事態宣言」を発表し、結核撲滅を目指した新たな対策を進めてきています。

  • 3月24日は「世界結核デー」です。
  • 9月24日~9月30日は「結核予防週間」です。結核の撲滅に協力しましょう!!

さらに詳しい、結核に関する知識や結核情報は、

※秋田県の結核年報結核月報をご覧ください。

結核研究所厚生労働省公益財団法人結核予防会のホームページをご覧ください。

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