「秋田県経済交流視察団」中国訪問を終えての所感

産業経済政策課長 佐藤 文男

  今回の訪問において、長春では52平方キロメートルにも及ぶ広大な「長春国家高新技術(ハイテク)産業開発区」で、指紋で個体識別するドアキー等を開発・製造する現地企業や、大連では本県のTDKをはじめとする多くの日本企業が進出している開発区のほか、市の東南部の観光開発の状況も視察し、その規模の大きさや高速道路なみの道路などの整備が集中的な投資の下に進められている状況を目の当たりにしました。また、旧満州帝国時代の日本の文化が現地に溶け込んでいるほか、目立った反日感情もない様子であり、好感を覚えて帰ってまいりました。
 私にとって、中国訪問は今回が3回目となりますが、1回目は1987年の深せんでした。そのころの中国はまだ市中の写真も自由に撮れないなどの規制が多く、視察した現地工場では女子工員が基盤に手作業で部品を装着するなど、経済開発特区であってもまだ工業化の初期の段階でした。
 2回目は昨年のことで、甘粛省の敦煌など、シルクロードを巡りましたが、省都である蘭州市は人口が多く、ビルも建ち並んではいるものの、人々の表情も穏やかで、中国的な生活の匂いを感じることができました。また、西安は、シルクロードの起点としての落ち着いた佇まいの古都で、三蔵法師に縁の仏閣や、兵馬俑などを多くの観光客が訪れていましたが、目覚ましい経済発展というにはほど遠い感じでした。
 しかし、北京や上海などの発展の状況はテレビ等で知っているものの現実感が伴っていなかった私にとって、今回の中国訪問は、対岸貿易が本県の発展にとって大きな可能性を秘めていることを確信させるものとなっております。
 秋田県は、中国東北地方と17年の交流の歴史がありますが、急速に経済発展を遂げている今こそ、本腰を入れて対岸諸国との経済交流を実のあるものにできるチャンスだと感じます。
 中国東北部と秋田県は地理的に近く、5万トン級の船舶が接岸できる秋田港をはじめ、能代、船川の両港は、環日本海の貿易港として整備されており、コンテナ数も着実に伸びています。
 また、東北自動車道から分岐した秋田自動車道が秋田市まで伸びているほか、日本海沿岸東北自動車道も能代から秋田を経由して由利本荘市岩城まで伸び、更に延伸工事が着々と進んでおりますので、本県には環日本海貿易における北東北の拠点としての十分な環境が備わってきております。
 また、昨年日本に代わって中国からの輸入が最も多くなったアメリカは、中国からの貨物を運ぶ際、日本海を北上して津軽海峡を通過した方が太平洋航路よりも2日早いということで、日本海航路を利用する船舶が急増しているようであり、近い将来、日本海が、対岸貿易のために秋田港を出入りする船や中国とアメリカを行き来する船舶で賑わう姿が想像され、心浮き立つ思いがいたします。そうなれば、秋田の港の賑わいが、県内の流通や製造業等にも変化をもたらし、本県経済の発展に繋がることは間違いありません。
 そのため、県としては、関係機関と協力して港のハード、ソフト両面の整備や高速道路の延長等の貿易のための環境整備を図りながら、太平洋側の港を使用している対岸諸国との貿易貨物について、本県の港を使ってもらえるよう、懸命に営業努力をしてまいりたいと考えております。
 産経部だより読者の皆様方からも、本県貿易の振興について、様々なアドバイスをいただければ幸いであります。
 以上が、産経部だより初登場であります私の現在の所感であります。最後までお読みいただきましてありまとうございました。今後とも、よろしくお願いいたします。

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