秋田県沿岸懇談会とは、「秋田沿岸海岸保全基本計画」を策定するにあたり各方面より広く意見を頂くために設置されたものであり、学識経験者、漁業関係者、自然保護団体、ユーザー等、14名の委員で構成されています。

懇談会は、計4回開催し、各回の検討項目は以下のとおりとなっています。

沿岸懇談会 検討内容 備考
第1回沿岸懇談会
  • 海岸保全基本計画内容について
  • 海岸保全基本計画策定スケジュール
  • 海岸特性の把握、問題点・課題の整理
平成13年12月17日開催
第2回沿岸懇談会
  • 沿岸のゾーニング
  • 海岸保全の長期的在り方・整備目標
  • 防護・環境・利用(管理)に関する施策
平成14年2月4日開催
第3回沿岸懇談会
  • 海岸保全施設の整備区域
  • 海岸保全施設の種類,規模および配置
  • 海岸保全基本計画(素案)
平成14年3月7日開催
第4回沿岸懇談会
  • 受益地域およびその状況
  • 海岸保全基本計画(案)
平成15年3月10日開催

第1回秋田県沿岸懇談会検討内容

第1回秋田県沿岸懇談会の概要をご紹介します。

秋田沿岸の現況

防護

漂砂
  • 砂浜部は全体的に侵食されており、侵食対策として消波ブロック等が整備されている。
  • 離岸堤の整備箇所では、局所的に浜幅が広大になり、近年は飛砂が問題となっている。
  • 大型の海岸構造物周辺の海岸では、局所的に明瞭な侵食・堆積が見られている。
  • 砂浜海岸に存在する漁港では、航路埋没が問題となっている。
越波
  • 海岸侵食で消波施設としての砂浜の機能が低下し、越波の潜在的危険性が増加している。
  • 侵食対策によって砂浜幅が局所的に回復し、越波による被害は減少している。
地震
  • 過去に多くの津波による被害を受けており、特に日本海中部地震は記憶に新しい。
  • 過去の津波被災箇所には、津波対策が整備されている。
  • 秋田沿岸沖には、地震の空白域と呼ばれる潜在的に地震(津波)の危険度高い区域がある。
飛砂
  • 海岸に沿った長大な砂丘から分かるように飛砂に対する危険性は非常に大きい。
  • 砂丘には、保安林(飛砂防備林)が整備され、非常に重要な防災施設となっている。
  • 近年、保安林が虫害により伐採が進んでおり、保安林の面積が減少している。

環境

海岸景観
  • 南部・北部・中央部(男鹿半島)の岩礁部は、奇岩怪岩が連なる壮大な景観となっている。
  • 長大な弓形の砂浜は、緑の保安林に縁取られた白砂青松の美しい海岸景観を形成している。
自然環境
  • 八森岩館県立自然公園・男鹿国定公園・鳥海国定公園があり、貴重な自然環境となっている。
  • 砂浜背後には、広大な保安林があり、環境的にも貴重な空間となっている。
海域生物
  • 岩礁海岸ほぼ全域に、藻場が分布し、海域生物の貴重な産卵場・育成場になっている。
  • 砂浜部・および河川の河口部は水生生物の貴重な生息環境となっている。
海岸ゴミ
  • 海岸への漂着ゴミおよび河川からの流出したゴミが問題となっている。

利用

レクリエーション
  • 砂浜部では、主に海水浴による利用がされている。県外からの客も多い。
  • 近年、サーフィン等の海洋性スポーツによる利用が多くなっている。
  • 岩礁部には、豊かな自然環境・景観資源を生かした観光拠点が整備されている。
  • 本荘港・秋田港・船川港には、マリーナが整備され、海洋性レジャーの拠点となっている。
湾岸
  • 重要港湾が3つ,地方港湾が2つあり、特に重要港湾は物流拠点として利用されている。
漁港
  • 1種14漁港、2種6漁港、3種1漁港、4種1漁港計22漁港が整備されている。
  • 漁業就労者の高齢化が進み、漁獲量は低水準にとどまっているが、魚礁を投入するなど、資源管理型漁業に積極的に取り組んでいる。

秋田沿岸の問題点・課題・要請

防護

漂砂
  • 海岸構造物周りの局所的侵食・堆積問題
  • 全体的な侵食問題
越波
  • 砂浜幅の減少により越波被害の可能性増大題
  • 天端高不足
地震
  • 津波に対する防災意識が低下している。
  • 地震の空白域等、津波災害の潜在的危険性が高い。
  • 海岸部砂質層の液状化の危険性が高い。
飛砂
  • 虫害(松食い虫)による保安林(飛砂防備林)の機能低下
  • 過剰堆砂箇所からの飛砂の増大

環境

海岸景観
  • 岩礁部の海岸景観の保全
  • 砂浜部の白砂青松の景観の保全
自然環境
  • 岩礁部海岸が国定公園・県立自然公園にそれぞれ指定され保全が必要
  • 特定植物群落が全域に分布し保全が必要
海域生物
  • 岩礁部の藻場が漁業資源・自然環境の両面から重要
海岸ゴミ
  • 漂着ゴミが多い。
  • 河川からのゴミの流出
  • ボランティアを含むゴミの処理体制の不足

利用

レクリエーション
  • 海岸全域に海水浴場が分布し利便施設の維持更新が必要
  • 県外利用客が多い。
  • 岩礁部に自然海岸・景観を生かした観光施設が整備済であり、維持更新が必要
  • サーフィン等の海洋性レクリエーション利用の増大
港湾
  • 物流拠点としての港湾機能確保
  • 大型海岸保全施設として周囲海岸への影響大
漁港
  • 資源管理型漁業の推進
  • 大型海岸保全施設として周囲海岸への影響大

第2回秋田県沿岸懇談会検討内容

第2回秋田沿岸懇談会の概要をご紹介します。

開催日

平成14年2月4日開催

主な議題

  • 沿岸のゾーニング
  • 海岸保全の長期的在り方・整備目標
  • 防護・環境・利用(管理)に関する施策

概要

秋田沿岸のゾーニングと、現況から抽出された要請・課題について審議した。

その課題に対して検討された秋田沿岸の海岸保全の基本方針及び防護・環境・利用に関する各施策について審議した。

主な意見(要約)

  • ごみ問題について、資金面でも行政側から支援するよう連携はできないか。
  • ごみ問題について,公的機関で役割分担をはっきりしてほしい。
  • 津波対策・地震対策を隣県も含めて考えて検討してほしい。
  • 県境のゾーニングで、隣県はどのようなゾーニングの施策をしているか、確認、調整してほしい。
  • 自然海岸について、今後は自然のままを大事にする方針を盛り込んでほしい。
  • 海上事故の場合などの防災対策等についてもっと広報が必要である。
  • ホームページの存在を、もっとアピールする必要がある。
  • 「秋田沿岸における海岸保全の方向(案)」は一番重要なので秋田の特徴を踏まえ、しっかりまとめてほしい。

第3回秋田県沿岸懇談会検討内容

第3回秋田沿岸懇談会の概要をご紹介します。

開催日

平成14年3月7日開催

主な議題

  • 海岸保全施設の整備区域
  • 海岸保全施設の種類,規模および配置
  • 海岸保全基本計画(素案)

概要

秋田沿岸の海岸保全の基本方針及び整備方針について整理を行い、海岸保全施設の種類、規模および配置を具体的に各ゾーンの中でどう展開していくかを審議した。

今後の海岸保全のあり方を検討した上で海岸保全基本計画(素案)策定の審議を行った。

主な意見(要約)

  • 防災の観点からみて、ある地域だけの対策を打ち出さず、全域共通の項目として行ってほしい。
  • 消波工のテトラポットから、今後は選定や人工リーフなど自然環境・景観に配慮した工法に撤去・転用してほしい。
  • もっと海への関心をもつことや、歴史的な背景を大事にする施策を考えてほしい。
  • 自然状態を崩さないような姿勢は大事である。
  • 各ゾーンの特性に関する情報(動植物や観光など)は適切なものなのかは疑問な部分もある。
  • 秋田県の海岸は、米代川、雄物川、子吉川の3つの大きな河川の影響があるため、この特徴を活かした施策を考慮してほしい。

第4回秋田県沿岸懇談会検討内容

第4回秋田沿岸懇談会の概要をご紹介します。

開催日

平成15年3月10日開催

主な議題

  • 地域住民懇話会の報告
  • 受益地域およびその状況
  • 海岸保全基本計画(案)

概要

能代,男鹿,秋田,本荘の4地区で開催された地域住民懇話会で出された意見を踏まえ、より完成度を高めた海岸保全基本計画(素案)を提示し,最終的な取りまとめの方向まで含めて審議した。

秋田沿岸海岸保全基本計画(素案)について承認を得た(懇談会で指摘された修正結果は委員長一任)。

主な意見(要約)

  • 計画書の表現は、誰もが理解し易い表現を用いるよう配慮し、イラストや写真も有効に活用すべき。
  • 海岸防護はまだまだ不足。越波などの被害状況も十分把握されていない面がある。
  • 車両乗り入れの規制を実施するならば、二輪車も対称とするのかなど、より明確な規則が必要。
  • 景観や利便性のみでなく、生産の場としての観点も重要。
  • 他の事業との連携については、より具体的に強調して記述するほうがよい。