今議会におきましては、当初予算案及びその他の案件についてご審議をお願いするものでありますが、提出議案の説明に先立ち、所信の一端を申し述べます。

温室効果ガス削減に向けた、京都議定書に代わる新たな国際枠組み「パリ協定」の採択や、環太平洋地域において巨大な経済圏を創出するTPP協定への全参加国の署名など、我が国を取り巻く世界の潮流は、日々刻々と変化し続けております。

このような中で、我が国では、経済最優先で政権運営に当たる安倍総理の打ち出した経済政策「アベノミクス」を通じて、有効求人倍率の上昇や賃金の引き上げが進むなど、都市部だけではなく、地方圏においても、緩やかに景気が回復してきておりますが、これまで力強い成長で世界経済を牽引してきた中国をはじめとする新興国における景気の下振れや、原油価格の下落に伴う金融市場の動揺、我が国における急激な円高など、国内外で経済情勢が揺れ動いており、今後の動向を注視していく必要があると考えております。

こうした状況の中、先般成立した国の補正予算には、TPP協定の発効を見据え、農地集積や農林水産物の国際競争力強化など、我が国の農林水産業を攻めの姿勢に転換させるための体質強化対策のほか、各地域における地方創生の取組の本格展開を後押しするための地方創生加速化交付金などが盛り込まれたところであります。

世界のGDPの約4割を占める、かつてない規模の経済圏をカバーするTPPについては、「アベノミクス」の成長戦略の切り札と位置づけられ、人口8億人に及ぶ巨大な市場に日本産品を売り込み、海外の活力を日本の成長に取り込む好機とされておりますが、このチャンスを確かなものにするためには、政府において、昨年11月に決定した「総合的なTPP関連政策大綱」に掲げる施策を着実に実施していくことが求められます。

県では、「農政改革対応プラン」に基づき、地域の農業を牽引する力強い経営体を育成するとともに、米依存からの脱却を目指し、複合型生産構造への転換など、農業経営の基盤強化を推進してきたところであり、えだまめなどの戦略作目の生産拡大や秋田牛のブランド化が着実に進展してきているほか、本県が先駆的に進めてきた「園芸メガ団地」は、国においても同様の仕組みで事業化されることになっております。

今後、「農業対策県民会議」を通じて、生産者や流通業者、有識者などのご意見を伺った上で、今年度中に県の対策大綱を取りまとめ、本県の基幹産業である農業の競争力強化に向けた構造改革をより一層促進するとともに、秋田牛や米、日本酒、加工食品などの幅広い秋田の産品の輸出に積極的に取り組むほか、TPP協定発効の影響を緩和するための経営安定対策を進めるなど、攻めと守りの両面から関係施策を推進してまいります。

また、国では、国家的課題である人口減少問題の克服に向け、引き続き、地方創生の推進に取り組むことにしており、地方創生加速化交付金に加え、新年度予算案においても、いわゆる「新型交付金」を盛り込むなど、各地域が、自らの地域の未来を自らの創意工夫で切り開くための意欲的なチャレンジについて、「地方創生交付金」等により支援する姿勢を打ち出しております。

県では、昨年10月、県民や県内企業による、秋田の創生のための意欲的・継続的なチャレンジを支援する攻めの施策を多数盛り込んだ「あきた未来総合戦略」を策定したところでありますが、私は、県のあらゆる施策は、県民の皆様との確かな信頼関係があって初めて進むものと考えており、こうしたことから、今年の一文字として、信頼の「信」の字を選びました。

来年度は知事2期目の総仕上げの年であり、県民の皆様との信頼関係に立脚した上で、より良い未来、より良い秋田を築き上げるため、あらゆる可能性を信じ、秋田の創生に向けて、全力で挑戦し続けてまいります。

次に、平成28年度の重点施策について申し上げます。

はじめに、「あきた未来総合戦略」の推進についてでありますが、来年度は特に、地域活性化や人口減少の克服の観点から、「あきた未来総合戦略」の4つの基本目標の実現に向け、戦略に掲げた攻めの施策を強力に展開してまいります。

第一の基本目標である「産業振興による仕事づくり」については、新たな産業を興し、働く場を生み出していくことが、地方創生の最大のテーマであることから、輸送機関連産業等の成長が見込まれる分野における産業基盤の整備や、本社機能の移転を積極的に促進し、多様で安定的な雇用の創出を図るほか、農林水産業の成長産業化に向けた取組や、総合戦略産業としての観光を推進してまいります。

県では、グローバル化が進む世界において、国際的な社会経済情勢の変動を見極めつつ、冷静な現状分析を行いながら、本県産業の育成に取り組んできたところであり、航空機産業において、県内企業がメッキ後の研磨加工で国内初となる国際認証を取得するなど、受注拡大に向けた取組が進められているほか、風力発電では、日本一の発電導入量を目指した洋上風力発電事業の具体化に加え、風車メンテナンスの国内拠点化を視野に入れ、人材育成に取り組む動きが出始めるなど、その成果が現れつつあります。

「地域産業の競争力強化」として、こうした航空機産業等の世界的に需要の増大が見込まれる分野への新たな事業展開など、本県のポテンシャルを最大限生かした取組を進めるため、新たな工程の導入によるサプライチェーンの構築を目指し、国際的な認証の取得や設備投資、企業間連携による共同受注等にチャレンジする事業者を積極的にバックアップすることにより、さらなる受注拡大に結び付けてまいります。

また、新エネルギー産業の大規模展開に向け、現在、策定を進めている「第2期新エネルギー産業戦略」に基づき、再生可能エネルギーの導入拡大、関連産業への県内企業の参入促進、水素エネルギーに関する取組の推進の3つを柱とする関連施策の充実を図り、国内最大級の新エネルギー供給基地の形成と合わせて、風車メンテナンス等の関連産業の集積を目指してまいります。

新たな技術やデバイスの登場により、急速にグローバル化が進む情報関連産業については、昨年誘致した高度な技術を持つICT企業を核としながら、県内企業による高い技術分野への展開や商品開発を支援するとともに、ものづくりとIoTとの融合による高付加価値産業の創出などにより、県内製造業等の次世代型産業への転換を進めてまいります。

また、こうした成長分野の発展のためには、高度な専門技術を有する人材が不可欠であることから、工業系高校において、民間企業と連携しながら、航空機産業やICT等の新たな分野に対応した専門教育を充実させるとともに、大学等が持つ知的・人的資源を活用した人材育成を進めるほか、秋田県プロフェッショナル人材戦略拠点において、新事業への積極的な挑戦や販路開拓などの「攻めの経営」を支える人材確保を支援し、県内企業の成長を後押ししてまいります。

「農林水産業の成長産業化の促進」については、県外からの移住者も含め、新規就農者を支援することにより、次代の担い手を確保・育成していくとともに、園芸振興をリードする「園芸メガ団地」に加え、ネットワークタイプなどの新たな園芸拠点の整備を推進し、複合型生産構造への転換を加速させてまいります。

また、厳しさを増す国内外での産地間競争に打ち勝ち、秋田の農林水産物を強くアピールするための総合的なプロモーション活動の展開に加え、マーケットインの視点による販路開拓など、流通販売対策を強化してまいります。

日本一のスギ資源の活用に向けては、県産材を優先して利用する「ウッドファーストあきた」を推進し、需要喚起による生産拡大や林業雇用の増大を図るほか、新たな建築資材として全国的にも注目が高まりつつあるCLTについて、県内企業による加工・製品化に向けた取組を支援するとともに、県施設での積極的な活用を進めてまいりたいと考えております。

さらに、今月設立された官民協働の協議会を推進母体として、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会」のメインスタジアムとなる新国立競技場や民間の宿泊施設等への県産材の利用を積極的に働きかけ、県産材のブランド力向上を図ってまいります。

「観光を中心とした交流人口の拡大」については、今年3月の北海道新幹線開業など、本県の観光を取り巻く環境が大きく変化することが見込まれますが、そのような中でも、来年4月から6月にかけてのJR東日本の重点販売地域の指定を契機として、テーマやターゲットを絞り込んだ観光キャンペーンを集中的に展開するなど、県外からの誘客を促進してまいります。

また、訪日外国人観光客が3年連続で過去最高を更新し、飛躍的に増加している中、年3兆円を超える外国人観光客の旺盛な消費を秋田にも取り込むため、東アジアを中心とする海外からの誘客プロモーションを強化するとともに、新たに「あきた旅のサポートセンター(仮称)」を設置し、外国人観光客のほか、障害者や高齢者の方々など、誰もが安心して本県を旅行できるよう、きめ細かに情報提供を行い、「みんなにやさしい観光あきたづくり」を推進してまいります。

加えて、秋田ならではの文化資源を活用した各種イベントや大規模スポーツ大会を開催するほか、東京オリンピックなど、今後我が国で開催される国際大会を見据え、海外ナショナルチームの事前合宿誘致活動を推進するとともに、秋田ノーザンハピネッツの国内最高峰リーグへの参入をバックアップするなど、文化やスポーツによる地域活性化を進めてまいります。

第二の基本目標である「移住・定住対策」については、本県の人口減少の大きな要因となっている社会減の解消に向け、充実した教育・子育て環境等の本県ならではの魅力を、他の地域との差別化を図りながら戦略的にPRし、首都圏等からの移住者をさらに増加させるほか、県内企業に就職する新卒者等の奨学金返還額を助成する制度を創設し、若者の県内定着を促進してまいります。

第三の基本目標である「少子化対策」については、現時点でも全国トップクラスの保育料や医療費に対する助成制度のさらなる充実に加え、住宅リフォーム推進事業への子育て世帯特別枠の新設、多子世帯向け奨学金制度の創設等により、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るとともに、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援を行う「子育て世代包括支援センター」の設置を促進し、安心して子どもを産み育てられる環境を整備してまいります。

第四の基本目標である「新たな地域社会の形成」については、人口減少下にあっても、地域コミュニティの維持・活性化を図り、人々が住み慣れた地域で、心豊かに安心して生活できる社会をつくり上げるため、自治体同士の連携を強化し、行政サービスの提供体制を確保するとともに、若者や女性、高齢者などの地域を支える担い手を育成し、その多様な活動を支援してまいります。

次に、「県民の生活を支える基盤づくりの推進」についてであります。

「元気な長寿社会の実現」については、地域における病床機能の分化・連携を促進するため、地域医療構想を策定し、将来を見据えながら、安全で質の高い医療提供体制の構築に取り組むとともに、がんや生活習慣病の予防など、県民一人ひとりの健康寿命延伸に向けた総合的な健康づくりのほか、新たな認知症疾患医療センターの設置を進め、生涯にわたって安心して暮らせる地域づくりを推進してまいります。

「未来を担う人づくりの推進」については、本県独自の取組である30人程度学級を小学校6年生まで拡充し、小中学校の全学年を対象に展開するほか、世界に通用する英語コミュニケーション能力や、国際的な視野、幅広い教養、問題解決力等を身に付けたグローバル人材など、秋田の将来を担う人材を育成するとともに、子どもの未来が生まれ育った環境に左右されることのない社会の実現に向け、教育委員会や市町村との連携を強化しながら、貧困の状態にある子どもへの支援を充実してまいります。

秋田市との協働による整備を検討している県・市連携文化施設については、文化団体の活動拠点としても、質の高い芸術鑑賞の場としても、本県の文化振興の中核を担う重要な施設になるものと考えており、昨年9月に現県民会館所在地を建設候補地としてお示しし、これまで様々なご意見をいただいてきたところでありますが、今年度中に整備方針を取りまとめるとともに、来年度は、測量調査等を行いながら、方針の内容をより具体化した整備計画を策定し、整備に向けた準備を着実に進めてまいります。

また、国内外に「動物にやさしい秋田」を発信する拠点として、「動物愛護センター(仮称)」の整備を進めるとともに、動物の適正飼養に関する啓発を推進するなど、「殺処分ゼロ」に向けて粘り強く取り組み、人と動物が調和しつつ共生する社会をつくり上げてまいります。

来年度から、秋田の創生に向けた取組がいよいよ本格始動することになりますが、すべての県民が「高質な田舎」秋田で生き生きと暮らせる社会の実現に向け、重点施策を中心に、腰を据えてじっくり取り組み、着実に成果を積み重ね、元気な秋田を創造してまいります。

次に、「あきた公共施設等総合管理計画」について申し上げます。

県では、県有公共施設等について、中長期的な視点から、総合的かつ計画的な維持管理を行っていくため、今議会でのご議論を踏まえた上で、今年度中に「あきた公共施設等総合管理計画」を策定し、来年度以降は、個別施設ごとの具体的な計画づくりを進めるとともに、県有公共施設等の経済的かつ効率的な維持管理に向けて、民間への譲渡等による施設の統廃合や、県民生活の基盤となるインフラの長寿命化等に取り組んでまいります。

次に、平成28年度当初予算案について説明申し上げます。

新年度予算案においては、3年目を迎える「第2期ふるさと秋田元気創造プラン」の考え方を基本に据えつつ、「あきた未来総合戦略」に基づく施策・事業を中心として、秋田の未来を切り開くための取組を着実に推進することにしており、プライマリーバランスの黒字を確保するなど、厳しい財政状況にあっても財政規律を維持しつつ、元気な秋田を創造していくために必要な予算を編成いたしました。

以下、当初予算案の主なものについて申し上げます。

はじめに、「あきた未来総合戦略」の推進についてであります。

「産業振興による仕事づくり」については、TPP協定発効を視野に、農林水産業のみならず、製造業や観光業なども含め、県内産業の競争力を強化する必要があることから、「地域産業の競争力強化」に向け、自動車、航空機、ICT、新エネルギーなど、今後の成長が見込まれる産業分野での新たな事業展開や拠点形成に向けた設備投資に対し、重点的に支援するとともに、新たな技術・サービスによる商品の高付加価値化や、海外展開による販路開拓に積極的に挑戦する県内企業を育成してまいります。

また、日本一のエネルギー供給県を目指し、秋田港や能代港における洋上風力発電の早期事業化の実現に向け、発電設備を整備する際に拠点となる港湾施設の機能強化を進めるとともに、秋田湾産業新拠点への石炭火力発電所の建設計画については、先般、経済産業省と環境省が、電力業界による温室効果ガス排出削減のための温暖化対策強化を条件に、石炭火力発電所の新設計画を容認することで合意したことから、引き続き、発電所建設に向けた取組を展開してまいります。

「農林水産業の成長産業化の促進」については、TPPにより今後激化することが見込まれる国内外との産地間競争に打ち勝つため、「園芸メガ団地」の整備に加え、複数団地のネットワーク化など、新たなタイプの園芸拠点の整備を推進し、収益性の高い複合型生産構造への転換を加速させるとともに、マーケットインの視点をより重視し、秋田牛やえだまめをはじめとする県産農林水産物のブランド化や高付加価値化、認知度向上を図り、国内外への売り込みを強化してまいります。

また、本県の栽培漁業推進の拠点となる水産振興センターについて、国の交付金を有効活用しながら、来年度から計画的に整備を進めるとともに、県産材の需要拡大を図るため、県産材を使用した住宅の建築等に対し助成するほか、県有林や県内の木材加工施設での森林認証の取得を進め、新国立競技場等における県産材の利用を働きかけてまいります。

また、次代の本県農林水産業を担う人材を確保・育成するため、県外からの新規就農者に対する、ハード・ソフト両面からの新たな支援や、新規漁業就業者による漁船導入への助成を行うとともに、新たに高校生向け林業体験研修を実施するほか、開講2年目となる秋田林業大学校において、林業事業体等との連携による実践的な研修を行ってまいります。

「観光を中心とした交流人口の拡大」については、JR東日本との連携により、最新鋭のディーゼルハイブリッド車両の導入が予定されている五能線の開業80周年記念イベント等を開催するとともに、本県で行われるコンベンションにおいて、豊かな自然や食文化、祭りに代表される伝統文化など、本県が誇る観光資源を披露する取組を支援することにより、参加者の再訪につなげ、新たな観光需要を開拓してまいります。

インバウンド対策については、台湾や韓国、タイなどの重点市場からの誘客プロモーションや、台湾からのチャーター便の安定的な運航に向けた取組等を強化するとともに、今年7月に本県で初めての公的国際会議として開催される「日ASEAN次官級交通政策会合」を通じて、秋田の国際的な認知度向上を図ってまいります。

また、百貨店等との連携による県産品のブラッシュアップや高品質化に取り組み、県産品の新たな顧客獲得を図るとともに、鳥取県との共催による「海の幸フェスティバル」など、他県とタイアップしながら食のイベントを展開し、秋田の食を効果的にPRしてまいります。

加えて、本県の伝統芸能が一堂に会する「新・秋田の行事」や「第1回石(いし)井(い)漠(ばく)・土(ひじ)方(かた)巽(たつみ)記念国際ダンスフェスティバル」、さらには「日本スポーツマスターズ2016秋田大会」等の大規模なイベントを開催するほか、市町村や関係団体等と連携し、タイやインドネシア、フィジーなどの海外ナショナルチームの事前合宿誘致活動を強力に展開するとともに、秋田ノーザンハピネッツの国内最高峰リーグへの参入に伴うホームアリーナ整備を支援してまいります。

また、大型クルーズ船について、関係機関と連携して積極的に誘致するほか、奥羽・羽越両新幹線のフル規格による整備という、将来の秋田の発展につながる大きな夢の実現に向け、「早期整備期成同盟会(仮称)」を設立するとともに、シンポジウム等を開催し、整備促進に向けた機運を醸成してまいります。

「移住・定住対策」については、首都圏等からの移住をさらに促進するため、充実した教育・子育て環境や都会にはない真の豊かさが実感できる暮らしなど、他の地域にはない、オンリーワンの本県の魅力を戦略的に発信するとともに、冬の秋田暮らしに必要な暖房器具等の購入費用に加え、新たに引っ越し費用についても助成するほか、不動産業者等との連携により、県内で利用可能な空き家情報の公開を進めてまいります。

また、本県の地域資源を活用した起業に取り組む移住希望者を支援する、いわゆる「ドチャベン事業」を展開するほか、移住者を身近でサポートする定住サポーター等を養成し、移住者のニーズやライフスタイルにきめ細かに対応するとともに、県内企業に就職する新卒者等の奨学金返還額を助成し、移住者や若者の県内定着を促進してまいります。

「少子化対策」については、医療費助成を中学生まで拡充するとともに、新たに第3子以降が生まれた世帯に対し、第2子以降の保育料を全国で初めて無償化するほか、3人以上の子どもがいる世帯に対し、所得に関係なく、無利子で奨学金を貸与するなど、第3子以降を産み育てやすい環境を整備してまいります。

また、現在実施している住宅リフォーム推進事業において、子育て世帯特別枠を新設し、補助率の嵩上げや限度額の引き上げを行うとともに、「子育て世代包括支援センター」に配置する子育て支援員の養成を進めてまいります。

「新たな地域社会の形成」については、地域の実情に応じた支え合い体制の構築を進めるためのモデル事業を実施するとともに、市町村による生活インフラの共同維持管理に向けた研究を行うほか、若者や女性が個性と能力を生かしながら、地域や職場で活躍できる環境を整備し、人口減少社会における持続可能な地域づくりを推進してまいります。

県市町村未来づくり協働プログラムに基づく事業としては、新たに、花火ブランドを活用した産業の創出を掲げる大仙市のほか、マンガと増田の町並みによる交流人口の拡大を目指す横手市、地域特産品であるしいたけを活用した産業振興や地域づくりに取り組む八峰町の3プロジェクトに着手し、合計10プロジェクトを進めてまいります。

次に、「県民の生活を支える基盤づくりの推進」についてであります。

「元気な長寿社会の実現」に向けて、市町村が実施しているがん検診に対する助成を拡充し、胃がん検診については、対象年齢を拡大するとともに、新たに、大腸がん・肺がん・乳がんの検診費用への助成を行うほか、認知症の方や家族が住み慣れた地域で安心して生活を送れるよう、新たに3つの認知症疾患医療センターを設置いたします。

また、脳・循環器疾患の包括的な医療提供体制の構築に向けた脳血管研究センターの増改築工事や、今年10月からの供用開始を予定している「聴覚障害者支援センター(仮称)」の開設準備を着実に進めるとともに、能代厚生医療センター及び由利組合総合病院による、施設の長寿命化を図るための改修を支援してまいります。

さらに、平成29年度に本県で開催される「第30回全国健康福祉祭(ねんりんピック)秋田大会」について、節目イベントの開催や広報活動等を通じて開催機運を高めるとともに、選手と観客を合わせて約40万人の参加が見込まれる大会の運営に万全を期すため、着実に準備を進めてまいります。

「未来を担う人づくりの推進」については、少人数学級を義務教育の全学年において展開し、質の高い教育を行うとともに、スーパーグローバルハイスクールに指定されている秋田南高等学校において、グローバルリーダーを育成するほか、貧困の状態にある子どもを支援する体制の構築に向けて、全県単位での実態の把握や支援ニーズの調査・分析等を行ってまいります。

良好な学びの場づくりに向けては、大曲農業高等学校や秋田地区中高一貫教育校等の整備を進めるほか、新たに、比内支援学校の改築に着手してまいります。

「県民の安全・安心の確保と生活環境の整備」については、土砂災害警戒区域等の指定や、白神認定ガイド制度の創設に向けた検討を進めるほか、新たに、八郎湖内の西部承水路において、高濃度酸素水による湖内浄化対策を実施するとともに、山梨県からのクニマスの受け入れに備えて、水産振興センター内水面試験池に飼育施設を整備してまいります。

また、北秋田警察署や横手警察署の改築を着実に進めるとともに、近年の治安情勢や社会情勢の変化に的確に対応するため、有識者会議を設置し、県警察の機能強化に向けた検討を行ってまいります。

このほか、「動物愛護センター(仮称)」については、「動物にやさしい秋田」ならではの施設となるよう、CLTの活用も視野に入れつつ、平成31年度の開設を目指して整備に着手してまいります。

公共事業については、鷹巣西道路など、県土の骨格を形成する道路ネットワークの整備を促進するとともに、防災・減災対策やインフラの長寿命化等を計画的に推進していくため、平成27年度当初予算を上回る736億円の事業費を確保し、平成27年度1月補正予算を含めた実質事業費ベースでは、前年度対比、101億円、13・2パーセント増の858億円としております。

以上、平成28年度当初予算案の主なものについて説明いたしました。

一般会計予算案の総額は、6、005億2、500万円であり、前年度当初予算と比較いたしますと、9億500万円の減となっておりますが、今後、公共事業以外の国の平成27年度補正予算にかかる補正予算を追加提案する予定としており、特に、秋田の創生に向けた取組については、国の地方創生加速化交付金を活用しながら、当初予算と合わせて強力に展開してまいります。

次に、平成27年度2月補正予算案について申し上げます。

新たに「国民健康保険財政安定化基金」を設置するほか、決算見込み等に伴う補正を行うとともに、前年度決算剰余金の2分の1相当額を財政調整基金に積み立てることにしております。

一般会計補正額は、66億6、631万円の減額であり、これにより平成27年度予算の補正後の総額は、6、174億7、650万円となります。

次に、単行議案の主なものについて申し上げます。

「秋田県教育委員会教育長の任命について」は、任期満了に伴う教育長の任命について、議会の同意をお願いしようとするものであります。

「秋田県国民健康保険財政安定化基金条例案」は、平成30年度から県が国民健康保険事業の財政運営を担うことに伴い、安定的な事業運営を行うための基金を設置しようとするものであります。

「秋田県奨学金返還支援基金条例案」は、県内企業に就職する新卒者等の奨学金返還額を助成し、秋田の将来を担う人材を確保するため、基金を設置しようとするものであります。

以上、提出議案の概要について申し上げました。よろしくご審議の上、ご可決賜りますようお願い申し上げます。

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