産業経済政策課 平成17年5月31日

概況

 県内経済は、業種間・企業間のばらつきが見られるが、総じて横ばいで推移している。

  • 製造業:主力の電気機械においてコンデンサー類等の在庫調
    整の影響が残るものの、鉄鋼・金属製品などで好調
    に推移している。
  • 建設業:厳しい状況が続いているが、年度初めの公共事業や民間受注により受注金額は増加した。
  • 小売業:飲食料品・家電品が堅調。
  • サービス業:コンピューター関連が好調である。

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲7.4から0.9、現在の資金繰りは▲11.0から▲7.3、3か月先の業況見通しは▲5.7から▲5.6とすべてのDI値が改善する傾向を示している。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.1%減、同10.3%減。3か月先の業況見通しDIは▲5.6から▲2.1となった。製造業全体では生産額は3ヶ月連続の減少となっており、主力の電気機械においては引き続き在庫調整の影響が残っている。在庫が増加傾向となっている木材・木製品では先月に引き続き生産調整を行っており先行きに不透明感が見られるほか、食料品、繊維衣類でも厳しい状況が続いている。

一方、鉄鋼・金属製品や一般機械では、原材料の高止まりの懸念材料が残るものの、自動車関連を中心として好調に推移している。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比0.9%増、同29.3%減。3か月先の業況見通しDIは3.3から▲17.2と悪化している。これは、年度初めの公共事業や民間工事を受注し、単月の受注額では前年を上回った結果であるが、近年の公共事業の減少や市町村合併に伴う広域化が受注機会に与える影響などの先行きに不透明感が見受けられる。

小売業では、売上高は1.4%の増で6ヶ月振りに前年同月比を上回った。また、3か月先の業況見通しDIは▲17.6から▲5.6と改善傾向を示しているほか飲食料品・家電品がプラスに転じており、今後の動向を注意深く観察する必要がある。

サービス業では、売上高は前年同月比11.6%増。3か月先の業況見通しDIは4.0から▲11.5となった。旅館・ホテルでは、花見時期がゴールデンウィークにずれ込んだことや婚礼部門が好調な兆しを見せたことから9ヶ月振りにプラスに転じている。

また、コンピュータ関連では、市町村合併に伴う受注により引き続き好調を維持していると共に、個人輸送や運送部門では、燃料の高止まりや単価の引き下げにより収益が圧迫されているものの、稼働率が高い状況が続いている。

製造業の動向

1 食料品「酒造が低迷」

生産額は前年同月比9.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲21.1から▲25.0となった。

酒造では、焼酎ブームなどによる日本酒離れの傾向が続くと共に生産量の減となっており、一部の企業では工場閉鎖の動きも見受けられる。

一方、観光シーズンを迎え、土産用が堅調である。

2 繊維・衣服「生産のピークにズレ」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比15.0%の減、同12.2%の減。3か月先の業況見通しDIは▲31.3から▲37.5となった。

通常3~4月は繁忙期であるが、「多品種・小ロット・短納期」のほか複雑な工程が多い割に単価が低いことから、利益に結びついていない。

また、一部企業では、原油の高騰により化学繊維価格も連動する動きがあり、製品価格に反映できずに利益が圧迫される結果となっている。

3 木材・木製品「生産調整が続く」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.8%の減、同7.7%の減となり、2ヶ月連続で生産額・受注額の減額となった。3か月先の業況見通しDIは22.2から5.9となっている。

 合板関係では、原木価格の高止まりをしているほか生産調整を行っていることから、当面の間この傾向が続くと見られる。

 また、今年度は雪解けが遅かったことから春先の新規住宅着工の動きが特に鈍く、先行きに不透明感がある。

4 鉄鋼・金属製品 「鋼材が高止まり見られる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比2.6%の増、同5.7%の減。3か月先の業況見通しDIは11.8から0.0となった。

自動車関連の受注は堅調。電気機械関連などでは、企業間のばらつきはあるもののフル稼働で操業しているところもあり好調に推移している。

一方、鋼材をはじめとする金属価格、燃料価格が依然として高止まりにあることから、更なる原材料価格の上昇が懸念される。

 5 一般機械「原材料の高止まりが影響」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.2%の増、同12.8%の減。3か月先の業況見通しDIは▲18.2から0.0となった。

 航空機・自動車関連や印刷機械などは好調に推移しているが、原材料となる鋼材などが高止まりしており、収益面での影響が出始めている。

6 電気機械「在庫調整の影響が続く」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比9.3%の減、同11.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲10.3から10.3となった。

 主力のコンデンサー類は、一部の企業で在庫調整が続いており、単価引き下げによる影響も加わり生産額及び受注額ベースで7ヶ月連続して前年同月を下回っている。

 輸出用液晶や自動車関連の企業では、為替相場が円高傾向となっていることも相まり堅調に推移しているものの、全体が押し上げられるほどではなく、電気機械の本格的な回復は夏以降になると予測される。

7 輸送機械「単価引き下げ等による一時的な減額」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.0%の減、同3.3%の減。3か月先の業況見通しDIは▲14.3から14.3となっている。

 輸送機械が生産額ベースで減額となったのはほぼ1年振りであるが、これらの原因は部品単価の引き下げや受注の端境期による一時的な状況と見られる。

 モデルチェンジ等に伴い相当程度の需要を抱えている企業もあり今後は堅調に推移することが予想される。今後の懸念材料としては、原材料の値上がりや製造部品の車種の売上げ動向が挙げられる。

8 精密機械「医療機器関連が堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比3.5%の増、同13.7%の減。3か月先の業況見通しDIは8.3から12.5となった。

 医療機器関連は依然として堅調に推移しているものの、新年度の薬価引き下げにより利益が圧迫されつつある。

 計量器関係や光学レンズなどは、依然動きの鈍い状態が続いており、今後は石油製品の更なる値上がりやメーカからの単価引き下げ要求により、ますます厳しくなる傾向となっている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比0.9%の増、同29.3%の減。3か月先の業況見通しDIは3.3から▲17.2となった。

公共事業関連では、昨年度末の完工工事の契約金や年度初めの前払金により資金繰りが若干改善されているものの、公共事業の減少により厳しい状況が続いている。

また、民間受注が見込めない企業では、市町村合併による広域化と受注機会に与える影響が不透明であることから、相当な危機感が見受けられる。

一部企業では、一次産業へ試験的な参入を始めており今後の推移が期待されている。

小売業の動向

1 衣料品「制服やスーツが低調」

売上高は前年同月比3.5%の減。3か月先の業況見通しDIは▲42.9から▲21.4となった。

年度初めの進学・就職に係る制服やスーツ等では多少の動きが見られたものの、売上の傾向として価格の二極化が進んでおり、全体としては依然として厳しい状況が続いている。

今後は、春夏物に対する期待感が見受けられる。

2 身回品「園芸・農作業用品に客足戻る」

売上高は前年同月比1.9%の減。3か月先の業況見通しDIは▲15.4から0.0となった。

一部の企業では、進学や就職等により家具製品の売上が好調だったものの、全体を押し上げるほどの売れ行きはなく、厳しい状況になっている。

ホームセンターでは、後半にようやく園芸・農作業用品へ客足が戻ってきたが、資材・建材では依然動きが鈍い状況が続いている。

3 飲食料品「酒造販売が低調」

 売上高は前年同月比2.5%の増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から▲5.6となった。

全体的には底堅い動きをしており、スーパーの動きが特に堅調である。一方、酒類販売では、ホテル・飲食店関係の低迷が続いており、一部で「第三のビール(その他雑酒)」等の動きは見られたものの依然低調に推移している。

4 家電品「6ヶ月振りにプラスに転じる」

売上高は前年同月比0.6%の増。3か月先の業況見通しDIは▲12.5から11.1となった。

デジタル家電の動きが良く、中でも液晶テレビやプラズマテレビなどが引き続き好調である。

また、「冷蔵庫」「洗濯乾燥機」などの白物家電のほか「エアコン」「パソコン」などにも好調な動きが出始めており、夏場にかけて全体的な底上げが期待される。今後は、夏物家電を中心にシフトして予定であり天候等の影響要因が加わることとなる。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル「婚礼部門が回復傾向」

売上高は前年同月比12.5%の増。3か月先の業況見通しDIは、▲7.1から0.0となった。

 今年度は桜の開花がゴールデンウィークにずれ込んだことや、暦上の関係から婚礼者数が増加したことなどの理由により、9ヶ月振りに前年同月比でプラスに転じている。今後は、6月の婚礼シーズンや夏場のビアガーデンの予約に期待を寄せている。

2 その他サービス「コンピューター関連が好調」

売上高は前年同月比17.5%の増。3か月先の業況見通しDIは40.0から18.2となった。

コンピューター関連は、市町村合併に伴う受注など引き続き好調に推移している。今後は、ハード受注に一息ついた感があることから、新たなメンテナンス業務等に注目が移る傾向となっている。

また、個人輸送や運送関係は、燃料の高止まりなどの影響を受けているものの、総じて稼働率が高い状況で推移している。

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