産業経済政策課  平成17年10月3日

概況

 県内経済は、総じて横ばいの中で推移しているが、一部業種で明るい兆しが見受けられる。

  • 製造業:電気機械を中心に生産増加が続く
  • 建設業:厳しい経営環境が続く。
  • 小売業:季節用品は好調に推移したが、全体としては低調である
  • サービス業:燃料価格の高騰が響く

全業種のDI値を前月と比較すると、3か月前との業況比較は▲3.0から1.7、現在の資金繰りは▲12.1から▲11.2、3か月先の業況見通しは1.2から▲13.1となっている。

製造業では、生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.5%増、同2.1%増。3か月先の業況見通しDIは14.3から▲4.3となった。製造業全体では前年同月比の生産額が2カ月連続してプラスであるが、主力の電気機械が増産体制に転じていることが大きい。また、一般機械では好調に推移しているほか、輸送機械では受注の端境期により一時的に前年同月比でマイナスとなっているものの、全体としては好調さを維持している。

一方、在庫が増加傾向となっている木材・木製品では、ようやく市場価格の下げ止まりの兆しが見え始めたものの引き続き生産調整を行っているほか、食料品でも厳しい状況が続いている。

建設業では、受注額、完工高はそれぞれ前年同月比40.7%減、同14.3%増。3か月先の業況見通しDIは▲13.3から▲43.3と悪化しており、厳しい経営環境が続いている。

小売業では、前年同月比の売上高で3.7%の減となっている。前月に続き、家電分野が大きな落ち込みを見せているほか、飲食料品では生鮮食料品の売上が落ち込んでいる。3か月先の業況見通しDIは▲18.9変わらない。

サービス業では、売上高は前年同月比0.8%の減。3か月先の業況見通しDIは、1.2から▲14.3となった。旅館・ホテルでは、ビアガーデンは堅調に推移したものの、婚礼・宴会部門では婚礼数の減少や小規模化の影響により低調に推移している。

個人輸送や運送部門では、原油価格高騰による燃料の影響が鮮明になっており、厳しい状況が続いている。

製造業の動向

1 食料品「酒造が低迷」

生産額は前年同月比4.1%の増。3か月先の業況見通しDIは▲10.0から0.0となった。

一部企業で、大手ファーストフード店から大口受注により売上を伸ばしているほか、首都圏向けのうどん類などに明るい兆しが出ているものの、全体的には伸び悩んでいる。

特に、酒造では、近年の日本酒離れの傾向が続いていることや猛暑により需要が落ち込むなどの複合的要因から、生産量の減少が続いている。

複数の企業で、原油価格高騰による包装資材の値上がりが見受けられる。

2 繊維・衣服「暑さにより秋物の生産ピークがずれる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4%の減、同5.9%の減。3か月先の業況見通しDIは0.0から▲20.0となっている。

秋物生産の追加受注が始まる時期であるが、残暑の影響等により、メーカーの生産ピークが例年よりも遅れている模様である。

一部では、原油価格高騰による原材料・運送費の値上げがあり、収益を圧迫している。

3 木材・木製品「市場価格が下げ止りの兆し」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比14.2%の減、同11.8%の減となり、6ヶ月連続で生産額・受注額ともに減少となった。3か月先の業況見通しDIは11.8から▲5.9となっている。

 合板関係では、依然原材料価格が高止まりしているが、ここにきて製品単価の市場価格が下げ止まりの兆しを見せ始めている。

 また、県内の新規住宅着工は、ようやく動きが見え始めたものの、動きは鈍く、各企業では秋の需要に期待を寄せている。

 なお、木材・木製品製造業では、乾燥材生産や運搬(フォークリフトなど)に様々な機械を使用するが、いずれも燃料価格高騰の影響を受けており、生産額が伸び悩むなかで、その影響は大きい。

4 鉄鋼・金属製品 「鋼材に高止まりが見られる」

生産額、受注額はそれぞれ前年同月比1.0%の増、同8.9%の減。3か月先の業況見通しDIはから17.6から5.9となった。

鋼材や希少金属をはじめとする金属価格が高止まりしていることや、燃料価格が依然として高騰していることが利益を圧迫している。

特に一部企業では、鉄鋼価格が4割以上も値上がりしているほか、金、亜鉛、モリブデン等の希少金属も高騰しており、その対応に苦慮している。

5 一般機械「安定感が見受けられる」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比4.0%の増、同15.2%の増。3か月先の業況見通しDIは27.3から0.0となった。

 産業用機械を中心として好調に推移しており、安定感が見受けられる。一部では、フル稼働の状態に対応するため、従業員の新規雇用や工場増設等の設備投資が予定されているほか、新規に自動車関連製品の受注が決まるなど好調さを維持している。

6 電気機械「先月に続き前年同月比でプラスを維持する」

 生産額、受注額は、それぞれ前年同月比4.8%の増、同6.1%の増。3か月先の業況見通しDIは34.5から3.4となった。

 主力のコンデンサー類は、市場価格の低迷や需要の冷え込みの影響から、在庫調整が続いていたが、先月から増産に伴う新規雇用等を見込むなど生産調整は終了したと言える。

 特に、携帯電話関連の液晶や部品で生産の伸びが著しいほか、車載用電子部品の製造が伸びが著しい。

 なお、生産額が伸びている企業がある一方で、来月からリストラ・減給を実施する企業も出ており、好不調の企業間の差は大きくなっている。

7 輸送機械「生産の端境期による一時的なマイナス」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比6.4%の減、同3.1%の減。3か月先の業況見通しDIは14.3と変わらずである。

 生産額がマイナスとなっているのは、一部企業が10月からの増産体制強化のために受注を控えていることが原因であり、輸出用の新規受注があるなど、全体としては堅調に推移している。

 8 精密機械「医療機器関連が堅調」

 生産額、受注額はそれぞれ前年同月比0.4%の減、同3.0%の減。3か月先の業況見通しDIは12.5から▲20.8となった。

 医療機器関連は依然として堅調に推移しているものの、度重なる原材料のプラスチック製品の値上要請等により、利益が圧迫されている。

 計量器関係や光学レンズなどは、需要の伸び悩みによる生産調整、石油製品の値上がりや納品単価引き下げ要求のほか、工場の海外シフトなどの理由により厳しい状況が続いている。

建設業の動向

「厳しい状況が続く」

受注額、完工高はそれぞれ前年同月比40.7%の減、同14.3%の増。3か月先の業況見通しDIは▲13.3から▲43.3となった。

公共事業の減少により各企業とも厳しい経営環境が続いている。特に油脂等は、原油高騰により受注時よりも大幅に値上がりとなっていることから、利益が圧迫されている。

今後も厳しい経営環境は変わらないと推測されることから動向を注視する必要がある。

小売業の動向

1 衣料品「夏物衣料に動き」

売上高は前年同月比6.8%の増。3か月先の業況見通しDIは7.1から▲7.7となっている。

依然として厳しい状況に変わりはないが、一部企業の売上が伸びたことから前年同月比でプラスに転じた。

クールビズ効果や残暑が続いたことから、夏物衣料に動きが見受けられたが、夏物衣料は単価が安いことから、その利益は伸び悩んでいる。

2 身回品「季節商品の動きが見られず」

売上高は前年同月比5.4%の減。3か月先の業況見通しDIは▲23.1変わらず。

一部では、高額商品が動いたものの、全体としては低調に推移している。

ホームセンターでは、7月の売上が伸び悩んだことから今月に期待を寄せていたが、盆以降は季節商品の動きが見受けられなかった。

3 飲食料品「暑さにより飲料、酒類に伸び」

 売上高は前年同月比3.9%の減。3か月先の業況見通しDIは▲41.2から▲38.9となっている。

 8月の暑さの影響により、各企業とも飲料・酒類は、好調に推移したものの、野菜の価格が安いことや、豚肉の仕入れ価格が高いことから生鮮食料品の売上が伸び悩んでいる。

4 家電品「薄型テレビが伸び悩み」

売上高は前年同月比12.8%の減。3か月先の業況見通しDIは▲11.1から11.1となった。

7月は梅雨の影響により、エアコンの売上が大幅に落ち込んでいたが、8月は売上が伸びた。

一方、今まで好調であった「薄型テレビ」に伸びが見られなくなったことなどから全体の売上も落ち込んで来ている。

サービス業の動向

1 旅館・ホテル「低調に推移」

売上高は前年同月比1.1%の減。3か月先の業況見通しDIは、0.0から▲26.7となった。

天候に恵まれたビアガーデンは、堅調に推移しているが、婚礼・宴会部門では、婚礼数の減少や小規模化の影響により低調に推移している。

原油高騰の影響で、各企業共に、冷暖房等の光熱費が増大し、利益を圧迫している。

2 その他サービス「燃料価格の高騰が更に深刻となる」

売上高は前年同月比0.6%の減。3か月先の業況見通しDIは▲23.1から0.0となった。

個人輸送や運送部門では、燃料価格の高騰による影響が鮮明になっており、一部企業では、昨年よりも18~50%の燃料費の上昇が見受けられる。今後の推移には注意が必要である。

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