開催日時 平成26年9月3日(水曜日) 午後1時30分~午後3時00分

開催場所 ルポールみずほ しおんの間(秋田市山王4丁目2-124)

出席者

  • 委員
    • 鵜川洋樹委員
    • 太田珠美委員
    • 齋藤登則委員
    • 髙橋清悦委員
    • 吉澤結子委員
    • 農山村振興課長
    • 水田総合利用課長
    • 農業経済課調整・六次産業化班長
    • 園芸振興課調整・普及班長
    • 畜産振興課調整・畜政・経済班長
    • 関係各課担当者

1 秋田県農林水産部農業関係補助事業の実施状況等について

  1. 強い農業づくり交付金について
  2. 農山漁村活性化プロジェクト支援交付金について
    • 事業制度の概要について、及び評価年度における事業の実績・評価等について、関係各課から説明。

2 質疑

(1)強い農業づくり交付金について

A委員
産地競争力強化に係る品質向上物流合理化施設の具体的な機能と効果は何か。

事務局
農家などが個別に乾燥した玄米を受け入れる施設であり、着色粒や小石等の 再選別により、高品質・均質化を図るための機能を有している。また、内容量 1t程度のフレコンバッグによるバラ出荷機能も有しており、大口の実需者に 対応した施設である。

A委員
一等米比率向上の効果は認められるが、高温耐性品種への転換はD評価とな っている。この施設には、こうした効果もあるのだろうが、資料を見る限りで は、農家等に品種転換の具体的なメリットをどのように提示したのか解らない ため、成果目標に品種転換を掲げるのは間接的すぎると感じる。

事務局
事業実施前年度の平成22年は、登熟期の高温により、あきたこまちの品質低 下が散見された年であり、こうした高温に耐えうる品種の導入によりリスク分 散を図るため、作付転換を促したものである。

B委員
採択要件として、費用対効果を行い、投資効率が1以上とあるが、これは何 か。また、事業費に対する国庫交付金の割合については、各々どうなっている のか。

事務局
費用対効果分析は、事業の実施を申請する際に実施計画書を作成するが、その際に実施するものである。生産量増加や品質向上効果などを効果額として算 出し、これを事業費で除して得られた額を投資効率という。 事業費に対する国庫交付金の交付率は、税抜事業費の1/2以内となってい る。

C委員
乾燥施設に係る評価について、事業実施主体のコメント欄には「育苗時の施 肥技術が確立されていない」、「カメムシを防除できなかった」など、施設の 機能そのものではなく、生産技術に起因する理由が記述されているが、基幹施 設の導入と合わせ、生産技術対策をいかに講じているのか。また、来年以降に おける施肥技術の確立の見通しはどうか。

事務局
施肥技術は、育苗時一発施肥技術に過信することなく、稲の生育の良否によ っては、適宜追肥を検討するなど、営農指導員や普及指導員の技術指導を徹底 したい。カメムシ防除については、無人ヘリコプターによる地域ぐるみでの一 斉防除によって、防除効果の発現やコストの縮減を図りたい。 また、乾燥施設等は、大型のコンバイン等を導入して規模を拡大する大規模 農家や法人を主な受益とするが、草刈りや水回りなど、細かな管理作業については、大規模農家へ作業を委託した兼業農家等へ再委託するなど、地域での役割分担によって、作業を省略しないよう指導している。

(2)農山漁村活性化プロジェクト支援交付金について

D委員
秋田3期地区活性化計画の米粉製粉設備について、篩(ふるい)のメッシュ(粒度)はどれくかいか。また、製粉の取引先はどこか。

事務局
事業実施主体の親会社である日本製粉㈱が主な取引先であり、パンや製麺などの業務用として、種々のメッシュに対応している。一時期ではあるが、日本製粉㈱経由により、某ドーナツ店の米粉ドーナツ用の原料として使用された実績がある。

D委員
ドーナツ店への供給を継続できなかった要因は何か。

事務局
価格面でのミスマッチである。価格差に見合う価値を消費者へ訴求できなかったのではと考えている。

E委員
米粉製粉設備に係る改善計画について、研修会や商談会などの取組は、誰が主体となって講じるのか。

事務局
県内では、米粉に関する料理教室やフォーラムの開催を通じて、米粉の良さ等は、ある程度は浸透しつつある。 各種商談会では、日本製粉㈱が設置するブースにおいて、JA全農あきたが米粉用米に関する産地アピールを行うなど、民間レベルでも需要拡大対策を講じているが、全国的なトレンドに発展させるには国へ負うところが大きい。

B委員
米粉用米の在庫解消の見通しはどうか。昨今の健康ブームに便乗した需要の創出はどうか。

事務局
日本製粉㈱では、小麦アレルギーに対応し、グルテンを含まない商品の開発を進めており、こうした新需要の創出によって在庫解消を図ることができるものと考えている。

B委員
秋田4期地区計画の「カラムシ岱地区」の区画整理事業について、道路計画の関係で未着手とのことだが、今現在の道路計画の進み具合と達成見込みはどうか。

事務局
秋田4期地区活性化計画の策定段階において、秋田自動車道の計画路線に支障無いとの道路部局側の判断であったが、「カラムシ岱地区」の区画整理に係る1.7kmだけが未決定の実態である。道路計画に関しては、公共事業箇所評価により引き続き検討されるが、区画整理事業の完了については事業採択が遅れた年数だけ遅れることになる。

C委員
「カラムシ岱地区」に係る秋田自動車道の計画路線であるが、環境アセスメントの段階でストップしているのか。

事務局
環境アセスメントにより、調査・アンケートを経た段階であるが、その後の段階として、実施計画(工事計画)が認定されないと工事に着手できない。

B委員
農山漁村活性化プロジェクト支援交付金では、生産基盤・施設整備のほか、地域間交流の取組を実施できるが、本県では実施していないのか。

事務局
秋田3期及び秋田4期地区計画は、生産基盤・施設整備のみを内容として策 定したものである。こうした計画は、市町村単独で策定することも可能であ り、直売施設や交流施設など、市町村の区域で完結できるような地域間交流に 関する取組は、各々の市町村が推進している。

A委員
事業活用活性化計画の目標について、米粉製造設備のように対象施設の成果 となる指標を用いる一方、地形図作成等などのように業績(区画整理着手まで の年数)を指標とするものがあり、一律で評価することに無理はないか。

事務局
ほ場整備には、労働時間やコストの削減による生産性の向上、水田の汎用化 による戦略作物の生産拡大、面的集積による法人化の促進など、種々の効果・ 効用があり、整備計画を策定の際には、これら指標に関する目標値を設定して いる。次回の委員会からは、整備計画の目標や実際の効果も確認いただけるよ う、説明資料を工夫させていただく。

E委員
全体として、施設整備に関しては、施設の機能に直接関わる品質などの目標に関しては概ね達成されているが、間接的な指標に関しては未達成の項目もみ られる。 特に米粉製粉設備に関しては、見込みどおりに末端需要が伸びず、また、生産者側の要因から作付面積が伸び悩んでいる状況もあるが、引き続き、需要拡 大に取り組んで目標達成できるよう推進されたい。

3 意見交換

A委員
農地中間管理事業について、借受希望として8千ha余の借受希望面積の申 し込みに対し、貸付希望は1/10以下となっているようだが、どのように考 えているか。

事務局
受け手側からは、規模拡大に加え、分散錯ほの解消に関する要望が多い。また、大規模な農業法人では、農地をまとめることにより3~4割のコスト削減 が可能との意見もあり、農地中間管理機構に対する現場からの期待は大きい。 一方、2種兼業農家などの出し手側は、来年の営農計画を立てる稲刈り後に 貸し出しを希望するものとみられ、御質問のようなギャップが生じたようであ る。 農地中間管理機構では、9割の農地を中心経営体に集積する目標を掲げており、今後、農業委員会やJAとの連携による調整活動を本格化することによっ て、ミスマッチを解消していけるものと考えている。

E委員
飼料用米等については、水田活用の直接支払交付金の交付単価が26年産から 数量払いに変更され、現場では複雑な動きもあるようだが、基幹施設の整備を含めて、どのように生産振興しようとしているのか。

事務局
当県の「いわゆる転作率」は4割を超えている。米の国内消費が減少傾向で 推移しているが、主食用米の作付割合については、主産県として是が非でも5 割をキープしたいところ。 従来、転作作物の主力は大豆であったが、転作率3割を超えた段階で、3年 スパンでのブロックローテーションが困難となり、大豆の連作ほ場の顕在化とともに、地力低下に伴う生産性の低下が問題とされている。 園芸作物への全面シフトも労働生産性に限界があることから、当面、加工用 米や飼料用米など、米による転作を拡大しているが、加工用米に関しては、全 国的に相当の作付要望がある。 このため、県内で飼養される肉用牛や比内地鶏などの飼料として、飼料用米 の生産・供給体制を確立するため、既存施設の改良による飼料用米専用の乾燥 調製貯蔵施設を整備したところであり、今後は、各地域で専用の乾燥施設を整 備していきたい。

E委員
主食用米の概算金が1万円を切るような報道がある中で、米による転作については、農家にとって相対的に有利性が高まるのか。

事務局員
転作で農家が不安に感じることは、現在の助成水準がいつまで続くのかとい うこと、また、需給バランスによって販売価格が乱高下することであり、これ までの減反政策により身を以て体験している。 飼料用米に関しては、米国等からの輸入とうもろこしの代替として、相当量の需要が確認されているが、課題はコスト面である。 県としても、低コスト生産に必要な多収性品種の開発など、農家が安定的に 再生産を行うことができるよう、対策を講じてまいりたい。

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